« 2005年10月 | メイン | 2005年12月 »
2005年11月30日
証拠を見せる - スパム対策のこんな方法
SPAM STOCK TRACKER という、面白い試みをしているサイトを紹介する。
スパムメールのなかに、特定の企業の株を購入することを薦めるスパム、たとえば、「今、○○株式会社の株が買いどき!」みたいなスパムメールがあると思う。受け取ったことがある人も多いだろう。
この joshua cyr さん、ほんとうにスパマーが言うとおりに株価は上がるのだろうか、ということをサイトで追跡することにした。これがこの SPAM STOCK TRACKER だ。
ここで彼が追跡した結果によれば、スパムで「この株が上がります」と言ってきた銘柄のほとんどが、実際には下がっているということがわかる。
右上に表示される合計を見れば、もしスパムの言うとおりに買ってたら資産は半減していたとわかる。
下の個別銘柄の表を見れば、ほとんどの株がスパムを受け取ったときよりも値下がりしてることがわかる。
普通なら、「必ず上がる株を知ってる人が、それを赤の他人に教える理由がない」と思うので、こんなスパムいくら送ってきても無駄だろうと思うのだが、世の中にはスパムで宣伝された製品を買う人もいるそうなので、スパムで「株が上がるよ」と言われて信じちゃう人もいないとは言い切れない。
万一あなたの近くにそんな騙されやすい人がいたら、こういうサイトを見せるのが一番伝わりやすいだろう。
日本語の場合だと、Yahoo! ファイナンスの掲示板や 2ちゃんなるなどが、こういった株式関係のスパム的な書き込みが蔓延しているところだろうか(株にあまり詳しくないので、他にもっと大きな掲示板があるかもしれないが)。こういったところに対しても同じ実験をしてみると、面白いだろう。おそらく Joshua さんの実験と同じような結果になると思う。
株価の場合、もともと数値化されているものだから、ネットや Blogsphere での評判との比較を取ることはたやすい。株価以外でも、評判(reputation)システムにおける、「やらせ」的な推薦などを別の数値や調査結果などとつきあわせることで、インチキを暴くような仕組みを考えられるかもしれない。
そうやって、スパムで薦められた株/商品/サービスなどが、普通の株/商品/サービスなどよりも悪いということが定量化されていくと、スパムも減っていかないかなあ、などと期待するのだった。
[2006.12.1 追記] リアルタイムで、受け取ったスパムとそこで推薦された銘柄の関係を表示する別のサービス、Stock Spam Effectiveness Monitorが登場した。
投稿者 秋元 : 14:45 | コメント (2) | トラックバック
2005年11月29日
37 Signals のビジネスモデルはあくまで Web デザインコンサルティングなのだろうか
このエントリで書いた内容は間違い、実際にはまったく逆でした。詳しくはコメントを参照してください。間違った内容を書いてしまい申し訳ありません。ogijun さんご指摘ありがとうございます。
The 37 Better Project は、Backpackit や Basecamp などでいわゆる Web2.0 的なサービスを先導し、開発フレームワークの Ruby on Rails でブラウザベースアプリケーション開発に旋風を巻き起こしている 37 Signals の新ページ。
もともと、 37 signals は Web UI のコンサルティング会社で、Backpackit などオンラインの情報共有サービスは実質無料。利用の多いユーザからは料金を取ることになっているが、有料ユーザがどれぐらいいるのかは怪しく、どうやって儲けるのかビジネスモデルがはっきりしないところが、典型的な Web 2.0 企業といえる。
元々の本業が Web 設計コンサルティングであることは 37signals.com 本ページに書いてあるし、Web デザインに関わる書籍も出している。
今回新たに公表されたのは、世の中の代表的な企業ネットサービスをいくつか取り上げて、「37 Signals ならこう作り変えますよ」というデモと、定額($2500)のコンサルティング試用サービス 37 express。
こんな風に直したら、既存の企業サービスももっとよくなるのでは、というデモが下記のようなもの。
デモでは、現在のサービスと、彼らがどこをどう直して、それによってどういう効果があるか、といったことが比較して説明されている。
37 signals の各公開サービスでやっているような、動くデモではないし、Ajax も(試したかぎり)使ってない。リンクも作動しないので、純粋に Web デザインだけの提言デモのようだ。
また、37 express を申し込んでみたい人のための、10 項目のアンケートも Word 形式でダウンロードできるようになっていて、この 10 項目もサイトの再設計をするにあたって考えるべき項目がよくまとまっている。$2500 払う前でも、そこそこ有用な情報が得られるように思えた。
見るだけでも勉強になる今回の発表だが、これはまた同時に、37 signals があくまで デザインコンサルティングを中心にビジネスモデルを組み立てていることを表している。
Backpackit.com などの無料サービスには「我も続け」と参入した/するフォロワーも多いが、フォロワーの多くが「ユーザをたくさん集めれば、利益は後からついてくるだろう」と Web2.0 的な楽観論に支配されているようにみえる中で、追いつこうとしている 37 signals がそもそもサービスで儲けようとしてないとしたら、他社競合は足元をすくわれるだろうな。
Backpackit や Ruby on Rails といった秀作を無料で公開しておいて、「ただのデザインコンサルタントですよ」というのもすごい話だけど。
投稿者 秋元 : 00:56 | コメント (2) | トラックバック
2005年11月28日
AHAH (アハー)補足
昨日のエントリ Ajax は難しい? AHAH ならどうだ で紹介した AHAH だが、別に「AHAH が AJax を置き換える」とか「これからは AHAH だ」とか言いたいわけではないよ。
Web クライアント-サーバ間(の lazy な、とか、部分的な)データ伝達を考えたときに、Ajax というのは「XML であること」をけっこう重視して宣言された。
XML でデータを流通させるのにはやはり意味があって、同一のデータを基にクライアント側で表現方法を複数切り替えるとか、描画にクライアント側のマシンパワーを積極的に使いたいとか、であれば XML ぜんぜんオッケー。また、サーバ側から提供される XML データを、広く公開して他のクライアント(や他のサーバ)でも使ってもらおう、というときも、標準である XML を使うことの意義は大きい。AHAH でそんなもの提供したら、読む側は独自 HTML を読むための HTML パーザを使わなきゃならなくなる。
