« 2008年06月 | メイン | 2008年08月 »
2008年07月30日
Pushup The Webの日本向けオプション
ブラウザのバージョンアップをさりげなく促してくれる『Pushup The Web』 | 100SHIKI.COMで紹介されている、サイト訪問者に新しいブラウザへのアップデートを呼びかけるJavascriptライブラリPushup The Web。オプション指定で日本向けにもそのまま使えそうなので、やってみた。
<link rel='stylesheet' type='text/css' href='css/pushup.css' /> <script type='text/javascript' src='js/pushup.js'></script> <script type='text/javascript'><!-- Pushup.options.message = 'お使いのブラウザにはより安全な最新版があります'; Pushup.options.reminder.message = '#{hours}時間経ったら再度通知する'; Pushup.updateLinks.IE = 'http://www.microsoft.com/japan/windows/products/winfamily/ie/default.mspx'; Pushup.updateLinks.Safari = 'http://www.apple.com/jp/safari/'; Pushup.updateLinks.Opera = 'http://jp.opera.com/download/'; --></script>
オプション指定で変更したのは、英語の文章のところと、各ブラウザのダウンロードページのURLを日本向けダウンロードページにしたところ。
# 時間のところがちょっとおかしいか。国際化のコード中に英語が埋め込みになってるようだ。
ダウンロードしたパッケージからJavascript, CSS, 画像(ブラウザアイコン)を自分のサーバに配置して、上記のような読み込みをHTMLに追加することで、自分のサイトで対応していない古いブラウザを使っているユーザに対して、ブラウザのバージョンを上げることを提案できる。
2008年07月29日
書評: 最後の授業 ぼくの命があるうちに
献本いただいたもの
この週末に読んでいたのだけれど、その読んでいる最中にニュースで著者ランディ・パウシュ氏の訃報を知ってしまった。
コンピュータグラフィックスやユーザインタフェース界の名物大学教授が、膵臓癌の告知を受けた後で行なった「最後の授業」で語ったことを中心にまとめられた本。講義の内容は字幕つきでネットでも視聴できる。
人は誰でもいつか死ぬものではあるけれど、30代や40代ではそれはまだまだ先のことに思えてしまうだろう。ある日突然期限を切られたときに残りの時間をどうするか。パウシュ氏は大学で講義を行なうことを選んだ。それはまた、幼児~6歳の三人の子供に対して、彼がもっと生きていたなら伝えたかったであろう様々なことを伝える手段でもあった。
ビデオでも文章でも、パウシュ氏の語る言葉には悲壮感が無い。それどころかユーモアに溢れた語り口には思わず笑わせられてしまう。それに、講義のほとんどは氏がいろいろな事柄を障害を乗り越えてどうやって成し遂げてきたかということについての話で、病気や死についての話はとても少ない。
明らかに宗教的ではない理系人間の氏にとって、おそらく死はすべての終わりに違いないと思うのだけれど、その恐怖を前にしてこれだけ自制が効き、自分がこうありたいと思う形を保とうとし続ける心の強さには感服するしかない。
パウシュ氏が子供たちに伝えたいとまとめた、いろいろな状況で役に立つであろう助言の数々は、僕にとっても、そしてたぶん多くの人にとっても、役に立つ、考えさせられるもので、月並みな言い方になってしまうが、氏の考え方がよい影響力となって読者に引き継がれていくのではと感じた。
[書評に関する注意書き]
- 貰って書いた本についてはその旨記述する
- このブログはサイボウズ・ラボの社員ブログなので、秋元個人に献本いただいても、何でも自由に書けるわけではない。
- もちろん、書評以外の他のブログエントリもそうだが、社員ブログではあってもサイボウズ・ラボ全社やサイボウズ・グループの意見を代弁してるわけではない。
- 献本いただいても必ず読めるわけでも、ご紹介できるわけでもない。読書の速度は遅いので、発売前や発売直後に送っていただいても、ご紹介が半年後になるようなこともある
