2009年05月27日

書評: マーケティングとPRの実践ネット戦略

いただいたもの

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ブログ・ニュースリリース・ソーシャルメディア、など、オンライン上で自社やサービスを知ってもらうためのいろいろな手法についてまとめられた本。

旧来の新聞や雑誌社と、ブロガーへのPRがどのように違うのか、といったことも、成功事例や失敗事例を豊富に出して説明している。

アメリカ・英語のウェブについて書いているので、必ずしもすべてがそのまま適用できるわけではない。たとえば、ウィキの活用やポッドキャスト、といったあたりは、英語に比べると日本でのパワーは落ちるのではないかと思うし、原著が書かれた時期から無視は出来なかっただろうと思うが、セカンドライフでのPRがその後どうなったのかはご存知の通り。しかし、ブログやソーシャルメディアについては日本でのサービス・ユーザ動向が米国のそれを後追いしているパターンも多いので、あちらで起こった事件や成功例を知っておくことは役に立つのではないだろうか。

とにかく多くの具体的な手法が書かれているので、今自分が使っていない方法を試してみるのもいいし、有効と思えた手法を今のマーケティング&PRに加えてもいいだろう。(著者自身も、書いたことを全部実践できている、とは言っていないし、全部を実施すべきとも言ってない。)


[書評に関する注意書き]

  • 貰って書いた本についてはその旨記述する
  • このブログはサイボウズ・ラボの社員ブログなので、秋元個人に献本いただいても、何でも自由に書けるわけではない。
  • もちろん、書評以外の他のブログエントリもそうだが、社員ブログではあってもサイボウズ・ラボ全社やサイボウズ・グループの意見を代弁してるわけではない。
  • 献本いただいても必ず読めるわけでも、ご紹介できるわけでもない。読書の速度は遅いので、発売前や発売直後に送っていただいても、ご紹介が半年後になるようなこともある

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2009年04月21日

ソフトウェアデザイン2009年5月号

いただいたもの

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年度の替わり目で、連載の多くが入れ替えになったSoftware Designをいただいた。

Ubuntuの特集ページが一番多い。僕も一台サブマシンにUbuntuは入れてるのだけれど、そんなに使い込んでないので「手間のかからないLinuxディストリビューション」ぐらいの意識しかなかった。特集を読んでたら面白そうなサブプロジェクトがたくさんあると気づかされた。

あと気になった記事は、Vaio Type PにFreeBSD入れる話(毎号別のパソコンにFreeBSDを入れる連載らしい)とか、気象予報のためのモデリングとプログラミングのエキスパートSteve Lordさんのインタビュー、タイムリーに心配なZFSの第二特集など。

2005年~2007年の3年36冊分の特集がPDFとして付録CD-ROMとしてついていたので、今号はお買い得かもしれないね。


[書評に関する注意書き]

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2009年02月23日

書評: Subject to Change 予測不可能な世界で最高の製品とサービスを作る

Subject To Change――予測不可能な世界で最高の製品とサービスを作る

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なんか読むのに時間がかかった。あのAdaptive Path社がプロダクトデザイン・コンサルティングについて解説するという本。

イーストマン・コダック、Tivo、薬瓶、おしり拭き、iPod、Flickr、Netflix、ダイソンなどのプロダクトデザインの成功例や、アイデアはすごいように見えるけど実際には失敗だったプロダクトを上げて、プロダクトデザインで気をつけるべきことを説明している。

7章では「アジャイル」が登場。ソフトウェア開発プロセスでもおなじみの話なのでここだけはよくわかった。試してみて調整を繰り返すことでよいものが作れる、という話。

読んでいてもなかなかスカっとした感じにならなかったのだけれど、僕が専門外であるということの他に、Adaptive Pathの人が成功の要因を単純な法則的なものに落とし込んでおらず、そのような「これをやればOK」という答えも無い、ということなのかなと思った。

一章一章に書いてあることは理解できたのだけれど、それらを理解して自分の課題に対して何ができるかは、それぞれが自分で考えないとだめ、ということなのかもしれない。


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2008年12月24日

書評: Trac入門 ソフトウェア開発・プロジェクト管理活用ガイド

献本いただいたもの。

Trac入門 ――ソフトウェア開発・プロジェクト管理活用ガイド
著者/訳者:菅野 裕 今田 忠博 近藤 正裕 杉本 琢磨
出版社:技術評論社( 2008-09-18 )
定価:¥ 3,024

Trac入門 ソフトウェア開発・プロジェクト管理活用ガイド

僕は、Tracに限らず世の中の多くのバグ管理システムはエンジニア以外には非常に使いづらいのではないかと思っているけど、それがエンジニアには十分問題なく使えていたりする。結局、誰の手にもぴったり合うようなツールって無理なのかなあ、とも思うけど。これはこの本には直接は関係ないかな。