データも公開するけど、関係するデータ利用者のほとんどが Javascript だった場合、JSON みたいな話が出てきて、クライアントがそのまま使える形にすることでクライアント側の手間を省くのに成功している。なんでも XML は止めて、実用的に考えようよ、というのが JSON だったと思う。
AHAH もそれと同じことで、XML であることや JSON であることに意味が無いようなデータに、無理矢理複雑なデータ構造を使うのは止めたほうがいいんじゃない、というだけのことでしかない。誰も途中でそのデータを横取りせず、送られたものは結局表示するだけ、だとしたら、サーバ側で整形したものをそのまま返したほうが楽じゃん、という。ようは適材適所、ということだ。
「Ajax といいつつ、部分ページを送ってるだけなんだよなあ」というようなことに後ろめたさをこれまで持ってた人たちがいたとしたら、AHAH という定義やその理論的な補強をするページが存在することは、いいことなんじゃないかな。
投稿者 秋元 : 17:48 | コメント (2) | トラックバック
2005年11月27日
Ajax は難しい? AHAH ならどうだ
AHAH は Asynchronous HTML and HTTP の略で、Ajax の Javascript と XML の部分を素の HTML に置き換えた、Ajax のかけそばみたいなものだ。
AHAH (アハー、と読むのだろうか)は、Ajax の簡略版と言える。提唱者の主張するその特徴は、
- XML スキーマとか考えないことでデザインが高速にできる
- 現行の HTML を再利用でき、新たにウェブサービスを作る必要が無い
- すべてのデータはブラウザで見える形でやりとりされ、デバッグやテストが簡単
- HTML はページの DOM に直接埋め込める形で返されるので、パーズが不要
- HTML なので、デザイナが CSS で直接フォーマットできる。XSTLT でプログラマーが整形するよりいい
- 処理はサーバ側で行われるので、クライアント側でプログラミングは無い
サーバ/クライアント間のデータ転送を、無駄に XML や JSON などで行っているケースは、Ajax の利用ページの中でもそれなりにありそうだ。この AHAH のようなケースも、Ajax の一例と言ってしまっていいと思うが、もっと楽できるところは楽しようよ、という提言としての意義があるのではないか。
2005年11月25日
銀座アップルストアで Goodpic さんの講演を聴く
第八回XML開発者の日 の懇親会も興味あったのだけど、夜は別の用事を入れていたのでそちらへ移動。隣の駅だったので歩いて移動したらちょうどよい時間だった。
いつもブログを読ませていただいている Goopic さんのブログで始める自分のための情報整理という講演。
XML 開発者の日では平田さんがお話され、夜の講演では goodpic 金子さんと上ノ郷谷さん(Hinagata の人。Six Apart に入社されているとは知らなかった)、と、Six Apart 社づくしの日だった。このブログも MT で書いてるし。
場所が場所で、一般の人も多そうだったので、講演の内容はブログに関する基本的な紹介が中心。MT + Bloglines + del.icio.us の組み合わせで情報収集してブログ書いてますよ、というお話で、これは僕もまったく同じ組み合わせなのだった。金子さんの del.icio.us の URL が紹介されたのがよかった。Bloglines で購読しようかな。
第八回XML開発者の日
第八回XML開発者の日 に行ってきた。
メモは取ったのだが、すでに詳細なものが上がっているので略。そちらを読まれるといいだろう。
今回 REST と Atom PP がお題だった。ちょうど、サービスの API 公開はどうやってするのがいいのか、といったあたりをラボで調査していたため、他の人がどう考えているか、どのような選択肢があるか、といったことを聞けてよかった。
海外では Movable Type がそれほど圧倒的ではない、という話に驚かれている方も多かったようだが、Trackback を受け付けるブログがほとんど無い、というほど無いとは個人的には思えなかった。このブログでは引用元が海外のブログでも気にせずトラックバックを打っているが、日本ほどではないけどトラックバックを受け付けているところもそこそこあるという印象なので。
2005年11月24日
Google AdSense の新機能は電話との連動
via problogger
まだアメリカの一部地域でしか現れていないということだが、Google AdSense に緑の電話マークが出ることがあるらしい。Google のヘルプページにも、この Google Click-to-Call に関する説明が登場している。
AdSense のリンクをクリックすると広告主のページに飛ぶわけだが、この電話アイコンをクリックすると、自分の電話番号を入力させられるようだ。電話番号を入れたら、広告主から自分宛に電話がかかってくる、という仕掛け。
電話代は Google 持ち、というか最終的には広告主持ち。自分の方には電話代はかからない。(アメリカの携帯電話は受信側もお金がかかるので、携帯で受ける場合はタダにはならないが)
この時入力した電話番号は、広告主に直接明かされることはなく、電話が終わったら Google のシステムからも消去されるとのこと。であれば、これを使って商品説明などを受けたからといって、そのあとしつこい営業が続いたりすることはない、ということになる。
最初に AdSense と電話という組み合わせをみたときは、てっきり Google Talk を活用してその場で話をするものだとばかり思ったが、通常の電話を使うものだった。
この Click-to-Call に対応できるのは、24 時間運営の電話センターを持てるような、よほど大きな広告主だけだろうとは思う。でも、今だってテレビや雑誌経由でフリーダイヤルに電話させようとする業者はたくさんいるのだし、ウェブからもその流れを確保する、という今回の新機能、目のつけどころはいいし、ネット外の既存競合に与える影響も大きいのではないかと思う。
あと余談だが、企業からコールバックさせる、ということだと、サイボウズ本社でもサポートにこんなメニューがある。必要な人に意外と知られてないみたいなので紹介しておく。
僕のような理系人間からすれば、メールサポートのほうが気楽だと思うんだけど、電話で話せることはメールやウェブサイトでの案内よりも高級なインタラクションなのかもしれない。サービス提供側の人件費からいえばもちろんそうなんだが。Google 検索やはてなの人力検索みたいなのを電話で代行受付してお金を取るサービスみたいなのも、今後富裕層向けに出ないとも限らないのかなあ。
