サイボウズ・ラボユース
修了生の声
これまで本プログラムを修了した多くの参加者が、研究者やエンジニアとして国内外で活躍しています。参加を通じて得た知識や広がった視野は、その後の進路や活動にも生かされています。
湯谷承将(2022年度参加)
- 参加当時の所属
- 筑波大学 人間総合科学学術院 人間総合科学研究群 情報学学位プログラム
- 2025年時点の現職
- DJ機器メーカー エンジニア
——ラボユースをどこで知りましたか?
SNS
——応募しようと思った理由
その分野の専門家によるサポートが受けられる点や、幅広いテーマを対象としている点
——選考で印象に残っていること
実施したいテーマについてご説明したところ、非常に高い関心を持ってご質問いただいた事が印象に残っています
——参加前に不安だったことや期待していたこと
不安だった点は、メンターの方の人柄や進め方が自分に合うかどうかでした。
一方で、期待していたのは、専門家による技術的なサポートが受けられる点です。
特に、私が支援を受けた機械学習分野は、これまで取り組んできたプログラミングとは異なり、分野特有の知識や経験が求められるため、メンターの存在が重要だと感じ、期待していました。
——参加中に取り組んだテーマやプロジェクトの内容
「CVAEを用いたウェーブテーブル合成の意味的な音色制御」
ウェーブテーブル合成と呼ばれる音響合成手法をテーマに、深層生成モデル(CVAE)を用いて音色を意味的にコントロールする方法に取り組みました。
具体的には、「明るさ」「暖かさ」「リッチさ」といった音の印象を表すラベルを条件として与えることで、それに合った波形(ウェーブテーブル)を生成する仕組みを構築しました。
さらに、この生成モデルを実際の音楽制作環境で活用できるよう、オーディオプラグインとして実装し、DAW上で使用可能な形でデモや試聴も行いました。
リポジトリ(深層学習部): https://github.com/tsugumasa320/WavetableCVAE
リポジトリ(プラグイン): https://github.com/tsugumasa320/WavetableCVAE_Plugin
論文: https://arxiv.org/pdf/2410.18628
——活動中に印象に残っているエピソードや場面
数式やコードについて、丁寧に指導していただいた場面が特に印象に残っています。
専門的で難解に感じていた内容も、仕組みや考え方の背景から説明してもらうことで理解が深まり、実装に自信を持って取り組めるようになりました。自分一人では乗り越えられなかった壁をサポートしていただけたことに、強く感謝しています。
——技術的に身についたこと、成長したこと
深層学習分野の知識や進め方、検証やデバッグの方法など
——考え方・姿勢・マインドの面で変化したこと
意図しない動作や結果が生じたときに、現象を丁寧に捉え直し、仮説を立てて検証するという姿勢を学びました
——メンターとのやりとりで印象的だったことやエピソード
ミーティングの合間に、自然言語処理の分野やAIの歴史について、たくさん興味深いお話を伺えたことが印象に残っています。専門的な話題だけでなく、背景や歴史を知ることで理解が深まり、より広い視野で研究に取り組むきっかけとなりました。
——他のラボユースメンバーとの関係で印象的だったこと
合宿や発表会を通じて、さまざまな分野で活躍する非常に優れたエンジニアの方々と交流できたことが印象的でした。自分とは異なる専門や視点を持つメンバーと話す中で、新たな刺激を受けるとともに、「自分ももっと頑張ろう」と大きな励みになりました。
——活動中に苦労したこと・失敗したこと
実験の結果がなかなか思うように得られず、原因を特定するために仮説を立てて検証を繰り返し、根気強く調整を続ける必要があり、苦労しました。
——苦労や失敗をどのように乗り越えましたか?
問題の原因が明確でなかったため、まずは仮説を立てて一つずつ検証を行いました。
メンターと積極的に意見交換をし、異なる視点からの助言を得ることで、新たな気づきを得られました。根気強く試行錯誤を繰り返す中で問題点を徐々に絞り込み、最終的に解決に至ることができました。
——最終的にどんな成果物をつくりましたか?
深層生成モデル(CVAE)を用いた意味的な音色制御が可能なウェーブテーブル合成システムを開発しました。さらに、そのモデルを組み込んだオーディオプラグインを制作し、実際にDAW上で動作させて音色の調整や生成ができる環境を構築しました。
——ラボユースへの参加は、その後の進路(進学・研究・就職など)に影響がありましたか?