1章では、課題管理システム(Issue/Bug Tracking/Management System)がどうして必要か、を、短編漫画も入れての説明。バグ管理システムの類は、一人のプログラマとしてはけっこう優秀なのに、チーム開発の経験不足とか過去に参加したチームがこういうリリース管理をしてなかったからとかいう理由で有用性を知らなかったり、理解できなかったりする人がいたりするので、この導入部分は大事だと思う。

3章はTracを実際に使ったときの業務の流れを解説。4,5章の実プロジェクトへの導入やSubVersionとの連携についても、丁寧でわかりやすい。

また、6章の逆引きは、Tracでやりたいけど設定をどうしたらよいかわからない、というありそうな項目多数について、手順が示されていてこれも役に立つ。

なんとなく使えているTracだけれど、この本を読んでいると使ってない機能や可能なカスタマイズがとても多くあることに驚く。こういう本として一冊にまとまっていると、はじめてIssue管理システムに触れる人やIssue管理をさせる人たちにも説明が簡単に済んでいいのではと感じた。


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投稿者 秋元 : 10:15 | トラックバック

2008年11月27日

書評: アーキテクチャの生態系

献本いただいたもの。

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ニコニコ動画の非同期な同期性を解説したオンラインの記事等が有名な濱野智史さんの本。

日本人による近年のウェブサービス・ウェブトレンド解説ということで、GoogleやYouTube、Twitterだけでなく、2ちゃんねる・Mixi・Winny・ニコニコ動画・ボーカロイド・ケータイ小説、などが対象とされ、なぜそれらのサービスや製品が日本のウェブで人気を博したのかが考察されている。

読んでいると、「この人どんだけ2ちゃんねるが好きなんだ」(僕も好きだけど)とか、「ニコニコ動画好き過ぎる」(僕も好きだけど)とか伝わってきてしまった。今の日本語のウェブをヘビーに使い倒している人たちの思考を知りたいという人にも、流行したサービスの何が良かったのかを知りたい人にも役に立つ点があるだろう。

非常に面白かった点: 爆発的ヒットとなったケータイ小説「恋空」のどこが「リアル」なのか、の考察

著者も恋空が文学的に素晴らしいと言っているわけでは決してないけれど、漢字が正しいとか語彙の選択が正しいとか文章の組み立てが正しいとか因果関係が正しいとか、そういった従来の正しさとはまったく違うところに、ケータイで四六時中連絡を取り合っている者であれば理解できるような(そうでなければなんでそんな描写がやたらと登場しているのか理解できないような)説明文が多数あるのだ、という分析にはうならされた。

僕は対象となるケータイ小説を読んでないし、ケータイ小説のメインターゲットの生活風俗もよくわからないので、それがどれだけ正しいのかはわからないけど、小説を引用しての本書での説明だけでも、ケータイ小説の何が「リアル」なのかを気づけた気がした。

ケータイ小説中で示されている、携帯電話を使って今行なわれているやりとりの中で、いわゆるケータイ世代がどんなコミュニケーションの期待値を持ったり、何が彼らの暗黙のマナーだったりするのか、ということ、そういった情報が執拗にケータイ小説中に現われているが、ケータイでのコミュニケーションを多用していない人にはそれが情報であることにも気づけていない、という指摘にはとても考えさせられた。

目次
第一章 アーキテクチャの生態系とは
第二章 グーグルはいかにウェブ上に生態系を築いたか
第三章 どのようにグーグルなきウェブは進化するか
第四章 なぜ日本と米国のSNSはちがうのか
第五章 ウェブの「外側」はいかに設計されてきたか
第六章 アーキテクチャはいかに時間を操作するか
第七章 コンテンツの生態系と「操作ログ的リアリズム」
第八章 日本に自生するアーキテクチャをどう捉えるか


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投稿者 秋元 : 15:34 | トラックバック

2008年11月12日

PHPx携帯サイトディベロッパーズバイブル

献本いただいたもの。

PHPx携帯サイトディベロッパーズバイブル

まず断っておくと、仕事で携帯サイトを作ったことはないので、僕の携帯サイト開発の知識はかなり足りてない。ウェブで断片的に、携帯サイト開発に関するいろいろなtipsが話題になるのは読んだりもしていたけれど、ケータイのためのウェブ開発にはいろいろなバッドノウハウがたくさんあるのだなあ、というのが携帯ウェブに対する乱暴な感触だった。

# 「バッド」という字面が悪いので勘違いされそうだけど、この本がバッドなわけではないよ > 斜め読みの人

それで、この本を読んだのだけれど、その乱暴な感想はかなり当たってたな、と思わされた。歴史的な流れとか、携帯電話のハードウェアやソフトウェアの制約はPCよりもずっと大きいことなどが原因だとは思うけれど、携帯電話のブラウザにはパソコンのウェブから見るとちょっと変わった仕様とか、携帯会社間の非互換がたくさんあって、そういうもろもろのことを知らないと苦労する、ということなんだな。

