Category Archives: 書評

書評: つながりっぱなしの日常を生きる ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの

アメリカのソーシャルメディア研究者ダナ・ボイド ( @zephoria氏の著作 It’s Complicated の邦訳。

http://www.amazon.co.jp/dp/4794220871

ソーシャルメディアを使う若者への多数のインタビューなどを元に、大人がソーシャルメディアや現在の若者社会について持っている誤解などを解いていっています。

以下、特にハッとさせられた部分。

p.48 治安の悪い地区からアイビーリーグの大学へ願書を出した黒人少年の話。マイスペースではギャングのような発言をしたりしている。大学の審査担当者は願書の中の志のある少年が嘘ではないかと疑うが、著者はそのように自分を見せないとうまく生きていけないコミュニティで苦悩する若者という可能性を提示する

日本でもツイッター等で本来公に見せるべきでないような行動を誇示したり写真を載せたりして炎上している若者が多いが、その中には若者の世界での中の友人関係をなんとか維持しようとするあまりに、本当は自分がそうしたいというわけでなくても社会から見たら問題となるような行動をとってしまうことがあるのでは、という観点。

p.132 「インターネット中毒」という言葉を初めて使った精神科医イヴァン・ゴールドバーグ氏は本気でそれを病気としての中毒と考えていたわけではなかった。何かに熱中してやりすぎる人は何にでもいる。 p.157 ネット中毒という言葉は、子供をネットから遠ざけたい大人の便利な道具となっていないか。

「中毒」ということにしてしまえば、そこで相手を「自分とは別物」と切断してしまえます。自分の趣味は「熱心」で、理解できない趣味は「中毒」と言っているだけなんじゃないか?

p.178 子供の性犯罪被害。実態としては加害者の多くがネットと無関係な知人や家族なのに、メディアはネットの向こうの狡猾な性犯罪者の危険を煽る

p.196 ソーシャルメディアで自分の苦しみを訴えている子供は多いのに、大人がそれを見つけて必要な手助けをすることができていない。

「ソーシャルメディアで若者を騙そうとする悪い大人がいる!」から、「だから使わせるな!」に行くのではなく、「ソーシャルメディアで若者を導こうとする良い大人はもっといる」とでもなればいいのでしょうけど、それをどうやって実現すればいいのか。今のネットで「若者の声を代弁」みたいなことを言っている大人に、良い大人のフリをした悪い大人みたいなのがいるのも事実でしょうし。

p.257 Kinnectのようなシステムが、肌の色が濃いユーザーで認識率が落ちてしまうこと。新しい技術が新たな不平等を産むことがある。

日本の状況と違うところもあるが、おそらく共通する点も多いでしょう。子供が自由に外を歩き回らなくなっている、忙しすぎてオンラインぐらいでしか友達と社交をする暇がない、というアメリカの状況も、日本にやってくるのはすぐのようにも感じます。

書評: PHP逆引きレシピ第2版

いただいた本。PHPに関して、「こういうことがしたい」という希望から、それをする方法を探すための本です。

http://www.amazon.co.jp/PHP%E9%80%86%E5%BC%95%E3%81%8D%E3%83%AC%E3%82%B7%E3%83%94-%E7%AC%AC2%E7%89%88-PROGRAMMER%E2%80%99S-RECiPE-%E9%88%B4%E6%9C%A8/dp/4798119873/

第1版の時と同じような感想ですいませんが、まず、この分厚い本を最初から最後まで読んだりはしていませんのでご了承を。パラパラと読んだ限りは、ある目的を達成するためのPHPのコード例が、今風のコードでわかりやすく紹介されていると言ってよいかと思います。

ほとんどのコードが、”<?php”で始まりhtmlヘッダもすべて含んでいますが、ブラウザ経由で動かさなくてもわかるような項目については、コマンドラインから実行できる形でも十分なんじゃないでしょうか、とは思いました。

第8章のphpMyAdminを使いたい、は、PHP関係ない、と思ったものの、これまで触ったことがない人には実はかなり有用かもしれません。phpMyAdmin の使い方って、自分の場合は使いながら勘で覚えたのですが、今から思えば最初はいろいろ不思議なことをしていたようにも思うので。

同じ問題を解決するにも色々な方法があり、必ずしも本書で紹介された方法が最新で最適と言えないこともあるとは思いますが、すごく古かったり、今では推奨されないようなやり方はそんなに載っていないように感じました。