ラボユースで得た成果を国内外の学会で発表する機会があり、国内の学会では賞もいただきました。これらの実績をアピールしたことで、就職活動もうまくいったと思います。
——ラボユースでの経験を一言で表すと?
専門家の協力を得て、自由なテーマに取り組める貴重な機会
——いまの自分にとってラボユースの経験はどんな意味を持っていますか?
専門家のサポートを受けながら、自由なテーマに挑戦できたことで、自分の研究や技術力を大きく成長させる貴重な経験となっています。また、自分の興味や強みを深く理解し、今後の進路やキャリア形成に大きな影響を与える土台となりました。
——これから応募を考えている人に伝えたいメッセージやアドバイスをお願いします
迷っているなら応募してみましょう!きっと良い経験になるはずです。
江畑拓哉(2019年度参加)
- 参加当時の所属
- 筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス選考1年
- 2025年時点の現職
- IT社員 (MIXI)
——ラボユースをどこで知りましたか?
ラボユースのホームページ
——応募しようと思った理由
日本語の自然言語に関する研究をしたいと考えていたため
——選考で印象に残っていること
やりたいことをアピールした際に真摯にお話を聞いてくださったこと
——参加前に不安だったことや期待していたこと
技術的な部分で他の方々についていけるかという不安や、逆に他の方々のまだ見ぬ技術への期待がありました。
——参加中に取り組んだテーマやプロジェクトの内容
日本語の対話システム(今でいう ChatGPT みたいな)についての研究、またそのためのデータの事前処理を行っていました。
——活動中に印象に残っているエピソードや場面
データクラスタリングについて想定以上にきれいなクラスタが視覚化できたときは、それまでの苦労がすっと消えていく感じがしました
——技術的に身についたこと、成長したこと
ディープラーニングや自然言語処理に関する知識をたくさん吸収することができました。まさに今は LLM 全盛期ですが、その周辺知識は今大いに役立っています
——考え方・姿勢・マインドの面で変化したこと
最後までやりきる力や、困難に自分で立ち向かう気持ちが身についたと思います
——最終的にどんな成果物をつくりましたか?
日本語の対話システムを作りました。別で大学で作っていた Unity の外見を組み合わせた所謂AIVTuber を作ったり、対話システムで得られた知見をもとに修論の基礎にしたりもしていました。
——ラボユースへの参加は、その後の進路(進学・研究・就職など)に影響がありましたか?
就職においてはラボユース(と学生生活)を通してどのようなものを作ったかをプレゼンしたことが内定の大きな要因になりました。
——いまの自分にとってラボユースの経験はどんな意味を持っていますか?
自分の研究やものづくりに対するモチベーションはラボユースに支えられているところが大きいと思っています。大人になると研究や開発は足が遠くなると思いますが、その情熱をまだ覚えていられるのはラボユースのおかげだと思います。
——これから応募を考えている人に伝えたいメッセージやアドバイスをお願いします
能動的に物事を進めるという心持ちは今後のITエンジニアとしては必須といっても過言ではないと思います。ラボユースは皆さんにその前向きさを与えてくれる素敵な場所なので是非挑戦してみてください。
福光湊(2024年度参加)
- 参加当時の所属
- 木更津工業高等専門学校情報工学科3年
- 2025年時点の現職
- 学生
——ラボユースをどこで知りましたか?
友人からの紹介
——参加前に不安だったことや期待していたこと
CPUを作成するための様々なノウハウを教えていただけること
——参加中に取り組んだテーマやプロジェクトの内容
BrainfuckをベースにしたCPUの作成
——活動中に印象に残っているエピソードや場面
夏季合宿
——技術的に身についたこと、成長したこと
Githubの使い方、PGAを用いた設計の方法、電子回路の組み方、プリント基板の設計方法
——考え方・姿勢・マインドの面で変化したこと
チームで何かを達成するためには目標を明確にして、こまめに進捗の連絡を取り合う必要がある
——活動中に苦労したこと・失敗したこと
当初想定していたCPUの完成に至れず、実際に動くようなものを作れなかったこと
——最終的にどんな成果物をつくりましたか?