[追記] 2006.10.08 「Google Click2Callはうまくいかなかったのでやめました」というエントリがGoogleの公式ブログのRSSで流れてきたと思ったら、すぐに消えた。続報によると、どうやら公式ブログが外部からクラックされて、嘘の情報を流されたということらしい。(公式ブログでの訂正情報)
最初にこのエントリを書いたときは、AdSenseのClick-to-Call機能、と書いていたが、AdWordsのClick2Callという呼び方が正式のようだ。
2005年11月23日
早くも RSS-SSE の実装例が登場
昨日紹介した新 RSS 拡張 SSE 、それほど難しい規格ではないとはいえ、発表の翌日に実装を出してくると目立つなあ。
AppleScript を使った、Max 用の RSS リーダー NetNewsWire の購読リストを SSE でエクスポートするツールが登場した。
実際にエクスポートされた SSE の例も公開されている。
2005年11月22日
RTC勉強会第7回 Web2.0 参加
RTC勉強会 『Web2.0』 -ビジネスへのインパクト に参加してきた。
「ちょーちょーちょーいい感じ」の保田氏と近江商人JINBLOGの上原氏が主催する勉強会。今回で第7回ということだが参加ははじめて。
技術者向けではない、と念押しされていたが、むしろ技術者以外の人は Web 2.0 喧騒をどう見てるのか興味があって参加した。会場は100人近くの人で埋まり、S:G比 (スーツ:ギーク比。今作った)は 8:2 といったところ。
Feed/Web2.0 について話したのはどこかで見たことのあるこの人。用があるとかで講演後そのまま去られたのが残念。
会場からの質問が、技術系の会合と色合いが違って面白かった。
また、最後の締めにおこなったグループによるディスカッションでも、いろいろと気づき、特にブログネタ方向で、を得ることができた。今回一番記憶に残った話は、RSS が溢れ出るネットになったときに、どうやって自分の RSS を購読させるか、という話で、現実世界での利益をインセンティブとして与えることでそれを実現する、というあたりがスーツ的発想でよかったと思う。それ以外にもアイデアの種的なものをいくつか貰ってくることができた。
名刺交換が苦手なので、会の後の大名刺交換会にはあまり参加できず。しかし前から注目していた芸能証券(発想が面白くて好きだ。芸能に興味ないので自分では遊んでないけど)の人やガ島通信の中の人と話ができたのはよかった。
SSE (Simple Sharing Extensions)発表 - 次世代 RSS となれるか?
via TechCrunch
SSE (Simple Sharing Extensions) とは、一方向の通知を実現する RSS に対して、最低限の拡張によって双方向の同期を実現するもの、ということらしい。
マイクロソフトの CTO 、Ray Ozzie が自身のブログでこの SSE 発表について解説している。
このブログ記事によれば、SSE によって、家族間でスケジュールのアップデートを共有することができるようになるという。その際に、プライベートなスケジュール、共有スケジュール、公開されたスケジュールをそれぞれ適切な公開レベルのまま扱うことができる。スケジュールは一例で、アドレス帳の中の共有エントリなどについても同様に、個人アドレス帳アプリケーションの中から共有されているアドレスを更新すると、その更新が共有相手側にも伝えられてシンクロナイズするようなアプリが作れるという。
「あの」マイクロソフトが提案する仕様だが、ライセンスはクリエイティブ・コモンズ、具体的にはこれで、自由に使っても後でマイクロソフトから利用を禁止されたり利用料を請求されたりすることはなさそうなライセンス。
レイ・オジーは、RSS の持つ簡単さとオープンさが RSS を普及させたことを考慮した上で、SSE をできるだけ簡単な仕様に押さえたと書いている。実際に、ここ数週間で、マイクロソフトの複数の製品開発グループが、この SSE のプロトタイプ実装やデモを作成し、それらが相互に働き合うことを確認したそうだ。
また、RSS の父である Dave Winer にも協力を要請し、彼の要求で OPML のほうにもこの SSE を適用できるようにしたとのこと。デイブ自身のブログでも SSE について述べられている。
とりあえず彼らの売り口上を読んで、非常に気になっている。シンクロナイズ用のデータ仕様といえば、SyncML なんてのも前からあるわけだし、はたしてこの SSE のどこがすごい/簡単/普及しそうなのか、仕様書を読んでみるとしよう。
# 最初みたときに思ったんだが、SSE といっても、Pentium III とかに載ってる、浮動小数点計算を早く処理するアレじゃないよ
追記: いちおう仕様書を読んだ。メモを末尾につける。ほんとに素の RSS を保ったままなので、この拡張情報を入れたとしてもこれまでと同じ RSS として問題なく動く(はず。いいかげんなパーザを使ってるところはダメかも)。その上で、RSS-SSE を解する複数のサイト間で、更新情報をシンクロナイズさせることができるということになりそうだ。
簡単とはいっても、扱う問題がこれ以上簡略化できないので、これをライブラリに落とすのは多少面倒そうだ。マイクロソフトは社内でいろいろ試しているから準備はできているわけだが、各スクリプト言語など向けのライブラリが揃って遊べるようになるのが普及への鍵かと。
カレンダーやアドレスの共有という点で、非公開にするための新たな仕組みがこの拡張の中に含まれているわけではない。RSS の認証については、これまで同様 RSS の下のレイヤで考えないといけない。
サイトA とサイトB が、お互いの SSE フィードを購読しあう。SSE フィードには、更新されたとか削除されたという拡張情報がつくため、各サイトでは相手サイトで行われた変更を取り込んで反映させることができる、ということ。 (仕様書 1.3)SSE の拡張エレメント(2)
拡張がある場合のトップレベル要素 sx:sharing (2.1)。関連フィードを示す sx:related (2.2)。完全なフィードと更新情報だけのフィード(2.2.1)。外部を指す集約フィード(2.2.2)。更新を伝えるための sx:sync 要素(2.3)。更新時刻を時系列で保持する sx:history 要素(2.4)。更新情報 sx:update 要素(2.5)。
順序情報を気にしない更新と、順序を保つように動かなければならない更新がある (3.1, 3.2)
アイテムの新規生成(4.1)、更新(4.2)の流れ。複数サイトでの同時更新(4.3)と、どの更新を優先させるかのルール(4.4)。
オプション要素 sx:conflict による衝突の解決(オプション。 5)
2005年11月21日
ポールグラハムの Web2.0
暴れん坊ブロガー ポール・グラハムが Web2.0 について書いてきた。
