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あなたの企業、URL で損していませんか (2) www を揃える理由

japan.internet.com 併載コラム 前回のコラムでは、“www.”のつく URL、つかない URL の実例を挙げて、“www.”があってもなくても Web サイトに辿り着けるようにすることの重要性を書いた。 […]

japan.internet.com 併載コラム

前回のコラムでは、“www.”のつく URL、つかない URL の実例を挙げて、“www.”があってもなくても Web サイトに辿り着けるようにすることの重要性を書いた。

今回は、“www.”の有無に関わらず企業サイトにアクセスできるようにする方法の比較と、その効用について説明しよう。

前回あげた4つのタイプの企業 URL から、“www.”があってもなくてもアクセスできる大手サイトの例として、(3)、(4)を再掲する。

(3)どちらでも接続できる Web サイト

Yahoo! Japan http://www.yahoo.co.jp/ http://yahoo.co.jp/
ライブドア http://www.livedoor.com/ http://livedoor.com/

(4)どちらでも接続でき、どちらか一方に転送される Web サイト

楽天 http://www.rakuten.co.jp/
Mixi http://mixi.jp/

ブラウザから入力して、その企業サイト/サービスに行くことができる、という意味では、(3)と(4)にはまったく違いがない。しかし、(3)のタイプの設定をしている URL では、潜在的な顧客を取りこぼしている可能性があるのだ。

SEO(検索エンジン最適化)に関する逸失利益
検索エンジンで上位に表示されるための要素の一つに、被リンクの数や質がある。非常に簡略化して言うと、人気投票的に「たくさんの人(他のサイト)からリンクが張られているサイトは良いサイト」というものだ。

この場合に、上記の(3)のケースが思わぬ差を産む。あるサイトからは http://www.example.co.jp/(www.つき)に、他のサイトからは http://example.co.jp/(www.なし)にリンクされていたとすると、検索エンジンによってはこの二つを別々に集計してしまうことがあるのだ。

あるドメインへリンクしているページを検索する方法があるので、この二つの差を見てみよう。

Google で調べた www.yahoo.co.jp へのリンク 59万3,000件

Google で調べた yahoo.co.jp へのリンク 1,770件

この通り、見つかったページ数から、Google の場合は“www.”ありとなしが別々にカウントされていることがわかる。検索エンジンによっては、このように“www.”つきとなしの二つを別のサイトとして認識してしまうことがある。

この例では“www.”なしの件数は非常に小さいが、この数が伯仲しているようなケースがあれば、せっかく張られた100のリンクの SEO 効果が、たとえば60程度に落ちてしまっている、つまり、検索結果の順位を損している可能性が高い。

ネット上のクチコミサービスに関する逸失利益
はてなブックマーク という共有ブックマークサービス(ソーシャルブックマークサービス)がある。ここでは、ブラウザのお気に入りとは違い、より多くの人が登録したサイトが「人気サイト」や「注目サイト」として目立つような仕組みがあり、その結果を参考に、ある企業サイトの評判や企業の知名度を判断する人もいる。

このはてなブックマークで、http://www.yahoo.co.jp/ をブックマークしている人 は288人なのに対して、http://yahoo.co.jp/ をブックマークしている人 は20人である。

http://www.rakuten.co.jp/ をブックマークしている人 は55人なのに対して、http://rakuten.co.jp/ をブックマークしている人 はいない。

つまり、タイプ(4)の URL を持つ楽天は、注目してくれた55人全員を一つのブックマークに集めることができているのに対して、タイプ(3)の Yahoo!Japan のほうは、本当は308人が注目しているのに、20人分の注目度が別にそれてしまっているということだ。

この二つでは、ブックマークしている人の数自体に差があるが、もし興味を持っている人の数が同じ、たとえば100名だったとして、100個のブックマーク一つがついている企業サイトと、30個のブックマークがついている(あと70個は URL の違いで存在に気づかない)企業サイト、ユーザはどちらが人気のある企業だと判断するだろうか?

結論として、「“www.”があってもなくてもユーザーが辿り着けるようにする」、という前回の工夫に加えて、「“www.”があってもなくても結果的に同じ URL となるように誘導する」ことが、よりよい Web サイト集客のために重要である。

「同じ内容を返す URL は常に一つ」という概念のことを“Permalink”といい、今回例にあげた SEO や共有ブックマークに限らず、Web における重要な概念の一つとなっている。“Permalink”関連で注意すべき他の事例については次回に説明させていただく。

注:記事中の検索結果数やブックマーク数は、2005/11/30時点のもの

「あなたの企業、URL で損していませんか (2) www を揃える理由」への2件の返信

はじめまして。
いつもこっそり拝見いたしております。
上記の話はわかってはいたけど、
こうやって文章にしていただき、
あらためて活字で認識すると、
重要性が伝わってきてとてもおもしろくて
わかりやすかったです。

ありがとうございます。このシリーズではわかりやすさをがんばってます(もちろん、まだまだ理想には遠いですが)ので嬉しいです。

こっそりと言わずまわりのみなさんにも薦めてください。ぜひ。

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