文字コード、画像フォーマット、ファイルサイズの上限やスタイルシート、Cookie、メールの制限・変な独自拡張・文字コード、空メール、認証(著者による補足)、位置情報、QRコードなどなど、解説は多岐に渡っている。おそらく、今現在ケータイのサイトを作ろうとして必要になる、あるいは顧客から要求される機能セットが上記のようなものになるのだろう。

これだけ複雑なことをいろいろやらないと困るのに、携帯電話会社からの開発の支援はあまり無いようで、PHPならPHPで、他の言語でもその言語で、下からガリガリと書いていかないといけないようだ。絵文字を読んで書くというだけのことに100ページが割かれていたりする。最近のiPhoneやAndroidだと、外部の開発者がつく前からライブラリが用意され、単純作業をみんなが別々に実装する必要は減ってそうなイメージがあるのだけれど、そのへんは各社囲い込みの中での進化が原因なのかな。

こういった細かい情報を把握して、3つ(あるいは4つあるいは5つ)の会社の携帯電話で同じように見えて使える携帯ウェブサイトを作れることが、携帯サイト制作会社の売りになるんだろう。たいへんな力作のまとめではあるけど、できれば携帯サイトの開発に深入りはしたくないなあ、などと思ってしまったり(笑)。

PCではなく携帯サイトに未来を見出している人や、仕事で仕方なくやらないと、という人にとっては、役に立つ入門書だろう。

# p.247の"regist"は、うーむ。本書の本論とは関係ないが…


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投稿者 秋元 : 16:00 | トラックバック

2008年10月27日

書評: 集合知プログラミング(Programming Collective Intelligence)

献本いただいたもの。

翻訳が出ると聞いてからずっと気になっていた本なので、いただけたのはとてもラッキーだった。

集合知プログラミング
著者/訳者:Toby Segaran
出版社:オライリージャパン( 2008-07-25 )
定価:¥ 3,570

原題(Building Smart Web 2.0 Application)にあるとおり、集合知プログラミングは、ウェブサイトの背後でいろいろと賢いことをするために使えるいろいろな技法を広く紹介した技術書だ。

  • 大勢の過去の行動データから推薦を行なう
  • 集団をグループに分ける
  • 検索エンジンとランクづけ
  • 最適解を低コストで見つける
  • スパム判定
  • 条件判定のルールを生成する
  • 価格モデルを作っての価格予測
  • カーネルメソッドやサポートベクトルマシン
  • 遺伝的プログラミング

といったトピックが、Pythonのサンプルコードとあわせて解説されている。

内容は、読むのに時間かかったし、一通り通しで読んだけれどもう一度読まないといけないな、と思っているので、決して簡単とは思わない。しかし、説明している内容を思えば、解説はとてもわかりやすくなっている。サンプルプログラムも驚くほど簡潔で、Pythonということもあり追って読むのは難しくない。

サンプルでは、オンメモリか、せいぜいで簡易なDBを使ってデータ処理をしているので、あくまで実装の理屈を学ぶための本だと思う。大規模なサイトの場合は、本書でサンプルとして使われるデータよりもさらに大量のデータを扱わなければならないので、本書のサンプルでそのままデータ処理しようとすると破綻することは目にみえるけれど、そこはまた別の本がカバーすべきとろこかと思った。

それと、Windows+Python2.5でやってみたのだけれど、Pythonのバージョン違いのせいかコマンドラインでエラーがでる箇所があった。このへんはPythonに詳しくないのだけれど、コマンドとエラーメッセージを入れて検索するとだいたい対処方法は見つかる。

他のサイトからAPI経由やスクレイピングでデータを取ってくるときのライブラリ紹介やその利用法も載っているので、Pythonでマッシュアップをやるときにも参考になると思った。当然なんだけど、PHPやPerlにあるようなライブラリに相当するものがPythonにも揃ってるのだな、というのも感じたこと(ほとんどPython使ったこと無いので)。

本文では英語のような「スペースで簡単に単語を切り分けられる言語」を扱うサンプルしか出ていないが、日本語はどうするのかについてはちゃんと巻末で訳者によりサポートされている。

結論としては、面白かった。自分は勉強が足りないな、とも感じた。2周目読む時間を取らなきゃなあ。


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投稿者 秋元 : 18:57 | トラックバック

2008年10月06日

書評: DESIGN IT! magazine創刊号

献本いただいたもの。

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「DESIGN IT! magazine」は、ビジネスを革新し、よりよい社会を実現するために「情報技術(IT)」とITを取り巻く「情報環境」とをデザインしていく、あらたな潮流を作るための媒体、すなわち「デザインからIT を考えるビジネスマガジン」です。

エンタープライズxユーザインタフェース、という切り口のムック雑誌のようだ。

iPhoneのUIを基にして企業情報システムのインタフェースを考える特集とか、ペルソナを使ったユーザビリティ特集など。インタビューはダン・サファー氏とサイボウズ本社の青野社長のインタビューなど4本。