ポールグラハムというのは、オンラインで書いたエッセイがハッカーと画家という本にもなっている。(たまには Amazon 以外のリンクでと思ったが、検索上位になかなか見つからない。競合他社はもっと SEO に力入れないといかんよなあ) 超辛口の Lisper だ。
彼による Web2.0 とは
- たまたま同じ時期に居合わせた Ajax
- 民主主義的な集合知
- ユーザーにひどい扱いをしない
の 3 つからなるもの。で結局のところ、つきつめればそれは Google がやっていることになる、と。
「del.icio.us や Flickr によるタギングの考えを推し進めて、リンクに使われたテキスト文を活用し、ユーザが他のサイトをどう評価しているかをグラフ理論を使って洗練していけば、ウェブ上の検索を改良することができますよ」、みたいな Web2.0 サービスを考えたなら、それは Google が前からやっていることだった、というオチ。
2004 年に開催された Web2.0 カンファレンスに、Geek などほとんど来てやしなかった(参加費が $2800 だもの)とか。このカンファレンス用に Tim O'Reilly がスーツを買ったとか。そんな話も面白い。あとは Google Maps の技術リーダーも他所から買われてきた人材だった、という情報へのポインタとか。
CNET 検索サービスカンファレンスの海外レポート
CNET Japan Innovation Conference 2005 Autumn 次世代ウェブの検索サービスを探る (長い。。。)の報告がいろいろあがっているが、Search Engine Jounal も人を派遣してたようで、やたら気合の入った現地(東京)レポートがあがっている。
CNET Japan Search Conference Report
マイクロソフトのマーケティング戦略英語圏に日本の検索市場を紹介しようとしている記事自体が興味深いし、日本語での報告もたくさんあるため、比較して読むのも面白いだろう。特に参加した人からみれば、会場で語られていた内容がそのまま英訳されているわけだし。
# Blog Session のレポートで紹介されていた、ブログサービスとブログ検索によって "an extremely popular" な "Japanese portal"ってどこだと思う?
自分が普段触れていない言語圏で、どのサービスがどれぐらい有力か、現地の人にどれだけ知られて/使われているか、というのを把握するのもたいへんだろうなあ。そのポータルもがんばってるとは思うが、"extremely popular" ってことはないんじゃないかと思いつつ。。。
2005年11月20日
Google で購読ボタン/リンク
サイドバーに「Google で購読」リンクを追加
Google Personalized と Google Reader のいずれかに、指定したフィードを登録するためのボタンとなる。
画像を使わなければ、リンクだけになる。
投稿者 秋元 : 13:30 | コメント (2) | トラックバック
2005年11月18日
どっちの言語でショー
Web 2.0 Tournament で、ウェブ言語とかデータベースとかウェブサーバの比較記事へのリンク集みたいなものを作っている。
「Python と Ruby ってどっちを使うといいの」みたいな疑問が出てきたら、紹介されている各リンク先の記事を読んで、それぞれの強み弱みや比較のポイントがある程度見えてくるかもしれない。
比較記事が紹介されているのは、以下の対決。
ASP.Net vs PHP
PHP vs Python
PHP vs Ruby
Python vs Ruby
Python vs Ruby vs Perl
Ajax vs Flash
mySQL vs SQL Server
SQL Server vs Oracle
SQL Server vs Oracle vs mySQL
IIS vs Apache
Apache vs. Lighttpd
Web Server Cage Matches
「なぜ我々は PHP を捨てて Ruby に移行すべきなのか(例だよ例)」みたいな説得をする必要がある人は、手っ取り早くまとめがわかっていいのでは。
僕は各リンク先までは読んでないけど。比較が必要になったときに読めばいいや。
、、、といって結局読まないに一票。
サイボウズ・ラボ入りたい、って言ってみるのもいいと思うよ
えー、上のヘッダ部分にも書いてあるが、サイボウズ・ラボではウェブエンジニアを募集中。ラボの華々しいデビューからはや3ヶ月。最近ちょっと応募数が落ち着いてきた。年の瀬が近いからなんだろうか。
面接の時間も入れやすくなってるので、さまざまな手段でラボの誰かに連絡を入れていただければ。
単に様子を見に来てみたい人も歓迎。
Wiki 企業情報サービス Yellowikis
百科事典に対して Wikipedia 、ニュースに対して Wikimedia があるように、新しい Wiki サービスが登場した。その名が Yellowikis
Yellowpages.com や Hoovers のような、日本でいうなら東京商工リサーチや帝国データバンクのようなデータベースサービスを、参加者が集まって作り上げようというプロジェクトだ。
Wikipedia は現在、成功してるのかどうか微妙な状態にある。ビジネス情報となると、事典よりもさらに足の引っ張り合いや妨害活動がひどくなるような気がするので、たいへんそうだなあ、と思ってしまうが。載っている情報が確からしいことがどれぐらい保証されるのか、結構なチャレンジのように思う。
この Yellowikis では、日本語ローカライズする人を募集中のようだ。
投稿者 秋元 : 18:20 | コメント (2) | トラックバック
アルファブロガー(A-Lister Blogger)来訪
いわゆるひとつのid:naoyaさん表敬来訪。
ラボでもパッケージ製品だけじゃなくてネットサービスをやる可能性もあり、日本でネットサービスといえばはてなさん。そのはてなをドライブする最高技術責任者のいとうさんと情報交換できるとは光栄だ。
まったりしすぎてスイマセン。また遊びに来てください。というかみんなで遊びに行きます。
ウノウ-サイボウズ・ラボ勉強会 at ウノウ
夕方、サイボウズ・ラボの主力メンバー(総力、というか常勤メンバー全員?)でもってウノウ株式会社を訪問。顔合わせ、技術勉強会、ネットビジネスの将来に関する意見交換などを行なった。
ウノウはサンフランシスコ/シリコンバレーにいたことのある人がやたらと多い会社で、僕も Cybozu Corp でサンフランシスコにいたため、その関係で知り合いが多い。また、先日ラボに入社した竹迫さんも別系統からウノウの人と知り合いだったり。そんな関係から今回の訪問となった。あと、ウノウ社がなかなか cool な新オフィスに移ったと聞いたので、次期のオフィス選定の参考になるかも、というのもあったな。
