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クラウド Amazon EC2/S3のすべて 実践者から学ぶ設計/構築/運用ノウハウ

いただいたもの

タイトルにあるように、今年のIT流行語「クラウド」の中でも代表的なサービスであるアマゾンのEC2とS3について解説した本です。
アマゾンはEC2やS3だけじゃなくて、大規模なWebサービスを作ろうとするとほしくなるさまざまなサービスを次々と出しています。本書では2章でそういったAPIやサービスについても説明しています。また、6章では実際にローカルのPCからEC2やS3を使うまでの手順を、わかりやすく使うためのツールの入手や導入方法まで含めて解説しています。
Amazon.comにもこれらのウェブサービスのドキュメントはあるのですが、なんといっても全部英語ですし、彼らのAPIに関する技術者向けのオンラインドキュメントは構成とかパーマリンクとかがどうにもわかりにくいと思っています。
Amazonのこれら一連のサービスは、日本のエンジニアに興味を持って試している人や実際に利用している人がかなり多いし、完全に置換可能な日本のサービスがまだ出始めという状況で他の選択肢も少ない状況ですが、肝心のアマゾンが日本語開発者向けにそれほど力を入れてくれていないので、この本はとてもいいんじゃないかと思います。
著者は実際に顧客向けのサービスで多数台を借りておられることから、システム設計時のネットワークやバックアップ戦略の立て方、開発時の各種テストのやり方など、アマゾンのサービス上で開発運用してみないとわからない落とし穴とそれらにどう対処したかも書かれています。2,6,7章あたりのことは、まとまってて参照しやすく便利ですが公式のマニュアルやブログ等を探せばなんとかなりますけど、4,5章はネットで調べてもそれほど情報量もないのではと思いました。

[書評に関する注意書き]

  • 貰って書いた本についてはその旨記述します
  • このブログはサイボウズ・ラボの社員ブログなので、秋元個人に献本いただいても、何でも自由に書けるわけではありません。
  • もちろん、書評以外の他のブログエントリもそうですが、社員ブログではあってもサイボウズ・ラボ全社やサイボウズ・グループの意見を代弁してるわけではありません。
  • 献本いただいても必ず読めるわけでも、ご紹介できるわけでもありません。読書の速度は遅いので、発売前や発売直後に送っていただいても、ご紹介が半年後になるようなことも多々あります。

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書評

PHP逆引きレシピ すぐに美味しいサンプル&テクニック261

いただいたもの

最初に正直に言いますが、750ページあるこのティップス本、隅々まで読んではいません。この本はタイトルにレシピとあるように、PHPの利用時に何か新しいことをする必要がでた際に、そのやり方を調べるために使う本です。僕の場合PHPはそれなりに親しんでいるので、まだそれほど使う機会が無いのですが、いくつか見た感じでは、かなり丁寧に書かれています。
PHPだけの問題か、PHPでより目立っているだけかわかりませんが、PHPの本というのはたくさんある割に、PHPのインストールからとても簡単な初歩のスクリプトを動かすまでのものが多く、またそれらの書籍の中には実際に使うとエラー処理やセキュリティ対策などの点で問題になりそうなものを「サンプルだから」として載せてるものも少なくありません。そんな中で、入力からやってきたテキストの出力時エスケープなどには気を配られて書かれています。
このあたりの「PHPで○○をするには」というのは、実はウェブで検索すればだいたい答えは出てきます。しかし、検索で調べると、いろいろな異なるやり方や、正しさのレベルが違う多数の答えが出てくるのですね。その中からモダンな書き方をしてない古い書き方のものや、いいかげんな事を検証せず書く人のブログは避けるとかしないと簡単に落とし穴にはまってしまいます。初心者の人にとって一番難しいのはそこでしょう。ウェブでは、答えが見つからないのではなく、答えが見つかりすぎてしまうのです。そういう点では、大きな間違いは入らないように注意されている本書のような本でPHPを覚えていくのは、初心者にはありかなと思います。
それから、phpMyAdmin, WordPress, MyNETSというアプリケーションについては、特に前の二つはPHPの代表的な実用アプリケーションだと思いますが、日本で良く使われるホスティングサービス数社の設定画面等まで出して、実際にインターネット上に展開して動かすまでの解説もされています。
SQLのより効率の良い書き方についての疑念と、一点SQLのエスケープの範囲ミスがあることがこちらで指摘されてます。これだけ丁寧に作られた本なので、増刷で直ると思いますが、初版の方は正誤表も見ておくとよいでしょう。

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「結果を出す人」はノートに何を書いているのか

著者とお会いした記念に自腹で買ったもの。ということでいつものいただきものとはちょっと違いますが

紙のノートを使う習慣はもう過去10年以上無いし、この先紙に回帰することもないだろうと思うので、正直言うと本のタイトルにはそれほどひかれませんでした。そのため、役割の異なるノート3冊をうまく使い分けることで仕事の効率を上げよう、という主題も、「デジタルだったらどうするか? 何に対応するか」というのを考えずにはいられなかったため、僕は直接対象とする読者ではなかったかと思います。
しかし、自分のやってる、パソコンや携帯電話、PDAだけで紙を使わない、完全デジタルな仕事のやり方が、紙のノートを使ったやり方より優れてると思っているわけでも、実はないのですね。単にデジタルが好きでしょうがないから、実際には不便だったり劣ったりする個所もあるのだろうけど目をつぶり、検索性とかデジタルの強いところを偏愛している自覚はあります。
僕らの世代、というか、上下20年ずつぐらいの大きな幅でそうなのかもしれませんが、紙で仕事をする人が少しずつ紙を使わなくなっていくという変化の中にあるのだと思います。その中で本書は、紙のノートで仕事を回していくための知見をひたすら追求し自ら実験してきた著者による、仕事のやり方本でした。(iPhoneやスキャナ活用など、本書でもデジタルに絡んでいるところはあります)
繰り返し行うことをミスなく実施するにはどうするか、アイデアを得るためのメモ取りはどんなものか、仕事の優先順位をうまくつけるには、嫌なことを先延ばししないようには、といった仕事の上での課題に対して、ノートとその他の文房具を活用して立ち向かうためのノウハウ本、という印象を持ちました。
僕自身はノートに戻らない誓いを立てているにせよ、一人の(おそらくたいへんできる)ビジネスマンが、仕事のやり方を考えて工夫してきたその結果を見るのは興味深い読書体験でした。今現在ノート派の人や、これからもノートだという方は、読んでみると面白いのではないでしょうか。

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