2008年07月28日
symfonyの1.0と1.1のコマンド対応表
PHP5のフレームワークsymfony1.1で、バージョン1.0からsymfonyコマンドの名前が階層化され、大きく変更された。
1.0と1.1のコマンド対応表が出たので、当面はこれを横に置いて慣れるしかないか。
2008年07月27日
ネットセレブメーター
だそうで。Wiredが作ったCelebrity Meter (beta)では、ある人物について
- マイスペースのユーザページ
- twitterのユーザページ
- その人のサイトやブログのURL
を与えると、それらにどれぐらいリンクやfollowが集まっているかを基に、その人のネットでの有名度を計算してくれる。
MySpaceのユーザページを使うのは、日本のユーザではあまり関係ないかもしれないけど。MySpaceを使ってなければ、空欄のままでも動いた。
ブログパーツ(ウィジェット)も提供しているのだけど、僕がやったときはうまく動かなかった。
2008年07月25日
ANOBAR来襲
ANODOS社長の森さんがサイボウズ・ラボに来て、ANOBARのデモをされた。
Chumbyと似てるけど良く聞くと違う点もいろいろあるANOBAR。Chumbyが何台もあるサイボウズ・ラボなので、質問・疑問で盛り上がった。
すぐに一般販売するわけではなく、モニターで配っていろいろな面白い使い方が生まれてくるのを見守る、といった方針だそうだ。
2008年07月24日
Alexa(アレクサ)でニコニコ動画のアクセス数が下がってるって本当?
回答: いいえ、アレクサではそんなことはわかりません。
と、Alexa徹底解析講座をお読みいただいた方には言うまでもないことなのですけど。
アレクサのグラフの読み方を理解せずに書かれた次の記事
【トレビアン】ニコニコ動画のアクセス激減!? その原因は……
が一人歩きして、2ちゃんねるを中心に話題になっているようですね。
リンク先の記事では、アレクサのグラフの傾きでニコニコ動画のアクセスが激減(!)していると書かれているのですが、そもそもアレクサのグラフはアクセス数の絶対値のグラフではないし、アレクサのグラフが右下に傾いていても、アクセス数が減っているとは限らないのですからこの主張に意味はありません。
グラフが右肩下がりになる要因
アクセス数の増減と無関係にグラフが右肩下がりになる理由はたくさん考えられるのですが、たとえば、
- 5月に行なわれた統計処理の変更が影響した
- 日本人のAlexaツールバー利用が減った
- ある程度のユーザーがパソコンではなくモバイルからの視聴に移った
といった仮説は立てられます。もちろん、これで全部ではないです。
上記の仮説について解説していきましょう。
2008年5月に統計方法の変更があった
開発者ブログをずっと読んでいるとわかりますが、Alexaは、そもそも非常に少人数のチームで、予算もあまりない部署で運営されているようです。いろいろな欠点は昔から言われているのですが、長らく放置されていました。
しかし、Markezineでもレポートしていますが、今年4月15日に開発者ブログで集計アルゴリズムの変更が行なわれることが予告されています。
この時に、変更の前後でデータの連続性が無くなるかもしれない、ということは仄めかされています。そして、以前は過去5年間にわたって見ることができた過去のトレンドが、2007年の夏以降の分しか見えなくなっています。これも、新旧のデータで整合性が取れなくなったからでしょう。
また、この新システムでは、ツールバー以外のデータも合わせて利用することも言われています。HitwiseのようなISP経由のデータ収集ではとも言われていますが、詳細は不明です。
日本人のAlexaツールバー利用が減った
アレクサの統計は世界中を相手にしているので、アジア等のネットの活動が活発になるほど、日本のネットユーザの活動は相対的に小さくなっていきます。つまり、日本のサービスの場合、大きく伸び続けていないサービスはすべて、実際にはアクセスが伸びていてもアレクサでは右肩下がりになる可能性があるのです。
さらに、それに加えて、アレクサツールバーのインストールベースが減少する要因はたくさんあります。
主なものとしては、まず、PCやブラウザの変更。Internet Explorerは6から7に、Firefoxは2から3に移行しつつありますが、PCの買い替えやブラウザのアップデートの際に「使っていない」等の理由でアレクサツールバーを再インストールしないことはあるでしょう。