記事の途中で突然ページが真横になったりするのもデザインということかな。僕はデザインもUIもダメダメだけど、こういう雑誌をパラパラみるのは楽しい。

発売から数ヶ月経っているので、記事のうち何本かはオンラインのDESIGN IT!サイトでも公開されているようだ。


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投稿者 秋元 : 19:15 | トラックバック

書評: セカンドライフ 仮想コミュニティがビジネスを創りかえる

献本いただいたもの。

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セカンドライフ 仮想コミュニティがビジネスを創りかえる

正直、タイトルを見た瞬間は「えー要らないよこの本」と思ったんだけど、この本は「セカンドライフにショールーム作ったらメディアに取り上げられ宣伝費浮いてウハウハ」という、日本でセカンドライフというとよく聞く(聞きあきた)アレとは全然違う内容の本だ。

もう今となっては、タイトルに「セカンドライフ」と入ってる時点で心配になるけれども、でも、この本はセカンドライフの本以外の何物でもない。じゃあセカンドライフの何か、というと、旅行記だ。

セカンドライフの早い時期から内部に入り込み、ユーザの増加とともに発生した様々な事件をリアルタイムで見てきたジャーナリストが、事件の張本人達に取材をして当時の背景を明らかにする、というノンフィクションである。

ちょっと前の過剰宣伝(といっても、運営元がそれをやっていたわけでもない)や、それに対して実際には技術的に落胆させられることが多い(同時に集まれる人数が少ないなど)など、いろいろと問題はあるけれども、セカンドライフという仮想世界がどのような偶然から生まれて、その中で予想もつかなかったどんなことが起こったか、というのを読むと、これが面白いのだ。

たとえば、「セカンドライフでは当たり前のようにアバターが空を飛べるけれど、これも最初の設計にあったわけではなくて、昇るというアニメーションを作るのが面倒だったので開発の手抜きをしたら、空を自由に飛べることが楽しいと好評だった」、みたいなエピソードが満載だ。

それに、膨らみすぎた風船がしぼんでいるという状況はあっても、膨らんだ結果セカンドライフが多くの雑誌のトップを飾ったり、セカンドライフの中の成功者がメディアに取り上げられたり、という現象は確かにあったわけで、どういう偶然が、あるいは準備が、そういった爆発的な人気の広がりを作ったのか、といったところは、今のセカンドライフに批判的な人でも興味を持たざるを得ないところだろう。

ユーザの集団による政治的な戦闘や、現実世界ではハンディキャップを負っている人たちが仮想世界で大きな体験をしたり、統合失調症患者の感覚を再現できる部屋をセカンドライフ内に構築したり、と、面白い話がたくさんあった。

そういった多くの事柄は、非日本語で起こっていたのだろうし、そんなに熱心に情報を追っていなかった僕にとっては、ウェブでもそれほど見ることが無かった情報だ。たぶん、時間があってもそれを自分で見に行ったりとかはしてなかっただろう。そういうエッセンスを本一冊で知れた、という意味では、読んで良かった、と言える。たとえこの後セカンドライフにログインすることは無くても、だ。


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2008年09月24日

書評: Firefox 3 Hacks - Mozillaテクノロジ徹底活用テクニック

献本いただいたもの。

Firefox 3 Hacks Mozillaテクノロジ徹底活用テクニック
著者/訳者:江村 秀之 池田 譲治 下田 洋志 松澤 太郎 dynamis
出版社:オライリージャパン( 2008-08-27 )
定価:¥ 2,940

Firefoxの新バージョン3についてのいろいろなhackを集めた、オライリーのHacksシリーズ本だ。このシリーズには他にも、Blog HacksやBinary Hacksのように日本のオライリーから出ている日本語がオリジナルのものがある。このFirefox 3 Hacksもそんな日本製Hacksの最新作だ。

実は、Firefox2からFirefox3に切り替えても、個人的にはほとんど何も変わってないように思っていたので、この本を一通り読んだときはびっくりした。知らない新機能が次々と紹介されているのだ。ただ、機能もユーザインタフェースも、ユーザを驚かせない・戸惑わせないことを重視したのか、普通に使っている分には使い勝手は同じで、その中にちょっとした機能が増えていたり、設定からオンにすることで使えたりする、というものが多いということがわかった。

スペルチェック機能とか、この本を読むまで気づかなかった。また、アドオンについても、面白いものが各種説明されていて、道具に手を入れて使うのが好きな人にはきっと役に立つと思った。


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2008年08月21日

書評: 2010年版資格取り方選び方全ガイド

献本いただいたもの。

書評: 2010年版資格取り方選び方全ガイド

日本で行なわれている資格や検定を、一ページに一個ずつまとめた544ページのリファレンス本。

紹介する責任上、普段は一通り読んだものを書くのだけれど、この本についてはパラパラと見たものの、全部読んだりはしていない。電話帳みたいなもので、「読む」本ではないかなと思う。