# たとえば、077は自分ならphp_intl拡張を使いますし、210はfilter_var()を使うと思います。いくつかの有名ホスティングサービスで動くコードであることも検証されているようなので、PHP拡張が必要なコードは入れにくいのかもしれません。

あと、本の特性的に、どうしても内容を検索したくなってしまいます。電子書籍のほうがいいのでは。鈍器になりうる重さがなければ、電車通勤の人とかの暇つぶし(というと語感が悪いか)として読むと、新たな発見があるかもしれません。

書評に関する注意書き

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  • もちろん、書評以外の他のブログエントリもそうですが、社員ブログではあってもサイボウズ・ラボ全社やサイボウズ・グループの意見を代弁してるわけではありません
  • 献本いただいても必ず読めるわけでも、ご紹介できるわけでもありません。読書の速度は遅いので、発売前や発売直後に送っていただいても、ご紹介が半年後になるようなことも多々あります

LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか?

著者からいただきました。

LINEが登場してまだ2年経ってないのに、ここまで大きく広まったのは驚きですよね。LINEの場合は特に、ネットに詳しくない人が多く参加しているところも凄いところです。

サービスのヒットに合わせて、さまざまなLINE解説本も出ているのですが、この本はどうやったらLINEに加入して使いこなせるかという本ではありません。他の多数の入門本とは違い、LINEがどうしてここまでの人気サービスになったのか、LINEはこの普及度を使って今・これからどんな展開をしようとしているのか、といった内容を、過去にもMixi, Twitter, Facebookなど多くのソーシャルメディアを使いこなして解説本などを書いてきた著者が書いたものです。

僕自身、LINEの飛躍を冷ややかに見つつ使ってない非ユーザーなので、コグレさんが本をくれると言った時に断ったのですが、「LINE使ってない人にこそ読んでほしい」と言われ、受け取ったものです。使っていないにしても、業界人としてLINEがどういうものか試し、自分なりに急速な普及や高い人気の秘密についてはある程度わかっているつもりでした。しかし、本書を読んで初めて知ったり気づかされたりした事柄も多く、LINEでの将来的なビジネスに乗っかりたい人や、LINEと自社サービス・製品の関わり方を考えなければいけなくなるかもしれない業界人にとっては面白い本だなと感じました。

この本では、LINEがもつ人と人とをつなげるというサービスの属性に絡んで出てくるプライバシー問題や未成年保護問題などについても整理しつつ、日本発ながらも世界レベルのサービスとなりうるLINEに対するポジティブな期待を感じとることができます。FriendsterとかMySpaceとかFacebookとかTwitterとか、アメリカ発のソーシャルサービスが次々入れ替わる歴史に、日本から出たものも一つ挟まるとすればとても痛快ですし、LINEがもっと広まっていくといいなあと僕も(使ってないけど)応援する気持ちが強まりました。

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  • 読み終わったら、読んだことや一行感想をツイッターでつぶやくかもしれません。それはこちらに記録されます。そうでなければまだ読んでいない可能性が高いです。

顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか

いただいたもの

型破りに顧客志向のカスタマーサービスを行うことで有名になったオンライン靴店ザップス社の創業者が、ザッポスの創業から成長の歴史を中心に振り返った本です。
本書の前半、
– 子供の頃、親に命じられたバイオリンの練習をどうやって(技術的に)サボったか
– オラクルに勤めながら始めた副業のウェブ制作でどうやって顧客を見つけたか
– ポーカーの勝ち方から、ビジネスの進め方を学ぶ
といった、ザッポス以前の著者のエピソードから、いつもより良い方法はないかを考え続ける人となりが伺えます。
また、社内システムを使って社員同士の認識をテストし、交流を推進するという仕組み「フェース・ゲーム」のところは面白いですね。サイボウズでも社員の自己紹介を順番に日替わりでポータルのトップに表示するなどというのをやっていますが、見せるだけじゃなくてテストにしてしまう。
全体を通して、ザッポスという会社が社員と作ってきた独特のチームには、過去に日本企業がやってきて、当時は日本企業の強さの秘密、と言われたこととの共通点が多いように感じました。社員を家族扱いし、勤務時間以外でも社員同士で遊ぶことが多いとか、自分の担当権限よりも目の前の顧客のことを考えてできることを行うとか、入社時の研修として職種に関係なくカスタマーサポートの最前線に出てサポート業務を数週間担当するとか、 アメリカの企業から見れば異質でしょうし、それがザッポス社を有名にしたのでしょうけれど、こういったことは伝統的な日本企業の観点ではそれほど奇異とは取られないでしょう。入社直後に長期顧客のそばに行くなんていうのは、松下電器とかが新卒に販売店に行かせるのと同じですよね。
そういう古い感じの体育会的なノリ、僕は個人的には好きじゃないですが、それがはまる会社・チームを作って、アメリカで顧客に「新鮮な驚き」を与えられたのが、ザッポス社成功の理由なのかもしれません。