また、アンチウィルス製品の中には、閲覧しているURLを外部に送信するアレクサ・ツールバーを好ましくないソフトとして排除するものもあります。個人や会社でのアンチウィルス製品の普及によっても、日本人のアレクサツールバー利用は減っている可能性もあります。
パソコンではなくモバイルでの視聴に移った
これもアレクサ絡みでは良く見落とす人がいますね。
mixi(ミクシィ)とSecond Life(セカンドライフ)をAlexa(アレクサ)で比べても無意味な理由とは?でも話しましたが、アレクサ・ツールバーが動かない環境、携帯電話やウェブブラウザ以外の独自クライアント等でどれだけアクセスがあっても、アレクサには反映されません。
ニコニコ動画はモバイルもやっていますが、運営者側からみればどちらもサーバへのアクセスは同じです。パソコンで見ていたのがモバイルでも見るようになった人、というのがどれぐらいいるのかわかりませんが、そのような人がどれだけいるか調べずにアレクサでパソコンでしか見ない人の数字の変化を追っても、サーバ側から見たアクセスのトレンドとは違うものしか見えないでしょう。
また、IEやFirefoxといったアレクサツールバーが入る環境以外でニコニコ動画を見ている人も考慮しないといけません。Mac Safariのユーザもそうですし、ニコニコ動画の場合は閲覧用の専用ブラウザもあるので、それらの普及率や利用率も調べないと正しいところはわからないでしょう。
「アレクサはダメ、○○なら信用できる」?
また、今回の件でアレクサ以外の方法(ネットレイティングスとかコムスコア)なら信用できる、と書かれている人もいますが、これもそんな単純な話ではありません。
有料でやっていれば正確、というものでもないですし、集めたデータをどのように処理しているか、のところがブラックボックスで見えないのですから、どの会社のデータにしても正確かどうかはわかりません。
ランダムにサンプルを採用しているから、入れたい人がツールバーを入れるアレクサより正確、というような意見についても、そのランダムがどれぐらいランダムなのかというのを検証する必要があるでしょう。携帯ユーザのデータはどこも収集できていませんし、ネットレイティングスは「メガパネル」というアレクサツールバーと同様、申し込みベースでデータ提供者を集める手法も始めています。
米国では、それらの調査会社が宣伝文句通り中立公平にデータを集めていることを監査させようという意見も出てきていますが、今のところは謎の処理で出てきた謎の数字を、「おおむねあっているようだ」という経験から利用者が信用して使うという状態でしかないのです。
それは、CompeteでもGoogle Trends for websiteでもPathtraqでも同じです。インターネットの利用状況を完璧に調べることは無理なのですから、何か一つの数字だけ持ってきて、それで増えた減ったを主張するのは、インターネットの仕組みを理解していないか、あるいは自分の主張したいことに合った結果だけを持ってきている可能性があります。
筆者の所属するサイボウズ・ラボでもPathtraqというのをやっているので、「Pathtraqなら完璧」と言えると格好よいのですが、Pathtraqも、もちろん、完璧ではありません。パネルが日本人ばかりなので、日本での利用者だけについて見るときはアレクサよりいい点はあるかもしれませんが。
人は簡単な答を望むもの
「激減」という言い切りの記事を書けば注目されるでしょうけれど、「よくわからない」では記事にはしづらいでしょうね。
「その情報では減ったかどうかわからない。増えている可能性もある」と長く書いても、よく読まない人や興味が浅い人は読み飛ばすでしょう。
この記事を読まれても、たぶんすっきりしないだろうとは思いますが、ネットは学校のテストじゃないので、なんにでもはっきり白黒がつく解答があるわけではない、ということですね。
[参考]
NetRatingsのMegapanelリリース [pdf]
投稿者 秋元 : 13:49 | コメント (2) | トラックバック
2008年07月22日
PHPカンファレンス2008に行ってきた
サイボウズ本社のガルーン2に関する発表もあった。発表者は米川氏。パッケージ製品としてPHPを採用、インタプリタをパッケージ向けに改造している話や国際化まわりの実装方法など。
パネルディスカッションのメンバーのPHP関係ない豪華さがすごかった。