19個にわけられたカテゴリの1番目が「コンピュータ」で、2番目が「語学」。この二つの技能に対する需要や人気がわかるというものだ。

ブロガーとしての僕に送ってこられたと思うのでこう言うしかないのだけれど、こういうリファレンスはオンラインのものがあるのが望ましいのではと思う。検索性に優れたサイトにすれば人気も出るだろう。500個もの資格について、受験資格や試験日、受験料などのデータを集めて正しく維持するのはたいへんだと思うので、ぜひオンラインのサービスとして進出すべき。

本である強みは、ぱらぱらめくって偶然の出会いが得られる、ということだろうので(ネットでも偶然の出会いは得られるけど)、「なんか資格ほしいけど何を取ればいいのかなあ」というような人は本もいいかもしれないが。


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2008年08月01日

書評: わかっちゃいるけど、痩せられない―メタボの行動経済学

献本いただいたもの。

わかっちゃいるけど、痩せられない―メタボの行動経済学 (生活人新書 259)
著者/訳者:古川 雅一
出版社:日本放送出版協会( 2008-07 )
定価:¥ 735

なぜ僕にダイエット本?? ほんとうにブログ見て送ってきたのだろうか、と最初思ったのだけれど。この新書はダイエットを題材に、ダイエットよりもむしろ行動経済学について語っている本なのだな、というのが読んでみての感想。

でてくる用語は、サンクコスト効果、損失回避性、現状維持バイアス、参照点依存性、感応度逓減性、価値関数、確率加重、フレーミング効果、初期値効果、ヒューリスティックバイアス、後知恵バイアス、選好の逆転、極端回避性、時間割引率、コミットメント、機会損失、など。

ダイエットがどうして失敗するのか、という理由づけでこれらの用語出てきて、ダイエット以外でもどのようにそれが人間の判断や行動に影響を与えるのか、というのが解説される。ダイエットについて学びながら行動経済学についても知ることができる二度おいしい本、なのかもしれない。

が、正直ダイエットに失敗する人はこれを読んで本当にダイエットできるようになるのだろうか、と思わなくもない。ダイエットに失敗する理由を科学的に解説した本とも言えるので。

あと、本のタイトルはどうみてもここから。一音しか変えずにこのタイトルを編み出したのはすごい。

結成50周年 クレイジーキャッツ コンプリートシングルス HONDARA盤 / Array / Best of CD ( Music )
EMIミュージック・ジャパン
定価:¥ 3,200 ( 2005-01-26 )


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2008年07月29日

書評: 最後の授業 ぼくの命があるうちに

献本いただいたもの

最後の授業 ぼくの命があるうちに

この週末に読んでいたのだけれど、その読んでいる最中にニュースで著者ランディ・パウシュ氏の訃報を知ってしまった。

コンピュータグラフィックスやユーザインタフェース界の名物大学教授が、膵臓癌の告知を受けた後で行なった「最後の授業」で語ったことを中心にまとめられた本。講義の内容は字幕つきでネットでも視聴できる

人は誰でもいつか死ぬものではあるけれど、30代や40代ではそれはまだまだ先のことに思えてしまうだろう。ある日突然期限を切られたときに残りの時間をどうするか。パウシュ氏は大学で講義を行なうことを選んだ。それはまた、幼児~6歳の三人の子供に対して、彼がもっと生きていたなら伝えたかったであろう様々なことを伝える手段でもあった。

ビデオでも文章でも、パウシュ氏の語る言葉には悲壮感が無い。それどころかユーモアに溢れた語り口には思わず笑わせられてしまう。それに、講義のほとんどは氏がいろいろな事柄を障害を乗り越えてどうやって成し遂げてきたかということについての話で、病気や死についての話はとても少ない。

明らかに宗教的ではない理系人間の氏にとって、おそらく死はすべての終わりに違いないと思うのだけれど、その恐怖を前にしてこれだけ自制が効き、自分がこうありたいと思う形を保とうとし続ける心の強さには感服するしかない。

パウシュ氏が子供たちに伝えたいとまとめた、いろいろな状況で役に立つであろう助言の数々は、僕にとっても、そしてたぶん多くの人にとっても、役に立つ、考えさせられるもので、月並みな言い方になってしまうが、氏の考え方がよい影響力となって読者に引き継がれていくのではと感じた。


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2008年04月30日

書評: ハイパフォーマンスWebサイト

献本いただいたもの

ハイパフォーマンスWebサイト / Steve Souders 著, 武舎 広幸、福地 太郎、武舎 るみ 訳

YSlow for Firebug ページのチューニングを助言してくれるFirefoxアドオンで紹介したYSlowの作者Steve Soudersさんによる、ブラウザクライアント側でのパフォーマンスチューニングを中心にしたtips本。

スケーラブルWebサイト(Flickrのウェブサイトスケール技術について解説した本)と同じ訳者による翻訳。スケーラブルWebサイトも面白かったので期待して読んだ。