FPGAでCPUをエミュレートするためのコードを構成する各種モジュールの作成
——ラボユースでの経験を一言で表すと?
成長できた
——いまの自分にとってラボユースの経験はどんな意味を持っていますか?
情報系の開発に必要な基礎的な知識を得られた
——これから応募を考えている人に伝えたいメッセージやアドバイスをお願いします
技術力が足りなくても、メンターが基礎から教えてくれるので、何か作りたいものがあるなら応募するべき
広瀬智之(2019年度参加)
- 参加当時の所属
- 筑波大学情報学群情報科学類2年
- 2025年時点の現職
- APRESIA Systems株式会社
——ラボユースをどこで知りましたか?
先輩から
——応募しようと思った理由
自分のプロジェクトをやってアドバイスももらえるし、時給も発生するからお得感があった。
——選考で印象に残っていること
自作OSのプロジェクトだったが、川合さんではなく光成さんに応募したので、なんで?と言われたこと。
——参加前に不安だったことや期待していたこと
C言語のテクニックやデバッグ方法を伝授してほしいと期待していた。
——参加中に取り組んだテーマやプロジェクトの内容
自作OSの開発
——活動中に印象に残っているエピソードや場面
ラボユース合宿でhikaliumさんがVRゴーグルをもってきていたこと
——技術的に身についたこと、成長したこと
デバイスの仕様書の読み方や、C言語でのバグを少なくするコードの書き方などが身についた
——考え方・姿勢・マインドの面で変化したこと
じっくり基礎から考えることの大切さを知った
——メンターとのやりとりで印象的だったことやエピソード
光成さんが常に同じテンションだったので、やりやすかった
——活動中に苦労したこと・失敗したこと
活動後半にコロナ禍が始まり、オンラインでうまく作業ができなかった
——苦労や失敗をどのように乗り越えましたか?
乗り越えられなかった
——最終的にどんな成果物をつくりましたか?
自作OS上でSATAのコントローラドライバを動かせるところまでいった
——ラボユースへの参加は、その後の進路(進学・研究・就職など)に影響がありましたか?
低レイヤーに興味をもって、その後の進路を絞っていった
——ラボユースでの経験を一言で表すと?
貴重
——いまの自分にとってラボユースの経験はどんな意味を持っていますか?
今の自分の技術的原型を作った場所
——これから応募を考えている人に伝えたいメッセージやアドバイスをお願いします
メンターのラボの方々の支援が強力です、使い倒そう
川崎正真(2024年度参加)
- 参加当時の所属
- 大阪大学基礎工学部情報科学科 1年
- 2025年時点の現職
- 学生
——ラボユースをどこで知りましたか?
植山 類さんのポッドキャスト
——応募しようと思った理由
大学生になったら、挑戦しようと決めていたから。
——参加前に不安だったことや期待していたこと
自分の開発力と開発内容が少し不安だった。
——参加中に取り組んだテーマやプロジェクトの内容
読みやすいアセンブリ言語の開発
——技術的に身についたこと、成長したこと
分割統治的に開発していくこと、開発を始める前に一度方針を考えるようになった。
——考え方・姿勢・マインドの面で変化したこと
一度挑戦してみるというマインドが身についた。
——メンターとのやりとりで印象的だったことやエピソード
人によって開発のスタイルがあるので、色々なものを試すことがいいというお話が印象的だった。メンターの開発したものを再利用できるようにするとういう方法もとても勉強になった。
——他のラボユースメンバーとの関係で印象的だったこと
他のラボユースメンバーはとても優秀で勉強になりました。
——活動中に苦労したこと・失敗したこと
何を開発のマイルストーンに設定するかを決めることに苦労した。開発の計画をしっかりと練ってはいなかったため、途中で方向性に迷いが出てしまった。
——苦労や失敗をどのように乗り越えましたか?
マイルストーンを少しずつ設定して、方向性を定めていった。
——最終的にどんな成果物をつくりましたか?
3種類の読みやすさを重視したアセンブリ言語
——ラボユースでの経験を一言で表すと?
挑戦
——いまの自分にとってラボユースの経験はどんな意味を持っていますか?
ある程度の規模の開発が自分でできるという体験を得た。また、低レイヤーの知識が広がった。