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国が無くなったらその国のドメインはどうなるか

国が存在しなくなったらその国のトップレベルドメイン(TLD)はどうなるのか? というブログ記事が Hacker News のトップに上がっています。

アメリカ西海岸在住の余茂琦さんは、ご自身の使っている台湾のドメイン aay.tw にページを置いて、そのページを指すQRコードでイレズミを彫ろうとしたそうです。

Astrid Yu さんのQRコードタトゥーを紹介するブログ記事

しかし、誰かに「それ .tw ドメインでいいのか?」と尋ねられて考え込んでしまったそうです。.tw という TLD はこの先何十年と確実に続くものなのか? たいへん不吉な心配ではありますが、刺青として彫るとなると、彫った後に URL が無効になるのは問題でしょう。TLD の永続性を考えてプロフィールは結局別の .org ドメインを取得されたそう。

270万個登録されているらしい台湾の .tw ドメインや、70万個近く存在するウクライナの .ua ドメインは、国家に何かあった時にどうなるのか? 余さんは過去に似た例がないか調べてまとめています

分解や解消した.su(ソ連)、.cs(チェコスロバキア)、.yu(ユーゴスラビア)などでは、ソ連の .su ドメインだけはまだ存続しているそう。ICANN 的には利用を終了させたいようですが、ロシアが運営を継続しているのだとか。

また、Hacker News のコメントによれば、2010年に解体された.an(オランダ領アンティル)は利用停止となったようです。2010年だと .an を使っていて影響を受けた人もいそうですね。

統一された .dd(東ドイツ)は無くなってしまいましたが、インターネットの比較的古い時期で .dd の開始から1年しか存在しなかったそうで、消えたサブドメインもそれほど多くなかったらしいです。

政体が革命等で変わったが、同じ領域を引き継いでいるような国々については、以前からあるTLD が新政権に移譲されているようです。

これも Hackre News の議論からの紹介ですが、ICANN でルールが固まりつつあるそうで、ISO 3166-1 の国コードから消えたら、5-10年後に止めようという方向だそうです。まあそれもまだ確定していないわけですけど。

.co とか .cc とか、最近だと .io を使って新サービスを良く見かけますが、見栄えや語呂合わせで国別ドメインをメイン利用で使う場合には、ただ文字の並びだけ見るのではなくその国や地域の政治や安定性まで考えることも必要なんでしょうかね。

via Hacker News

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英文メールの結び方、Sincerely より返事が来やすいのは何か?

英文メールの末尾につける結び、みなさんは何をよく使われるでしょう。僕はだいたい “Best Regards”, “Best”、相手によっては “Cheers”なんかも気分で使い分けています。

電子メールの生産性改善ツールを提供する Boomerang 社の公式ブログで返答が得られやすい(英文)メールの結びかたを紹介しています。

20個のメーリングリストで流れた35万通のメールのやりとりを解析して、アドバイスや助言を求めているメールに対して、どのような結びの時にどれぐらい応答メールがあったかという割合を取得し、ランク付けしています。

全メールでの返答率が 47.5% 、つまり半分も返事をしてくれる人がいないのが普通という中で、トップの “thanks in advance” は 65.7% 、3分の2ほどの返答率を誇るということです。”thanks in advance” はまあ、直訳ではありませんが「よろしくお願いします」みたいなものですよね。

他にも、”thanks”, “thank you”など感謝を示す系の反応が高いということ。まだ回答はもらえていない状態でも、先に謝意を示すと返事が来やすくなる、と言えるのでしょう。

Boomerang's most effective email closing
反応の良かった英文メールの結び方ランキング by Boomerang社

Jupyter Notebook による解析コードも公開されているので、自分が参加しているメーリングリストのデータで確かめることもできるでしょう。ランキング上位として出た以外の結びの言葉のバリエーションも取れていて、あまり使われない変わった結語を探すのも面白いかもしれません。

20個のメーリングリストをざっと見ると、どれもIT技術系のメーリングリストだったので、一般的なメーリングリストや別のジャンルのメーリングリストでは、結語によって応答の良さは変わってきたりするのかもしれないですね。

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.comドメインは今も数万ドルでスタートアップに買われる

Hackrer News のトップに、.io ドメインで立上げに成功したスタートアップ企業が5桁ドル(five figures)の費用を掛けて .com ドメインを購入したという体験談が上がっています。

このスタートアップは、.io (イギリス領インド洋地域)という、テック系のスタートアップが近年好んで使うトップレベルドメインでサービスを始めた Remotive というリモートワーカーの採用サービスです。remotive は造語で、辞書にない言葉ですね。たぶん remote + motive なんでしょう。

2014年の創業期にはすでに remotive.com は誰かに取られていたため、サービスは remotive.io で始まりました。サービスが大きく伸びたのは新型コロナウイルスの発生からで、世界がリモートワークを余儀なくされる状況になったことが助けとなったようです。

サービスが順調に伸びてから早い段階で remotive.com ドメインの買取を考え始めたそうですが、ドメインの所有者は調べてもわからずじまい。レジストラであるGoDaddy経由で買い取りの意思表示をすると、$10000(110万円)以上ならという回答。この時は一旦諦めたようですね。

2018年も同じ回答、資金が確保できたのか今年2022年1月についに$10000(110万円)での買取を申し出るものの、ずっと大きな額のカウンターオファーが来て、それから3か月掛かって5桁のNDAで公表できない額で決着したということです。

インターネットの初期はブラウザのアドレスバーにドメイン名を手打ちするのが普通だったため、わかりやすい単語での .com ドメインの価値は非常に高く、売買のニュースも多く聞きました。でも今でもこんな売買が普通に起こっているんですね。今回体験談を書いた方も、ブランドの信頼、SEO、そして何より「ドット・アイオー」と付け足さなくていいのがクールだ、というのが決め手になっているようです。

過去の最高額ドメイン LasVegas.com だと$90000000(99億円) だそうなので、一般名詞でも固有名詞でもない分安いし、人件費なら一人年分もないでしょうから無駄ではないんでしょう。今回の事例では Hacker News のトップに載ってサービス自体の宣伝効果も出ているのですからなおさらです。

結局のところ、サービスがうまく伸びれば.com の購入はたいした負担ではないし、だからといって最初から .com のために大金を払うのはバカバカしい。.io など他の空いている TLD で安く始め、始めてしまえばサービス自身に注力するのがいい、ということなのでしょうね。

via Hacker News