YSlowと同時期にYahoo!から出された、ブラウザでの読み込みとレンダリング完了までの高速化についての最初の13個のtipsにAjaxの1個を加えた14個が、今回の本の内容になっている。

ウェブで発表された際にも、かなり細かいところまでブログやプレゼン資料で説明されていたが、本書ではもっと細かいところまで説明されている。それに日本語だし。また、アメリカの巨大サイト10個を例として出しているので、実際に「ここが遅くしている」といった解説がされている箇所のHTMLやスクリプトを見ることができるのもよい。

15章では、アメリカの人気サイト10個について、分析結果とさらにどう改善できるかを解説もしている。Googleのシンプルなトップページからでも問題点を見つけているのはさすがだ。

Yahoo!は、そのあとページの読み込みを早くするもう20個のtipsを発表している。

また、著者のSteve Soudersさんは、YSlowとこの本を出した後、Googleに移籍している。数日前には、ページ中から外部の遅延する要素を読み込んだときにどう全体に影響するかを実験できるCuzillionというサービスを公開し、これもGoogle Blogで言及されている。このCuzillionは、本書の中で出てきた実験用のスクリプトを、ユーザがブラウザ上で調整して実行できるというものだ。

ブラウザ関連のチューニングに関する腕をGoogleも認めたということか。本書の中でもGoogle Spreadsheetの高速化できる箇所などを指摘しているので、今後はGoogleのサービスにもここで書かれているようなチェックが入ってくると思われる。

一通り読んだけれど、非常に面白かった。この先も手元に置いて何度も見返すことになりそうな良書だ。


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2008年04月05日

書評: 新・データベースメディア戦略

献本していただいたもの

オープンDBとユーザの関係が最強のメディアを育てる
新・データベースメディア戦略
/ 橋本大也、宇佐美進典、潮 栄治、佐藤 崇、山田進太郎

CGMサービスについて、実際にCGMサービスの開発や運営に関わっている著者が解説するという本。タイトルの「データベース」は、Webサイト側がユーザから集めたデータを蓄積し活用することで新しい価値を生み出しているというCGMの特徴にデータベースが必須であることからついているのだろう。

前の方の章は、日本のインターネットの歴史とその中から成功してきたデータベース重用サービスの解説が多い。個々のサービスについては知っているものもあるかもしれないが、広いジャンルに渡って多くのものが紹介されているので業界の人でも知らなかったものもあるかもしれない。

モバイルや海外のCGMサービス事例などがふんだんに紹介されている。フェースブックやOpenSocialなど2008年初の最新情報についても触れられているため、CGMサービスをやろうとしている人にとっては参考になるのではないか。


[書評に関する注意書き]

  • 貰って書いた本についてはその旨記述する
  • このブログはサイボウズ・ラボの社員ブログなので、秋元個人に献本いただいても、何でも自由に書けるわけではない。
  • もちろん、書評以外の他のブログエントリもそうだが、社員ブログではあってもサイボウズ・ラボ全社やサイボウズ・グループの意見を代弁してるわけではない。
  • 献本いただいても必ず読めるわけでも、ご紹介できるわけでもない。読書の速度は遅いので、発売前や発売直後に送っていただいても、ご紹介が半年後になるようなこともある

投稿者 秋元 : 15:44 | トラックバック

2008年03月29日

書評:「みんなの知識」をビジネスにする

献本していただいたもの

「みんなの知識」をビジネスにする クラウドソーシングの可能性/兼元謙任・佐々木俊尚

113910_L.jpg

OK Wave社長の兼元 謙任さんとウェブジャーナリスト佐々木 俊尚さんがゲストと対談したものをまとめた本。

サブタイトルの「クラウドソーシング」や表紙に書かれた"Wisdom of Crowds"(集合知)のわりに、取り上げられている4社(ホスト側を入れると5社か)の製品やサービスがクラウドソーシングに関係したものばかりかというとそうでもない。

正直、お金を払ってブロガーに広告を書かせる、とか、お客の意見を聞いてデザインをしてます、みたいな話まで集合知と絡めるのはどうかなと思った。日本に集合知を活用してビジネスにしている企業が本を一冊作るほど無いのかもしれないけれど。

それぞれの話がつまらないわけではないし、個人的にも2章の山崎秀夫さんとの対談はたいへん参考になった。グループウェアや社内ブログ・SNS等について普段からよく考えることがあるからかもしれないけど。

各章の最後につけられたウェブ用語・サービス名等の解説もよくできていて、たぶんそれほどウェブに浸かってない人でも知見を広めることができるだろう。ホストのお二人も含めて役に立ちそうな話がそこここに出てくるので、無理に「みんなの知識」と結びつけずにウェブで事業をしている会社へのインタビュー集、とでもしておけば良かったように思う。


[書評に関する注意書き]

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  • このブログはサイボウズ・ラボの社員ブログなので、秋元個人に献本いただいても、何でも自由に書けるわけではない。
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投稿者 秋元 : 14:14 | トラックバック

