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書評

シェア からビジネスを生みだす新戦略

いただいたもの

いただいたもの

個人と個人をつなぐことで新しい価値を創造する、いわゆるマッチングサービスを集めて解説した本です。
本書にもあるように、物々交換や作業を手伝う代わりに他のことを手伝ってもらう労働力の交換は、貨幣が広まる前には世界中で行われていたことでした。しかし、物やサービスの価値を貨幣というバーチャルなポイントで仲介できるようになってから、多くの人は企業からポイントを入手してそのポイントを別の企業に支払うことで必要な物やサービスを調達するようになってしまいました。
本書の前半で語られる、GMやクレジットカードのビジネスが狙ったところやどうやってそれを当たり前のものとして広めてきたかというところは、後半でのシェア=共有が相対する旧弊として説明されているのですが、それ自身が興味深い話でもありました。次々と新しいモデルを手に入れたくなるという購買意欲や、お金を借りてでも物やサービスを買いたいという気持ちは、最初から自然に存在していたわけではなくてそういう風にしたいと人々に思わせた存在がいるということですね。
ここでアメリカでの事例を中心に多数紹介されているのは、インターネット・ウェブの登場で実現できるようになった、ニッチな需要同士を引き合わせるさまざまなサービスです。貨幣を介在させることなく、サービスを提供できる人とサービスを受けたい人を直接引き合わせるウェブサービスをいろいろと紹介しています。
「目的が達成されればそれでいいじゃないか」というアメリカ人らしい合理主義がそれらのサービスが産まれた背景にあるのではないかと思います。実際にそれぞれのサービスが十分な利用者を集めているのかとか、ビジネスモデルを成立させているのかとかについては疑問に思うものもあるのですが、遠くのまったく関係の無い人を同じ興味でもって結びつけることができるネットの力を使って新しいサービスを作りたいという人にはヒントとなるところが多いのではないかと思いました。
この本自体にもシェアすることを薦める仕組みが組み込まれているので、職場でシェアしてみようと思います。

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