サイボウズ・ラボはサイボウズ本社で使っていることから PHP を使うことも多く、ウノウさんも PHP をよく使っている、という共通点もある。
ラボ単独でみれば、規模的にも近い感じ。あちらはコンシューマ系、サイボウズはビジネス系とターゲットが違うが、参考になる点も多々あるはず、ということで今回の勉強会となった。
夜は近くの amebar にて、ウノウのみなさん、その他合流の参加者を含めて竹迫さんの東京歓迎会。なんかネット関係の濃ゆい話で盛り上がったような、そんなかんじ。
2005年11月17日
POLAR BEAR BLOG のアキヒトさんと昼飯
POLAR BEAR BLOG のアキヒトさんとランチ。オフィスが非常に近いことがわかり、一度会ってみたいですねということで。
アキヒトさんのブログとうちのブログとは、しょっちゅうネタが被っているので気になっていた。英語圏でのネットサービスに関する紹介エントリをよくやること、さらにそのネタを拾ってくるネタ元も近いので、書いた後向こうのブログに行くと、同じネタでもっとよい記事が書かれてたり、というのはしょっちゅう。
特にここ数週間は、怒涛の勢いで一日に何件も書かれているし、僕のブログでのそういった紹介記事が好きな人にはおすすめだ。
会うのははじめてとはいえ、トラックバックやコメントでなんとなく通じている感があり、実際に会ってお話すると情報交換の速度がさらにあがって面白いな、と感じた。ということで、また昼飯食いましょう。
投稿者 秋元 : 23:50 | コメント (2) | トラックバック
2005年11月16日
GBO - Google Base 最適化
サービス開始して一日も経ってないだろうに、Google Base で検索をかけると大量に登録データが出てきてびっくりだ。
JAPAN で検索すると、トップに知り合いのところの求人広告が出てくる。(仕事が早いね、しかし)
なぜ他の396件を抑えて一位表示なのかはまだ謎だが、普通の検索と同様、Google Base でいかに上位検索されるか、というのがすぐに盛り上がるとみたね。SEO ならぬ GBO (Google Base Optimization) と名づけよう。
もし Google Base サービスがヒットしたら、「GBO 解説サイト」、「GBO 入門書」が出て、やがて「株式会社GBO」が設立されるね。きっと。
追記: 今朝みたら知り合いのところは4位に落ちていた。すでに過酷な順位競争が発生している? 単に登録件数が増えているだけ?
サイボウズ・ラボの募集広告もとりあえず書いてみた。 詳しいのは自社サイトにあるわけだけど。
Google Base が使えるようになってる
トップから辿れる、すでに格納されているデータの例
登録されたアイテムは、Google Base 内にある場合もあれば、直接外部のサービスに飛ぶときもある。
新しいベースの作成については、トップページの右側からスタートできるようになっている。既存のテンプレートとして、仕事やレビューなどが選べるようになっているのは以前に流出した画面と同じ。ただし、独自のアイテムを作ることもできる。
一つ登録したアイテムは、「公開まで 15-60 分かかります」という状態になっている。Google が人力審査をやるはずがないと思うので、プログラムによるチェックをしているということなんだろうか。
既に公開されている他のアイテムにも、スパム等を報告するためのモデレーション機能が組み込まれており、ユーザが自由に情報を集積できる、というのと、それによる場の荒れや違法なコンテンツを排除する仕組みが準備されているようだ。
さて、自分としては、RDB をそのままマップしたようなサービスを予想していたのだが、ちょっと違っていて、新しい項目を作る際に、きっちりとしたフィールド設計をする必要はない。
データには日本語が入るが、フィールド名のところに日本語を入れようとすると入力エラーになってしまう。item と label に英語しか入れられない。また、タグのほうも、スペルチェックで英単語以外ははじかれる。folksonomy みたいな新語は受け付けなかった。
ここから考えると、Google Base は、自由に増減できるフィールド名をタグとした Folksonomy + データベースなんだろうか? item や label を英語に限定する理由は、やはり集合操作、ばらばらなデータの再利用をしやすくするためのような気がする。
フィールドは自由に設定できる、とはいえ、プルダウンにはお仕着せのフィールドセットが多数あり、レビューや売買広告を書く分には、わざわざオリジナルのフィールドセットを作成する動機は無い。そうすると、同じジャンルのアイテムは自然と検索/抽出できるようになっていく。
また、フィールド名さえ合致していれば、異なる設計で作られたアイテムでも関係なく検索できる。
多数のデータをまとめて流し込むこともできるので、すでに自分のサイトで持っている求人や不動産の情報を大量登録した業者がいるようだ。今 Google Base 内を検索すると、それらがひっかかってくる。
(参考) Google Base サービスイン関連の日本語記事
Google Base、ついに姿を現す--実態は「何でも共有サイト」か - CNET Japan
My RSS 管理人 ブログ: Google Base 公開:早速レビュー
HepCat Dev and Test: 不動産物件情報とXML(Google Base)
[mini速報] Google Base登場! - Speed Feed [ITmedia オルタナティブ・ブログ]
2005年11月15日
Web 2.0 新語集
via threadwatch.org
「おいおい、Wikipedia に advercasting (広告キャスティング?)なんて新語が登録されてるよ」、というブログ記事を受けて、「だったらこんな新語はどうだ」とヤケクソ気味にいろいろ提案している。
Reblog リブログ
他のブログへの内容を、追加も洞察も意見もなしに反復するだけのブログ
Splinks スプリンクス
ブログに置かれた/張られたスパムリンク
Stags スタグス
タグを使ったタグ検索に対するスパム
Blag ブラグ
コンピュータ自動生成によるブログ
Alog アログ
Gaagle ガーグル
Google 教信者
Blord ブロード
ブロガーを大勢抱えたブログ領主(lord)たるパブリッシャー
Blerf ブラーフ
Blord のためにブログを書くブログ奴隷(Serf)
Advercasting を持つ主要ドメインはあらかた取られている。ほとんどはこれらのブログ記事を見て最近取得されたようだが、.com は前から取られているので、この advacasting.com のオーナーが自分で Wikipedia に登録したんじゃないの、という気もする。
Web2.0 自身もそうだし、Ajax や Podcasting などもだが、新語を作ってその新語で商売する、みたいなビジネスが流行ってるといえるかも。Arax とかもそう?