# 隣の席の同僚を豪華とか言うと傲岸だろうか。でも豪華だよね。
今年も素晴らしいカンファレンスを開催してくださった関係者のみなさまには感謝。スポンサーの各企業へも感謝。ありがとうございました。
詳しいレポートは以下の方におまかせ
teon FACTORY Topics » Blog Archive » PHPカンファレンス2008
2008年07月18日
それPEAR::Text_Figletでもできるよ
Zend Framework使ってない人もPEAR::Text_Figletにあるのでできるよ。しかもstableだ。
> pear install Text_Figlet
サンプルソース
<?php require_once 'Text/Figlet.php';$figlet = new Text_Figlet();
$error = $figlet->LoadFont('slant.flf');
if (PEAR::isError($error)) {
echo 'Error: ' . $error->getMessage() . "\n";
} else {
echo $figlet->LineEcho('Read Asiajin!') . "\n";
}
実行結果
C:\>php figlet_test.php ____ __ ___ _ _ _ __ / __ \___ ____ _____/ / / | _____(_)___ _ (_)_)___ / / / /_/ / _ \/ __ `/ __ / / /| | / ___/ / __ `/ / / / __ \/ / / _, _/ __/ /_/ / /_/ / / ___ |(__ ) / /_/ / / / / / / /_/ /_/ |_|\___/\__,_/\__,_/ /_/ |_/____/_/\__,_/_/ /_/_/ /_(_) /___/
使えるFigletフォントはPEAR/data/Text_Figlet/fonts に。10種類もあるよ…
もっといろんなFigletフォントを使いたい人は、ここから263フォント入りのパッケージを入手できるよ。拡張子は同じflfだけどフォーマットは違うみたいだから要変換かな。
PEAR::Text_CAPTCHAからこれを呼んで、Figletのキャプチャを出すことも可能。
2008年07月17日
自分と同姓同名の人の数を調べるHowManyOfme
HowManyOfMe(ハウ メニー オブ ミー)
2007年9月にご紹介したHow Many of Meは、姓名を入力すると、その姓や名を持つ人が全米に何人いるのかを、アメリカの国勢調査(Census)のデータを基に表示してくれるというサイトです。
# 広告ポップアップが出るので、ポップアップを防ぐ最新のブラウザを使われたほうがいいでしょう
姓と名を入力すると、その姓や名の人が全米に何千人、何万人いるのかを表示してくれます。(姓・名以外に13歳以上であることの確認をしてきます。アメリカでの法令によるものだそうです)
姓と名が同じ、つまり同姓同名の人についても、両者の数字から推定して見せてくれます。
海外の人名は、映画俳優等のものは聞いたことがあっても、なかなかその名前が多いか、少ないか、といった実感を持つことはできないでしょう。
このサービスを使えば、取引先の担当者の名前がよくある名前なのか、珍しい名前なのかを知ったりすることもできます。あらかじめ調べておくことで、商談の合間のちょっとした時間を埋める会話(スモールトーク)で「珍しい苗字ですね」といった話を相手に振ることもできるかもしれません。
ブログパーツ(ウィジェット)やFacebookアプリにも対応していることから、最近もサイトに手が入れられていることがわかります。
日本の類似サービス
日本でも、姓を入力するとその苗字がどれぐらい多いものかを返してくれるサイトはあります。(1), (2)
苗字だけでなく名前のデータも入手したり、本家のようなブログパーツ対応などをすることで、HowManyOfMeの日本版を作ることもできそうですね。
政府公開データの量や質
アメリカには、この手のデータベースを活用した、作り自体はそれほど手のかかっていないサービスが多数あります。アメリカの政府系のサイトでは、収集したデータをプログラムが処理しやすい形で公開していることが多いので、それを使ったサービスも自然と多くなります。
