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世界中のニュースを解析して、今年の革命(アラブの春)を予言できた、とするソフトウェア

ブログSingularity Hubが紹介しているKalev Leetaruさんの論文では、大量に集めたニュースを解析した結果、今年起こったエジプトやチュニジア、リビアでの革命の予兆を捉えることができた、と言っています。
# し、心理歴史学
このシステムでは、世界中から英語のニュースや公開情報を1億件、過去に遡って収集し、それらの100兆件の関係性を処理し、文章の中に出てくる各単語のポジティブ/ネガティブさを集計していくことで、世界全体がその地域に対して持つ気持ちを数値化するのだとか。
出てきた結果をグラフにすると、たとえばエジプトの場合以下のようになったそうで、
Egyptiansentiment
ムバラク大統領の30年ほどの統治の間で、この「気持ち」が大きくマイナスになったのは、今年の革命の直前を含めて2度だけだったと。
# もう一回の1981年に革命起こってないじゃない、という話がありますが
チュニジアやリビアについても、この「気持ち」のトレンドが大きくネガティブ方向に触れた後に、革命となっている、ということです。世界のニュースがその不穏さを報道している強さを総合すると、実際に革命が起こるぐらい不穏なレベルに達しているかどうかがわかる、という主張ですね。
ブログやツイッターの大量のメッセージを処理して、製品やブランドについてポジティブ・ネガティブを計算する、みたいな技術やサービスはこれまでも出ていたので、まったく新しい話ではないですが。まあ、いい方向で使えるなら夢のある話、なのかなあ。
また、同じようにオサマ・ビン・ラディンの潜伏先を大量のニュースから計算し、実際に暗殺が行われた都市は当てなかったものの、多くのニュースが言及していたアフガニスタンではなく、パキスタンの潜伏先から誤差200kmの場所をニュースの総意が指していた、というのも論文では言っています。
世界中で書かれているニュースが、総体として無意識に正当を指しているという話は面白いですが、さて起こったことを後から「予言できてた」と解説するのではなく、本当に起こる前に言い当てることができるようになるのでしょうか。

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スマートフォンのカメラに映った人の名前・趣味や社会保障番号を特定する技術

Arsocialnetworks
(この写真は2009年に別の人が作ったコンセプト)
カーネギーメロン大学のAlessandro Acquistiさんのチームが、市販の顔認識ソフトウェア、クラウドコンピューティングサービス、ソーシャルネットワークサービスの三つを組み合わせることで、オフラインの人物の顔と、オンライン側の情報を突き合わせるという実験を行なったそうです。
「自分の名前のタグがオンラインの写真につけられるようになったことで、これまで匿名性が守られると思われていた状況でも、他人があなたの名前とあなたの情報を結びつけることができるようになりつつあります」というコメント。近い将来は、あなたの友人や、洗練された機械を使った政府でなくても、スマートフォンとネット接続があれば誰でもが、道行く人が誰かを認識できるようになるでしょう、と。
チームが行なった三つの実験は以下のようなもの。
1. ニックネームを使って登録することでメンバーのプライバシーを守る(ことになっている)有名な出会い系サイトの会員の本名を特定
2. キャンパスを歩いている学生を、フェイスブックのプロフィールの写真から特定
3. 顔写真だけから、その学生の趣味や、場合によってはソーシャルセキュリティーナンバー(SSN, 社会保障番号、アメリカで働く時や納税や銀行口座を持つなどあらゆる場面で要求される番号)まで予測
このニュースを伝えたForbesによれば、出身地・生年月日からSSNが予測できてしまう、という同じAcquisti教授による2009年に指摘されたSSNのセキュリティ問題が3番で使われているそうです。
また、彼らのチームは、リアルタイムに映った顔から同様のセンシティブな情報を取り出すスマートフォンアプリを開発して、デモもおこなったということです。そこでは、AR技術を使ってカメラに映った人の上に、その人の個人情報を表示してみせたとか。冒頭のイメージ写真のようなものが実際に動くところまで来ているのですね。
Acquistiさんはこうまとめています。「究極的には、これらの技術の進化によってプライバシーの概念を考え直さざるを得なくなるでしょう。自然な進化によって、人間はフェイス-トゥ-フェイスのやりとりから信頼を構築してきました。もし携帯電話が相手の個人的でセンシティブな情報を予言するとしたら、私たちは自分の直感と機械のどちらを信用するようになるのでしょうね?」
技術の進歩でいずれはできるようになるだろうと思っていましたが、写真から個人名に結びつけるところがもっとたいへんだと考えていました。フェイスブック等の写真のタグ付けで人類がいっぱい働いたので、たくさんタグがつけられている人にとっては既に追跡が可能なところに近づいているのですねえ。
via How Facial Recognition Technology Can Be Used To Get Your Social Security Number – Kashmir Hill – The Not-So Private Parts – Forbes

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太陽光と砂漠を3Dプリンターに変えてガラス状の立体物を作るSolar Sinter

Solarsinterglassbowl
マーカス・カイザーさんがサハラ砂漠で実験してみせたのは、太陽光を使って砂漠の砂を焼結させ、ガラス状の器を作るSolar Sinter(sinter = 焼結)
エネルギー供給への不安と原材料不足という二つの問題に対する回答となるこのプロジェクトでは、その両方がふんだんに存在する砂漠で、砂という原材料と太陽光というエネルギーを使って、三次元のガラス状の物体を作るというのを実演してみせています。
この機械の台の上に砂を巻き、その上をレンズで集められた太陽光が動いていくと、その部分が固まります。
Solarsinsterworking
さらに砂を重ねて、別の層を別の形に固めます。これを繰り返して、最後に固まっていない砂を取り除くと、オブジェクトが出来上がっています。
Solarsinsterworking2
機械を設置したり、砂を撒いたり取り去ったり、できあがった器を別の場所に移したりというのは、今回はカイザーさんが人力でやっているわけですけれども、ここのところをロボットで(もちろん太陽光発電で)動かすことができ、装置も大きくできるなら、いずれは砂漠の中で勝手に増殖していく建造物も作れたりするのではないでしょうか。
さすがにこれで人が住むような家やビルは作れないかもしれませんが、テトラポット的なものが作れて、日陰や水分が溜まるところなんかも作れるなら、ただ砂漠のままというよりは緑化等もしやすいのではと思ったりもします。
以下動画です。ちょっと長いですが砂から物体が浮かび上がってくるのはなんとも驚きますね。

Markus Kayser – Solar Sinter Project from Markus Kayser on Vimeo.

via Solar Sinter by Markus Kayser « MakerBot Industries