大々的に打ち上げても広まらない新語のほうが圧倒的に多いだろうけどね。
# 今現在、Wikipedia から Advercasting は消えている。Advercasting を定着させたい勢力と、消したい勢力のせめぎ合いが起こっている模様
投稿者 秋元 : 16:45 | コメント (1) | トラックバック
2005年11月14日
del.icio.us が見つけた Web2.0 の定義
いいかげん飽きてきた気もするが Web2.0 の話題。
del.icio.us の中の人ブログで del.icio.us でつけられたタグの統計を基に Web2.0 とは何かの分析をしている。
del.icio.us のブックマーク全件の中で、23万件の URL が、7000 個の他のタグと共に "Web2.0" で登録されている。"Web2.0" タグと同時に出てきた他のタグを多い順に並べると、
- ajax 9.9%
- blog 6.1%
- social 4.2%
- tools 4.1%
- software 3.3%
- tagging 3.3%
- javascript 2.8%
- internet 2.6%
- programming 2.5%
- rss 2.5%
ということで、「タグが付けられて、RSS を提供するソーシャルブログを、Ajax を使ってプログラムしたソフトウェアとして提供。便利ツールも同時に公開」すれば Web2.0 間違いなし!
投稿者 秋元 : 12:06 | コメント (2) | トラックバック
2005年11月11日
Java One で気になったトピック (1) サーバサイド編
JavaOne Tokyo 2005 でいろいろ仕入れてきた知識のまとめ。
全体的に、「Java SE 5 の Annotation 取り込みました。結果楽チンになりました」というものが多いけど、実際にコードサンプルを見せられると、威力は明らか。C# の人とかからすれば「いまさら」なんだろうけど。
EJB3.0
- Annotation で、すごく簡単に書けるようになった -> コードサンプルを見た感じ同意
- Hibernate などからいいところを見習った
Shale
JSF の拡張。Struts の反省を生かし Struts の McClanahan が作っている新フレームワークJAX-WS2.0, JAXB2.0
- EE5 や SE6 で内蔵される
- JAX-WS2.0 での RESTful のサポートとか
- java.net で開発版公開されているので、すぐ試せる
StAX
- DOM, SAX に続く第三のパーザ
- 軽い処理、一部だけを抜き出す処理が楽に書けそう
Java EE 5
EJB3.0, JSF1.2, JAX-WS2.0, JAXB2.0 なんかを含む。これまでの反省から、各技術要素のばらばら感を減らすようにインテグレーションを深めているとのこと。20061Qリリース予定。Project GlassFish
- Sun がメインで作るオープンソースアプリケーションサーバ
- Java EE 5 を先取りして遊べる
Sun Java Studio Enterprise 8/Sun Java Studio Creator 無料公開
こんなん無償にしちゃっていいのかね。
投稿者 秋元 : 19:34 | コメント (2) | トラックバック
勝手に片付く机
なるほど。これなら机の上はいつもキレイだ。ってオイ。
右側の画像をクリックすると動画が見られる(音あり)
今月と来月(2005/11, 12月)に横浜でやっている BankART 1929 という展覧会に出展されている作品らしい。日本語でこの「Katazuke」の説明が見当たらないんだけども。
JavaOne Tokyo 余談
JavaOne Tokyo 2005 の感想を書きたいが、立て込んでいて(3日フルに行ったからなあ)ちょっと書けない。とりあえず一点、Java と直接は関係ない話だが。
arclamp.jp の鈴木雄介さん(いつもブログを読ませていただいている。Java の最新技術や開発技法に興味のある人はチェックして損はないブログ)の発表で、プレゼンテーション中のソースコード片の中に発見してしまった。 "regist" は間違い。詳しくはこちら「regist という英語は無い」を。
発表自体はとても良かった。Ajax, Web2.0 界隈とサーバサイド Java の関係って、他のスクリプト言語に比べて距離を感じることがある(特に日本で。英語圏には物があるけど日本に紹介されないことも多い)が、Java でも当然 mash up はできるし、使う技術をうまく選べばけっこう楽にできそう。
プレゼンとソースの regist は、あっという間に修正していただいた。小うるさい指摘につきあっていただいて感謝。
ブログには書かなかったが、先月も同じ東京国際フォーラムでの別の展示会で、デモプログラムのボタンに"regist"と書かれていてその場で指摘。毎月のように regist に遭遇している。
まったく英語がわからない人なら辞書を引くだろうけど、updater から update を、creator から create を類推できるような英語勘のある人のほうが引っかかる落とし穴なんではなかろうか。
# regist 問題については僕のライフワークだと思っている。いや、冗談抜きで。
投稿者 秋元 : 11:54 | コメント (2) | トラックバック
2005年11月09日
JavaOne Tokyo 2日目終了
へろへろっす。でも楽しいっす。明日もがんばろー。
JavaOne 終わって時間できたら、JAXB の新しいやつと StAX、あと NetBeans も触ってみよう。他にもいろいろあるんだけど。もう Java SE のアップグレードはいいよ、と思っていたが、いつのまにか 6、そして 7 を待望している自分が。
まとにかく、カンファレンスの類はモチベーションアップに非常にイイ!! と思った。
# しかし、2日にして Bloglines の未読状況がたいへんなことに。。。
投稿者 秋元 : 22:26 | コメント (1) | トラックバック
2005年11月07日
これが Web2.0 だ!