ちょうど最近『「社会調査」のウソ』という新書を読んで、日本にはアメリカに比べて大規模で継続的な調査が少ない、とか、集めたデータを広く公開していない、という著者の指摘を見たところでした。
いろいろな統計が電子的に、検索や集計のしやすい形で提供される機会が増えていくと、それを活用した面白いサービスも増えるのではないかと思います。
アメリカほど量はないのでしょうが、政府統計の総合窓口、等のサイトで公開されている統計情報を見ることで、新しい切り口のネットサービスにつながるかもしれません。
「誰もが持っている」名前という属性
連載一回目の行ったことのある国を記録するサイト「World66」でも少し触れましたが、訪問者との相互作用で楽しませるタイプのネットサービスでは、誰もが努力無しに備えている属性を使うものほど、間口が広くなります。
脳内メーカーなどもそうですが、自分の名前を入れるだけで他人と異なる面白い結果が出るというサービスは、これまでも、これからも多数出てくることでしょう。自社サイトで提供している製品やサービスと、ユーザの氏名を結びつけられないかは考えてみる価値のあるテーマではないでしょうか。
投稿者 秋元 : 11:43 | コメント (2) | トラックバック
2008年07月16日
lifehacker[日本版]トークイベント
アメリカのライフハック系有名ブログlifehackerの日本版が14日からはじまったということで、ローンチ記念トークイベントというのが開催されたので聞きに行ってみた。
今回の日本版を担当するのは、Gizmodo Japanをやっているメディアジーン社。Gizmodoの日本版は200%の成長率で日本語の読者を増やしているそうなので、その勢いでGawker Mediaのブログ群から二番目に人気のあるブログを持ってきたということだろう。
# 個人的にはValleyWag Japanese希望(笑)
本社からVPが来日して挨拶。GizmodoやLifehackerが調子いいこと、Lifehackerを出版した本もよく売れていること、などを話した。
日本に進出している有力な海外ブログの一覧は二年前にまとめたのがあるので、更新しておいた。つぶれてしまったものもある。
ならべてにも海外ブログの日本版比較表を作ったので他にもあればぜひ追加をおねがいしたい。
The Googlingが帰ってきた
Google Mapsを題材にした短編ホラーThe Googlingの1がヒットしたのは一年前。
これが第一作。これは英語がわからなくても楽しめる。
そのすぐあとに第二作目が出ている。これは月を扱うグーグル・ムーンをネタにしたもの。読み筋はカプリコン・1
Googleのサービスをテーマにしたこの短編映画シリーズ、The Vacationeersというグループが作っている5作シリーズだということ。一年の時を越えて、IIIとIVが公開されていることに気づいた。
先週公開されたThe Googling IIIはこれ。Google Mapsをカスタマイズして彼女との出会いや思い出を作ったのを友人に見せていたのだけれど、なぜかそこに「彼女が他の男とキスしているところを発見」「モーテルに入ったところを尾行」「死体を捨てた場所」と知らない情報がマップされていて…
IVはGoogle SMS検索。デートをしてるときにSMSでメッセージが入ってきて…
これも怖い。
どれもアイデアが良くて楽しめる。シリーズは5本ということなので、Vにも期待したい。
2008年07月14日
第一回ソーシャルブックマーク研究会に行ってきた
参加者のレポート率が非常に高いので出遅れた感があるけども。東工大大岡山キャンパスで土曜日に終日開催された、ソーシャルブックマーク研究会(SBM研究会)を聴講してきた。
はてな、ECナビ、livedoorクリップ(担当違う?)、favgrなど中の人がいっぱい来ていた。土曜日に朝から一日やるという会に100人近い参加者。
全体的によく準備されていて、初回・90人もの参加者・無料ということを考えると素晴らしい運営だった。内容については充実したレポートがいっぱいあるのでそちらをどうぞ。
他の方のレポートでいろいろ書かれているとおり、発表はバラエティもあって良かった。途中、アルゴリズムの詳細に入ったようなところは難しくて寝そうになったけれど。
ひとつ気になったのは、Yahoo!ブックマークもYahoo!みんなのトピックスの名前も出なかったところ。(曖昧な状態のときに言われてたら申し訳ない。)