2007年12月31日

書評: Fast CakePHP

献本していただいたもの

Fast CakePHP/秋田 真宏/技術評論社

akiyan.comのakiyanによる、PHPのフレームワークCakePHP解説本である。

Fast-CakePHP-cover.JPG

まだ最初の方をぱらぱらと見ただけなのだけれど、CakePHPの特徴を、動くものを作るまでの手順がとにかく簡単である、という点としているようだ。タイトルの「Fast」にもそのあたりの気持ちが込められているのだろう。

前にいただいた同じシリーズのSymfony本SymfonyXPHPも、実際に動かしながら読んでるんだけどまだ6割ぐらいしか進んでなくて書評を書けてないので、これもちゃんとした評を書けるのはかなり先になってしまいそう。

# 全部読んでないので言い切れないけど、よんだ所までではSymfony本はきっちりした良い本だと思う。読むのに時間がかかってるのは難しいとかじゃなくて、他にいろいろやる事があって読んで作業する時間を取れてないだけ。ねんのため。

Fast-CakePHP-and-Symfony.JPG

この正月はAA-Campという集まりを毎日やっているので、参加者にはどんな本かいち早く見てもらえるだろう。


[書評に関する注意書き]

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投稿者 秋元 : 01:06 | トラックバック

2007年12月18日

書評: ちょいデキ!

献本していただいたもの

ちょいデキ!/青野 慶久/文春新書

今のひとつ前の仕事での直属の上司である(彼が海外担当役員だった)。そんな人から本貰ってもちょっと書きにくいわけだが(笑)

「ちょいデキ!」は、サイボウズ・ラボの親会社サイボウズの社長で、10年前にウェブアプリの可能性を発見し、何もないところからついに日本でのグループウェアシェア1位を取るまでにいたった創業者によるビジネス啓発本である。

とにかくフットワークの軽い人でもある。息をするように書評する有名書評ブロガー小飼弾さんのブログで、なぜかこの「ちょいデキ」が紹介され、その影響でアマゾンでの売り上げ順位が高騰した翌日にはもう、「なるほど、ブログでの紹介はいい宣伝になるのか。そういえばうちのグループ会社にもブログばっかり書いてるのがいたな」と考え、本をくれることになっていた。思いついたらとにかく試してみる、という人であり、それが会社としてのカラーにも影響を与えているのではないか。

新書で730円、どこからでも読める項目式、無理難題を要求しない力の抜けたアドバイス、と、気軽に買って読める、よく考えられた構成かと。

実際に成功した人の話なので、「こうやった結果オレは成功した」と言えるので説得力が増してみえるという点はあるけど、へこたれそうな時に試してみるのもいいかもしれない。仕事や生活のいろんなところを頑張りすぎている人に読んでもらいたい、ポジティブな力にあふれた仕事本だ。

ちょうどこんなのも始まっているので、興味のある方は本書と合わせて読むと面白いかもしれない。

『サイボウズ』はいかに日本一のグループウェアとなったのか?


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投稿者 秋元 : 18:18 | トラックバック

2007年11月21日

書評: ソーシャル・ウェブ入門

献本していただいたもの

ソーシャル・ウェブ入門/滑川 海彦/技術評論社

すごい面白かった。アメリカのウェブ業界事情を中心に、ネットで起こっている現象をいろいろな事例を出して解説してくれる読み物本。

Gmailやミクシィを使い始めるための方法なども懇切丁寧に書かれているので、ネットに詳しくない人向けの入門書と取る読者もいるだろうが、そこにとどまらない。各所に差し挟まれる事件や人物に関する解説が圧巻で、もともとこの分野に博識な方なのか相当調べ上げて書いているのか、どちらにしてもこれだけの内容を一冊の本にまとめこんだのは偉業だと思った。

僕も英語圏のネット事情は追っているつもりなのだけれど、それでも知らなかった面白い話がたくさん書かれていた。直接英語でネットに触れることが無い人でも、ウェブに関わっている人なら何か新しいヒントを得られるのではと思う。もっと広く読まれていい本。


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投稿者 秋元 : 09:00 | コメント (2) | トラックバック

2007年11月11日

書評: 究極の会議

献本していただいたもの

究極の会議/鈴木 健/ソフトバンククリエイティブ

会議の運営方法と仕事のやり方に対する、ワンアイデアの本。そのため非常にコンパクトで、すぐに読むことができる。

議事録の重要性とその目的については同感。よい議事録を作れれば会議は成功すると思う。そのためのノウハウもこれまでいろいろあったと思うけれど、本書で紹介されている方法は、僕自身やったことも聞いたことも無かった。議事録中心の会議方法でよく言われている方式に、さらに一つ、面白い手法を追加したものだ。

あとは、そのアイデアの実行方法や、いくつかの異なるツール(その中には著者が自分の会社で実際に開発・販売している専用のツールも含まれる)でそれを実行するやり方、などが書かれている。