うわぁ
投稿者 秋元 : 20:55 | コメント (2) | トラックバック
Ajax Office じゃない何かを目指すべき
OpenOfficeの発展が意味するものを読んで。
Ajax で MS Office の完全再現は無理だし意味もないだろう、という話は僕も書いたけど、それよりもずっと先を見た考察がされていてたいへん参考になった。まさに、Dave さんの書かれているような製品/サービスがいずれは来るだろうし、(Ajax Office じゃなくて)それを作ったところが抜きん出た立場に立つことになるのではと思う。大事なのはワードやエクセルそのものではなくて、ほんとうに解決すべき問題は何か、ということなのだ。
Ajax Office の話で感じていた違和感を他の話でたとえるなら、以前、オンラインの判子システムを見たときの違和感に近いものがある。
# いまだにそういう製品に携わっている人がいて、非難されていると思われたら申し訳ない。が、個人の意見として書かせていただく。
昔どこかの展示会で見たとあるシステムは、オンラインで回ってきたワークフローに「印影が押せる」ことが売りとなっていた。上司が承認をすると、ブラウザで表示された稟議書の一角にあるボックスに、赤いハンコマークの画像がつく、というものだ。そのハンコを押せるのは、権限を持っている役職者だけで、現実社会と同様、「部下にハンコを預けて代理で押させる」機能も考慮されていた。
今、Web1.5 から Web2.0 といわれるサービスに慣れてきている身で考えれば、こんな形でハンコをシステム化することには意味が無いように思う。ブラウザ上の画面に赤い印影をつけることは、どう考えたって仕事の本質ではない。しかし、こういうシステムを開発しているところも何社もあり、こんなシステムがほしいと要求している顧客もそれに数倍して存在するのかもしれない。
MS Office の操作性を Ajax でブラウザにそのまま持ってこようという試みは、上記のようなハンコシステムと同じ間違いなのではないだろうか。そんな製品が仮に出たとしても、Dave さんが予見されるようなシステムが登場し、大ヒットとなった頃には、ああそんな製品もあったね、と笑い話になってしまっているのではないだろうか。
# 書いた後で検索してみたが、最近の電子印影システムには、電子証明とリンクさせて、印影があることは証明されていることだ、というところまでやっているものもあるようだ。であれば、どうしてもハンコのメタファーがないと仕事にならない組織では意味はあるのかもしれない。が、しかし、うーむ。やっぱりそういう仕様を要求してしまうことには疑問を感じてしまう。
投稿者 秋元 : 18:42 | コメント (7) | トラックバック
2005年11月04日
Web2.0 が直面する 10 の課題
10 Issues Facing Web 2.0 Today で、現状の Web2.0 (といわれるもの)についての 10 の課題をまとめている。
1. 行き過ぎた熱狂
Web2.0 を何でも解決する魔法のように喧伝する人々の存在が事態を悪化させうる
2. わかりやすい定義の欠落
これが Web2.0 だ、という簡潔な定義が無い
3. 古いポスターの子供達(? 意味不明)
今 Web2.0 としてもてはやされているサービスに、日常生活に必須の物や、多数の一般ユーザが使っているものは無い
4. 要常時接続
常時接続のインフラ普及に依存している
5. Web2.0 御用達技術としての Ajax
Ajax には限界があり、本質的な UI 改善はブラウザの進化で為すべき
6. 技術偏重主義
Web2.0 がどう動くかの仕組みに囚われすぎてはいけない
7. "Web2.0"という看板への、たちの悪い執着
Web2.0 であると語るのではなく、単に作れ
8. 作らずにブログする
Web2.0 が何か議論している暇があれば、何か作れ。Web2.0 支持なら Web2.0 サービスを、不支持なら Web2.0 よりすごいものを
9. 厳しい現実からの逃避
ビジネス性やオープン性に関する正しい判断が必要。成功とオープン性の同時追求は難しいのかもしれない
10. 軽量開発モデルへの適応
頻繁なリリースを行うための開発/リリース手法の追求
原文は非常に長い上に、それぞれのポイントを補強する各サービスや別ブログへのリンクが多い。
投稿者 秋元 : 17:03 | コメント (4) | トラックバック
Perl monger 、サイボウズ・ラボへ入社
11月1日から、あの竹迫さんがラボに合流した。ラボに Perl 色がグッと注入された感じ。僕は Perl はダメ(いろんな意味で^^;)なんだが、これは期待。
ユーザが期待するページデザイン (クリックされやすいネット広告 ^^;)
Examining User Expectations of the Location of Web Objects では、304 人への聞き取りを基に、ウェブページのどこに何があると期待されているか、を調べている。
ウェブサイトに置かれる(コンテンツ自身以外の)5つの要素は以下、
- サイト内へのリンク
- 他サイトへのリンク
- ホーム(トップ)に戻る
- サイト内検索
- 広告スペース
それぞれについて、サイト内へのリンクは左端にあると思われていることが多い、といった結果を、賛同者が多いと色が濃くなるグラフで表している。(各グラフはリンク先の記事を参照)
ページの最後には、すべての調査をまとめたグラフがあり、どこにどの要素を配置すれば、「よりユーザが意表をつかれない」デザインにできるかを考える参考にできる。これはウェブサイトを設計する際の重要な知見の一つと言えると思う。
トップへ戻るリンクが左上、というのは、わざわざ言われなくても今ではほとんどのサイトがそうしているだろう。ただ、ページ最下部の中央にも、同じくらい、トップへ戻るリンクを期待している人がいる、などといったこともわかる。
僕は、まったく別々に作られた様々なアプリが、一つ使えれば他も見よう見まねで使える、というのがブラウザベースのアプリケーションの大きな利点だと思っている。なので、こういった配置情報も、ユーザがウェブアプリを操作する際の違和感を軽減するための重要な要素だろう。
何か新しいウェブサービスを開始する際には、こういった典型例から外れないデザインが重要だと思う。
一つ面白いのは、(5) の広告配置(Figure 5)。ユーザは、「このあたりには広告がよく置かれる」と思うエリアがあるわけで、そういう場所に置かれた広告は、より簡単に無視されやすい。広告があると思いにくい場所、そういう「意表をついた場所」に広告を置くことで、思わず広告を読ませたり、クリックさせたりできるのではないか、みたいな話も書かれていた。上がその図。白いあたりが「まさか広告だとは思わなかったよエリア」、ということに。ココ重要。
投稿者 秋元 : 14:02 | コメント (2) | トラックバック
日経コンピュータ2005/10/31号にて取材を受けた
日経コンピュータ 2005/10/31号、p.22 にて、サイボウズ・ラボの成果第一弾であるオープンソースライブラリCBL Partial Updater をご紹介いただいた。取材は、新技術用語である Ajax についてご説明させていただいたもの。
# 本文では「データベース検索用」となっているが、データベースは無関係で、PHP 用の Ajax 開発ライブラリだ。
「オープンソースソフトウェアの作り方」がオンライン公開されている
Producing Open Source Software
副題: How to Run a Successful Free Software Project
名前の決め方からはじまり、ライセンスの選定、仕様の決め方、バージョン管理、ユーザからの意見の集め方、お金の集め方、メンバー間のコミュニケーションやプロジェクトの運営方法などを一通りまとめている。
2005年11月02日
JavaOne Tokyo 行くよ!