実際はこの二つが日本のソーシャルブックマークとソーシャルニュースのトッププレイヤーか、それに近いところに来ているのではと僕は思っているのだけれど(データは持ってない。勘ですいません)。発表・質問・懇親会での話からすると、圧倒的に、はてなブックマークのユーザが多かったみたいで、データマイニングやマッシュアップの話もはてなのデータを使ったものばかり。たとえばYahoo!ブックマークで一番ブックマーク数の多い記事は17万人を越えている。
はてなブックマークが日本のウェブ開発者達の中心の一つであることは確かだし、asahi.comや日経BPなど伝統的なメディアにもブックマークボタンを置かせている点はすごいけれど。
このあたりはソーシャルニュースも同じで、じつはYahoo!みんなのトピックスが日本で一番成功してたりしないんだろうか。(日本では米国式のソーシャルニュースは成功しにくいと思うので、その中で一番ということだけれど)
FAQでもYahoo!の名前が出てこない。
さらに言うと、アメリカでも業界人が多い一番手のソーシャルサービスというのは微妙な状況におちいっている。ソーシャルブックマークの第一人者del.icio.usは勢いを無くしている(Yahoo!による買収。バージョン2開発の遅れ。創業者のYahoo!退社など)。Diggの方も、Yahoo! Buzzに抜かれてるんじゃないかという話もある。僕は両方好きだけど、好き嫌いとは別にして。
ソーシャルブックマークの認知度7%という面白い調査結果の紹介もあったし、ソーシャルブックマークを広めたいという気持ちの人が多かったが、「ソーシャルブックマーク」という名前を使わずに別のものが取って代わったりするかもしれないというところも見る必要があるのかなと感じた。
それと、ソーシャルブックマークの普及自体は善なのか、とか、普及してみんなの推薦が集まったとしてもその結果が役に立たないものばかりになる、という可能性はないか、とか一つ外側の枠でも研究してほしいかなと。ソーシャルブックマーク自体が数年経ったものでしかないし。
といいつつ、ソーシャルブックマーク関連では一つやりたいアイデアはある。非常に刺激になったし、ぜひ第二回にも参加したい。
2008年07月11日
favthumbs - ブックマークのビジュアライズ
del.icio.usブックマークのアカウントを入れると、グリッド形式や
カルーセル形式でサムネイルと合わせて表示してくれるというサービスfavthumbs
最近ブックマークしたものをつらつらと見返して、検証やブログ書きを忘れていたものを発掘するのにいいかもしれない。
他人のブックマークでもアカウントを知ってれば見ることができる。
2008年07月09日
twitterで7000人にフォローされる方法。あるいはtwitterスパム注意報
twitterを使ってる方も多いのではと思うのだけれど、みなさんはユーザーjmcoonをフォローしてたりしないだろうか? twitterではfollowスパムの活動がひどくなってきているようだ。
twitterでは、他のユーザをfollowすることで、その発言(tweet, つぶやき)を自分のページで読むことができる(API経由でツールで読むときも同様)。
多くの人にfollowされている人は、twitterでつぶやいただけで多くの人に意見やリンクを紹介できる、ということで、その影響力を表すためにfollowerの数をランキング化するtwitterholicのようなサイトも存在する。
本当の有名人(Digg創業者のケビン・ローズさんとか、大統領候補のオバマ氏)は、4万人を越える購読者(followers)が実際についている。しかし、人気があるからfollowers数が多い、を逆用して、followersの数を増やすことで自分の人気を大きく見せようというスパム・ユーザは以前から登場していた。
まず登場したのは、followされると必ず(相手を確認せず)followし返すようなユーザが一定の割合いることを利用して、とにかくたくさんfollowする、というものだ。
相手も確かめずにfollowし返す人なんてそんなにいるのか? と思うかもしれないが、約20%、つまり5人に一人は知らない相手でもfollowされるとfollowのお返しをするという実験結果がある。
このルーマニアの学生Stefan Tanaseさんによって行なわれたという「実験」も、実験の名を借りたスパムという気もしないでもないが。彼は、こむらおせん(Osen Komura。小村お千?)という着物姿の女性のアイコンのtwitterユーザを放って、4万人を越えるユーザをフォローさせている。このOsenにフォローしている人数が8000人超であることから、上記の「5人に一人はfollowをオウム返しする」という結論となる。