個人的には、93ページからの4ページが面白かった。新しい手法を知り、それをやってみようと思っても、読者のだれもが会議のやり方を主導できる立場にあるわけではない。この4ページでは、権限が無い参加者が、どうやって上長や主催者の面子をつぶさずに(日本的な話ではあるが)、会議と議事録のやり方を変革していくか、ということについてのアイデアや助言が書かれており、この本を言いっぱなしでない実践的な指南本としている、と感じた。


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投稿者 秋元 : 09:12 | トラックバック

2007年10月30日

書評: SEOスタンダードガイド

献本していただいたもの

SEOスタンダードガイド/加藤学(ヒューゴ)・コンプレックス著/毎日コミュニケーションズ

ちょっと前は、SEOの本というといい加減な本が多かったのだけれど、この本は一冊を通しておかしなところがなかった。

SEOというのは本当の理屈は検索エンジン各社の内部に隠されているので、すべては試行錯誤の実験結果から類推するしかないため、「絶対正しいSEO本」というのは書けないものだ。唯一書けるとしたら仕組みを作った検索エンジン各社の退職者だろうけど、彼らは契約でいろいろ縛られているだろうし。

結局、いろいろなSEOエキスパートが実験したり相談したりブログで公開していたりする情報を集めて、追試して、確度の高いものを拾う、ということでしかSEOの専門家にはなれない。

以前は効いた手法が、検索エンジンの対応によってSEOスパムになる、ということは多々ある。SEOの解説は、どれだけ無効になった対策を把握しているか、というのも重要だけれど、この本では2007年前半ぐらいまでのSEOエキスパート達のコンセンサスをよく追っている。


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2007年10月17日

書評: 社内ブログ 導入・運用ガイド

献本していただいたもの

社内ブログ 導入・運用ガイド/木村早苗 著/株式会社ドリコム 内藤裕紀、安藤正樹 監修/技術評論社

社内ブログ・イントラブログ、と言われる、会社の中で(だいたいはインターネットとは切り離され、閉じて)運営されるブログシステムについて、豊富な導入例や製品紹介とあわせて、導入や運用のためのノウハウを解説している。

サイボウズ・ラボの親会社のサイボウズも社内ブログシステムを出しており、取り上げられている。

全体的な主張としては、グループウェアではフォーマルなデータしか書かれず、社員のカジュアルなコミュニケーションが推進されないので、社内にブログを持つのがいいですよ、ということか。ブログに限らず、インターネット上でユーザの人気を集めて社内システムに持ってくる話は多い。ソーシャルブックマークやソーシャルネットワーク、Q&Aサイトなどもそのパターンに入る。

コミュニケーションを活発にするためのノウハウに関しては、グループウェア自身も、利用するユーザが社内の一部に限られてしまうと、利用する価値が減ったり、徐々に不活発になっていったりする点は同じことが言える。難しいきっちりした仕組みで使われなくなった社内グループウェアを、簡単に使えることで置き換えてきたサイボウズの企画や開発部署でも、そのあたりの仕組みの工夫などはいつも議論になっているところだ。

そういう意味で、社内の電子的なコミュニケーションを推進したいと思っているシステム導入担当者には役に立つところもあるのではないかと思った。

個人的には、正直言うと、サイボウズのようなグループウェアと社内ブログにはほとんど違いは無いと思っている。トラックバックやランキングのようなギミックはあるかもしれないが、運営の方針次第でグループウェアでカジュアルな社内コミュニケーションは取れるし、サイボウズ自身もそれはできている。

サイボウズも社内ブログは売っているのであまり言っても良くないのかもしれないけど、社内ブログとグループウェアの切り分けみたいなものは、コミュニケーションをかえって分断してしまうのかも、とも。まあ、グループウェアでのコミュニケーションが失敗しているような会社では、一から巻きなおし、という意味でブログをやるのもいいかもしれない。


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2007年09月22日

書評: モバイルSEM・SEO徹底対策!

献本していただいたもの

モバイルSEM・SEO徹底対策!/毛塚 智彦/ソフトバンククリエイティブ

SEO・SEMの基礎知識については十分ページを割かれている。

タイトルに「モバイル」とあるが、モバイル固有のSEOやSEMについては思ったほど突っ込んで書かれていないという印象を持った。モバイルのウェブにはそこにだけ閉じたマーケティングのテクニックやサービスがあるはずで、そこをもっと教えてほしいと思った。

パソコン向けサイトのSEO・SEMについても詳しくなく、これからモバイルサイトのSEM・SEOをやらなければいけなくなった担当者にとっては、一冊で必要な知識がそこそこ満たされるためいいのではと思う。パソコン向けサイトについては十分知識や経験があり、モバイルに進出しようという人にとっては物足りないのではと感じた。

モバイル向けのSEOについてはあまり詳しい本を見たことがないので、この著者かあるいは他の著者・出版社にそういうのを出してほしい。(もし既にあるようであれば書名が知りたい)


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