もう4年間も仕事では Java 書いてないけど、サイボウズ・ラボの Java 擁護派としてもフル参加でいくよ。よろしく。
偶然、友人がスピーカーとして来日することもわかった。Sun の Roberto Chinnici (こんな人)で、有料セッション"JTSJ004-02 Next-Generation Web Services in the Java Platform" にて JAX-WS 2.0 の解説をするようなのでこれも聴講(直接セッション概要へのリンクが張れない。SEO 的には問題ありなサイトだなあ)。楽しみだ。
追記:
偶然の再会を果たした Roberto は、初日に 2 コマ話して放免となった。初日の夜に、銀座でしゃぶしゃぶを食べた。しゃぶしゃぶは初めてということだが気に入ってもらえたようだ。
JavaOne 出張に合わせて休暇をとったということで、今頃は地方をまわって日本観光を堪能しているはず。
Ajax や Ruby on Rails の発音
DigitalLife TV Episode 10 で、zVent のCTO 、Tyler Kovacs が Ajax と Ruby on Rails の関係を素人(でもないか)のおっさんに説明していた。(zvents についてはこちら)
梅田さんも書いてるが、全方位的に英語ができなくても、自分の専門の英単語だけ知ってれば英語圏でも仕事はできるようにはなる。「Ajax とか Prototype.js 、Scriptaculous、Dojo 」とか、個々の用語を知ってると、けっこう早口だけどもそれなりに話を追うことができる。また、それらの単語の「より本場らしい発音」も知ることができる。
これが料理の話とかテレビの話題、小粋なアメリカンジョークとかだったら、なんちゃって英会話の僕ではたぶんちゃんと理解することができないだろう。
やはり、自分の興味があること、概念を知っていることについてのリソースを探して、それを繰り返し観たり聴いたりするのが、仕事の英語を身につけるにはいいんじゃないかな。おすすめ。IT Conversation もとてもいいんだが、画像があるとリスニングが追いつかないところを画像が助けてくれることもあるので。(逆に言うと、画像を見てわかった気になってしまう危険ともいう)
また、そういう「狭いドメインの mp3 や動画」を、ウェブから簡単に探したり視聴したりできるようになっているのは、以前に比べて大きな進歩だと思う。
肝心のコーナーは、全体の 20% ぐらいから 35% ぐらいまで。(QuickTime PlugIn では時間情報が見えなかったので、大雑把で申し訳ない)
# zVent の発音はズを小さく「ズベント」らしい。快傑...
2005年11月01日
Google が OpenOffice に開発リソースを投入
via cnet
Google が、OpenOffice のための技術者を雇う予定を明らかにした。
Sun と Google の提携が発表されて一ヶ月になる。OpenOffice は Microsoft Office のオープンソース対抗であり、Google と提携した Sun は OpenOffice をベースとした StarOffice という製品を売っている。
Google は、元々、オープンソースに対してそれなりに支援をしているため、技術者を数人貼り付けてオープンソースプロジェクトに投入すること自体は目新しい動きではない。IBM をはじめどこでもやっていることだ。
OpenOffice への関与が、Ajax Office、ブラウザで動くオフィススイートを目指しているとは僕は思っていない(OpenOffice のインストーラは 80MB あり、そのロジックをウェブベースアプリケーションに持ち込むことは非常に難しいと見る)が、cnet news でも指摘されているように、OpenOffice で採用されている OpenDocument 仕様をサポートしたウェブアプリを検討している可能性はある。
その何かは、Ajax Office そのものではなく、Google の強み、インターネットによる共有や検索、を生かしたものになるのではないか。
一太郎の Open Document 対応予定も発表されたことだし、今後、Open Document という規格を軸に、ネット上のサービスとクライアント側のオフィススイートの距離が縮まっていく動きが見られるのでは。
Google Maps でもプロポーズ
Ask Jeeves でインターネット広告を使ってプロポーズした話を先月紹介したけど、こんどは Google Maps を使ったプロポーズ。
二人の思い出の地をプロットして、写真とメッセージが表示されるようにしている。仕込みの後で彼女をサイトに誘導して、プロポーズ画面を見せるところも同じ。(関係ないけど、行動範囲の狭い二人だ。一箇所だけサンホゼで、あとはパロアルトから出てない)
これが新時代の The World Wide Wed(Wedding。Web じゃなくて) だそうな。
日本でもやったらウケルかも。ネットやネット広告の思わぬ適用方法、ということでは、日本にも近い事例が。誕生日メッセージとかも贈られたそうだ。