# ちなみに、Osenはtwitterholicのランキングからは外されている。
この手法で、プログラムにユーザのfollow先を辿らせるなどして、大量の知らないユーザをフォローするスクリプトが多数登場した。
そうなると、20%のユーザの中にも、相手がそういうフォロー返し目的のスパマーじゃないか確認する人も出てくる。followしてきた人のページを見に行って、followingの数が数万、数十万だったときには、「無差別にfollowしているんだな」とわかってfollowをし返さないユーザも増えてくる。
それに、ブログでは、followingとfollowersの比率が重要なのでは、という意見も出てくる。たくさんfollowしていればたくさんfollowersもできるのは当たり前で、followしてないのに人からは多数followされているような人が有名人なのでは、と言う主張も出てきた。
そこでスパマーjrmoonの登場である。
この14歳の少年は、友達3人といっしょにスクリプトを用意し、数万人を自動followさせることで7000人のフォロワーを獲得した。そのことをうまく隠蔽して自分を重要人物に見せるために、followは小出しに行なってfollowingの数が増えないようにし、さらに相手からfollow返しを受けるとすぐに自分のfollowは切ることで、常に「ごく少数しかfollowしていないのに何千人からもfollowされている、ネットの超有名人によくあるパターンのfollowing/followers数」を見せたようなのだ。
ユーザフィードバックを受け付けるサービスgetsatisfaction.comでも、このJmcoon問題は長く議論されている。
Jarret Moon少年はtwitterから一旦はブロックされたようなのだけれど、そのあとアカウントは再開されて、前ほどではないけどやはりランダムなfollowとfollow停止を繰り返しているようだ。どこからがスパムかとか、スクリプトでやってるに違いないと思っても全部手でやったと主張されたらどうするのかとか、twitter運営側の対応も難しいのかも。
7000人超のfollowersを集めたjcmoonは、前述のtwitterholicでも63位(今日付け)にランクされている。今日の数字では被フォローが7016人に対してフォローが26人!だ。
この問題は(1万人に1人でも買われれば儲かる)スパムメールと同じだ。自動的にfollowを返す人が居なくならない限り、twitter followを大量発行するスパマーは増えていくことがあっても減ることはないだろう。そして今20%もの人が「follow返し」をするのだとすると、これが0%になる日は来ないように思う。
購読しない限りメッセージは来ないからスパムとは無縁、というのがマイクロブログの既存メッセージングシステム(e-mail等)に対する利点だったはずなのだけれど、ネットワーク構築時の通知メールを無くすのも難しいだろうし、どう対処してよいのだか。
p.s. おおそうだ。影響力を上げるために(笑)、僕のtwitterのアカウントを紹介しておこう。
[参考]
http://www.doshdosh.com/how-to-get-more-twitter-followers/
http://valleywag.com/5019585/how-to-make-an-easy-1000-++-sell-your-twitter-background
http://valleywag.com/5019652/yahoo-spamming-twitter-to-promote-live-video-service
[Update 2008.07.28] TechCrunchで、twitterの脆弱性を利用して勝手に他人にfollowさせるユーザが登場した、というレポートが出た。followされた数を上げるためにスパマーがテクニックを競っているような状況になってきた。
2008年07月08日
映画を一枚の画像に収めるThumber
「映画を一秒ごとに切り取って全部つないだらどう見えるのか」というのを実際にやった上に、マック用のツールまで作って公開した人が現れた。Thumberがそれ。
ではこれは何の映画?