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バイラル・ループ あっという間の急成長にはワケがある

いただいたもの

バイラル・ループは、人から人への紹介で広まっていく、ウィルスのような(=バイラル)商品やサービスの伝播について書かれた翻訳書です。ウェブの上でのクチコミは、それ以前と比べると広がる速度はとても速くなっています。友達と実際に対面することなく良いものや面白いものの紹介ができますからね。
そのような、口づての紹介の広がるさまをうまく利用して人気になったwebサービスを、いろいろな事例を挙げて紹介しているこの本は、webサービスを作ったり運営したりしている人や、物がどうやって評判になり、売れていくのかを常に悩んでいるであろうマーケッターの人にとってはとても面白い読み物だと思います。
第三章では、特定グループ向けのソーシャルネットワークを自分で作れるサービスNingも出てきます。このNing、本書の書かれた後の現在はちょっと事業縮小の方向にあるようで成功事例とは言えなくなってきたかもしれませんが、2005年の登場時には僕も面白いと思いこのブログで何度も紹介したので感慨深いです。
一人の利用者が新たに連れてくる次の利用者の数をバイラル係数とし、その係数さえ大きければサービスの人口は増大していく、という話は、良いサービスを作れば皆が使ってくれる、という理想とは少し違っています。役にたつ、や、良い、と、広まるのギャップを、それぞれの成功した起業家はどうやって縮めたのか、あるいは縮めようともせずとにかく広めることだけ優先したのか。eBayやPaypalなどの巨大企業が、どのような思考の結果どんな施策を行い、それがどう成功につながったか、知っておくことはいいことではないかと感じました。
なお、2010年に送っていただいたようなので、読んで感想を書くのに1年以上掛かってしまい、この本自体の発売時のバイラル・ループにはあまり寄与できなかったかもしれません。

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ソーシャルストリーム・ビジネス Twitter、Facebook、iPhone時代の消費者を巻き込むビジネスの新ルール

いただいたもの

リクルートのメディアテクノロジーラボは、数々のwebサービスのリリースやマッシュアップコンテストの主催者として知られていますが、その中の研究者にして実践者の人たちが実際にやってみて成功したり失敗したりしたソーシャルビジネスの内容をまとめたのがこの本です。
実際にソーシャルなサービスを作り、公開し、プロモーションを行なって、何をしたらどういう成果が出たか、あるいは出なかったか、という話を事例を基にして解説しているため、成功した企業の自慢本とは違う真実味があります。
情報として特に役に立ったのは、第四章で、webサービスの換金化の手法について4つに分類し、それぞれのモデルや課金方法、収益を高める方法などを説明しています。
ソーシャルメディア利用のガイドラインやカスタマーサポート、サーバ側のクラウドの利用など、webサービスに関わる広い範囲の話題を一冊の中で扱っており、それぞれの実務を担当する担当者だけでなく、プロジェクトの全体を見渡すべきマネージャーに対しての本だという風に感じました。

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日経Systems 2011年10月号

いただいたもの

連載の切り替え時期の号を貰えるということで応募してみました。昔固い会社のときは(今もそんなに柔らくはないですが、それでもベンチャーなので)よくこのあたりの日経の雑誌を読んでたので懐かしい感じ。
特集は「要件定義の極意」。要件定義の腕前はほんとうに大事だと思います。本当に解決すべき問題にあたらず、顧客が思い込んでいる良くない解決法を頑張って実装する、みたいな失敗例は多いですからね。このへんは時代がどうなってもソフトウェア開発の肝であり続けるのでしょうね。
たとえば、新連載「Webシステムを変えるHTML5」で、HTML5の導入で一番問題となりそうな、社内での古いInternet Explorerの普及率などの数字を出して、どのバージョンのIEでHTML5のどの機能が使えるかとか、それを使えるブラウザーの現在のシェアはどうなっているか、などをスペースを割いて説明しているのが、企業向けのシステムを作る開発者のための雑誌、という感じを強く受けます。
提案書・仕様書やそこで使う図の描き方などを解説する連載の多さも、雑誌のターゲットが出ていて面白いです。最近提案書とか書いてないなあ。