答えは「ブラックホークダウン」だそうで。
これは「リベリオン」。
リンク先に20個ほど映画をThumberizeしたものが展示してあるが、「バレットモンク」とか、なんか映画の選択が独特だよ。「マイノリティ・レポート」が青い映画なのに対して、「レジェンド・オブ・ゾロ」は黄色っぽい映画だ、というのがわかる。
わかるからどうした、というかもしれないが、動画の違った捉え方の提案ということで。
Mac使いの人は、QuickTime形式になっている動画から好きなだけこの動画サムネイルを作ることができる。
2008年07月03日
単語になるドメイン名を探せる Domain Hacks
タイトル: 単語になるドメイン名を探せる Domain Hacks
サブタイトル: 社名やサービス名のドメインが取れなかったときに試すサービス
del.icio.usという英語圏の人気サービスがあります。日本で言うとYahoo!ブックマークやはてなブックマークに対応する、ソーシャルブックマークの代表的なサービスです。
今でこそみんなこの".us"で終わるドメイン名に慣れていますが、サービスの登場時には".us"って何だ、どこだ? というような話をウェブで良く見かけたものです。
".us"というのは、アメリカ(USA)の国別ドメインなのですが、ご存知のとおりアメリカはインターネット発祥の地で、.comや.net、.eduや.govといった国名の入ってないトップレベルドメイン(TLD)はみんな「基本的にアメリカ」だと思っているので、わざわざ".us"ドメインを取得して使っている会社やサービスは多くありません。
"us"というあまり使われていない、つまり沢山空いているTLDを知っていたことと、英単語の中に"us"で終わるものがあるということの二つに気づいたdel.icio.usの人が、この二つの知識を組み合わせることで、「英単語そのままで覚えやすいドメインがなかなか取れない」という障害に対する素晴らしい回答を見つけた例だといえます。
今回は、".com"や".jp"だけがTLDではない、という考えで、世界中のいろいろなTLDを使って、覚えやすいドメインを作るにはどうするか、を支援するツールサービスをご紹介します。
Domain Hacks(ドメインハックス)
このDomain Hacksというサービスは、ある単語を入力すると、その単語を過不足なく使ったドメイン名を、世界中の国や地域のトップレベルドメインを駆使して提案してくれるというサービスです。
僕のブログでは2005年の10月に紹介していますが、その後もいろいろなところで紹介されていて、活用されているようです。
例として、"akimoto"という単語を入れてみましょう。
すると、".to"というトンガのドメインを使った akimo.to という提案をしてくれます。
他にも、サブディレクトリ名と組み合わせることで http://aki.mo/to/ (マカオのドメイン)などのドメインも提案してくれます。
ここの検索結果では、そのドメインが空いているかどうかまでは教えてくれませんが、ドメインの登録情報を調べるWhoisサービスへのリンクや、それぞれの国のドメイン管理者の情報などへのリンクが表示されるので、それを辿って、実際にそのドメインが空いているか、ドメインを取るにはどこへいけばいいか、という情報を調べることができます。
このサービスは、人力で調べるとたいへんな時間がかかりそうな作業を、プログラムの力を使って簡単に提供した、という点ですばらしいですね。ドメイン名以外に似たような問題があるかどうかはちょっと思いつきませんが、もしそういう問題があったら、このような視点の変更や語呂合わせをサポートするツールを提供することで今まで売れなかったものを売り込んだりできるのではないでしょうか。
deliciousドメインの顛末
さて、トップレベルドメインをうまく活用したdel.icio.usですが、その後サービスの大成功を受けてYahoo!に買収されます。また、最初は入手することができなかった"delicious.com"も、強化された資本の力で手に入れてしまいました。
そうなれば、"delicious.com"のほうが覚えやすいし、ブラウザによっては".com"を入れなくてもアクセスできるので切り替えてもいいように思うのですが、ユーザがあまりに"del.icio.us"という変な表記の方に慣れたせいか、わざわざ
delicious.com → del.icio.us
の転送を行なっています。面白いですね。