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Android2.3 Only Hacks – Gingerbreadをさくさく使うためのサンプルとテクニック

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こういった新仕様を解説する書籍の意義は、英語のドキュメントしか無くてたいへんなので補助として買う、ということもあるとおもいます。しかし、実際に本書を読んでみると、英語のドキュメント「すらも」ないAPIがいくつも存在して、それを正式なドキュメント以外のメーリングリストやフォーラムでの議論から探してきて紹介しているものもあり、決して英文和訳だけの本ではないことがわかります。
個人的には、注目の非接触技術であるNFCを使うためのコードや、C/C++でコードを書けるNDK、音声認識機能のアプリからの呼び出し、などが特に楽しそうです。UIやアプリの利用感向上につながる改善へのアクセスや、音楽・電話関連の機能など、いろいろなところでAndroid OSに手が加え続けられていることがわかります。
Android2.3(Gingerbread)を搭載した最新機で動く、新しいアプリケーションの発想を得るのに役立ちそうです。バージョン2.2までの実機しか持ってないのですがまた買いたくなってきました。

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パーフェクトPHP

いただいたもの

PHPの入門本ですが、入門本でありながら本を一冊読み終えた時の到達点がかなり中級レベル以上に設定されている本です。分厚いです。
最新のPHP5.3に対応した環境構築や言語の解説から、フレームワークやオブジェクト指向、セキュリティまで幅広いトピックが解説されています。読み進めることで、シンプルなフレームワークやアプリケーションの作成までを身につけることができそうです。
歴史が長く、改良が続けられてきたPHPには、同じことをするのにも複数の異なるやり方やライブラリが提供されていることが少なくありません。ですので、あまり考えずにその場その場で検索して最初に出てきたやり方をコピーしていると、主流ではないライブラリを使っていたり、一昔前は良く使われていたけれども今使っている人はいないやり方で問題を解決していたりということに陥りがちです。入門本を書いている著者自身がそういう陥穽にはまって、古臭いやり方を勧めていることもあります。
本書は、最新案定版であるPHP5.3の情報にもキャッチアップし、最新の情報をブログや勉強会でも紹介している3人の著者が、今もっとも確かなやり方、ベスト・プラクティスを選んでPHPの使い方を教えてくれるという意味で、これからPHPを始める人にも、自分のPHPの書き方がモダンかどうか自信がないという人にも良いのではないかと思います。

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スティーブ・ジョブズ氏の伝記がアメリカでマンガに

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今年の8月に向けて、アップルCEOスティーブ・ジョブズ氏のコミックが製作中だということです。著者のCooke氏のコメント,

「彼を崇拝しようが憎もうが、ジョブズのビジョンとビジネス的な見識は世界を作り変えた」「過去30年の間に私たちのコミュニケーションや仕事のやり方に大きな影響を与えた人物として、彼とマイクロソフトのビル・ゲイツ氏を超える誰かの名前を上げるのは困難だろう」
“Admire him or hate him, Jobs’ vision and business acumen revolutionized the world,” “Between he and Microsoft founder Bill Gates, you would be hard pressed to find someone with greater influence over how we communicate, interact and do business over the last 30 years.”

タイトルは“Steve Jobs: Co-Founder of Apple”(スティーブ・ジョブズ: アップル共同創業者)と、ストレートです。ページ数が32ページで3.99ドル(¥330)というのは、日本では考えられない薄さだと思いますが、アメコミってだいたいそんな薄さですよね。
この会社、Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグ氏の伝記コミックも9月に発売を予定しています。
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PC Worldで、まだセリフの入ってない製作中のコミックの一ページが公開されていました。
Stevejobscomicsample
レディ・ガガとかアンジェリーナ・ジョリーの伝記マンガも出しているようで、大人はマンガを読まないとされる国で有名人伝記コミックという分野を開拓してるんですね。
スティーブ・ジョブズ氏のごくごく初期の活躍に絞ると、日本製の伝記マンガが実はあるんですよね。1984年(!)にコロコロコミックに掲載されたものを、作者のすがやみつるさんがブログで公開されています。こちらは24ページ。
Appleiistory