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データ可視化

中世から現代まで、21万枚の絵画に使われている色の変化をRで可視化したグラフ

過去から現在までの大量の絵画データを使い、「時代の色遣い」があるかどうかを調べようとしたマーティン・ベランダーさん(Martin Bellander)のブログから。

大量の絵画データの取得先は、グーグルのアート・プロジェクトWikiアートなどいくつか候補があったのですが、英BBCのサイト Your Paintings を選んだということです。このBBCのサイトにはイギリスを中心にヨーロッパ絵画が収められていると思われます。

paintings-bbc

21万枚を越える絵画データが閲覧できるということで、Windows上のR言語スクリプトで全絵画ファイルのURLを取得し、そこから、画像ファイル、描かれた年(年代で示されているものは最初の年)、油彩かアクリルかテンペラか混合技法か、などの情報を取得保存しています。

ファイルが壊れているものなどを自動・手動で除去した後で、描かれた年ごとにまとめ、各絵画から100個の点をランダムにサンプリングし、色相・彩度・明度を調べ足しこみます。

colors-history-of-paintings

グラフの左側にある白い部分は、その年代の絵画が無かったからですね。全体的に、絵画に使われている色の多くが赤・オレンジ・黄色で占められているというのがわかります。

また、20世紀に入ってから青や緑の量が増えていることがわかります。これについてもベランダーさんは考察し、いくつか仮説を立てています。

  • 「青」という色や名前が他の色と比べ新しい概念・認識である(Business Insiderの記事)
  • (グラフでカウントしてない)暗い色・黒を、青として取ってしまっている
  • 古い絵画ほど、経年変化で青色の樹脂が失われている
  • 昔は青い絵の具が高価だったが安くなって使われるようになった

他にも、全体的な絵画界の流行としてそうなった要素もあるかもしれませんね。どれも決め手というほどの理由でもなさそうで、コメント欄では議論が続いています。

コメント欄では1914年からの映画ポスターの色を分析したという2012の記事も紹介されていて、絵画だけでなく、20世紀は青色の利用が増えた時代と言えるかもしれません。

via Flowing Data

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ネットの事件

ちょっと悲しい、スタートアップの集合写真

いかにもスタートアップ、という風のシリコンバレーのweb広告技術の会社。企業サイトの「チーム紹介」のページは、オシャレデザインのオフィスに、カジュアルな服装でリラックスした感じの集合写真です。マウスカーソルをあわせると名前が表示されるというギミックも今風です。

socialwire-meet-our-team

が、しかし、どこにでも良く見ている人はいるもので、「まったく同じ写真なのに、人が居なくなったり、別の人が増えたりしてるぞ」という発見者が。

socialwire-employees-photos-differences

一見、同じ場所で撮り直したようにも見えますが、両方の写真に映っている数人を見ると、まったく同じ服装、まったく同じポーズです。つまり、社員が辞めたり増えたりすると、この集合写真は画像加工されて最新のメンバーにアップデートされているということ。

コメント欄では、「他のバージョンも見つけたよ」と、複数のバージョンでアニメーションgifを作る人も。

socialwire-employees

集合写真 + スクリプトで個々人の紹介、という仕掛けを会社紹介でやりたかった、けれども人が辞めたり増えたりした時にどうするかは考えてなかった。ということで、広い意味ではwebサイト制作の設計ミス、と言えそうですね。

このサイズの小さな会社でも、これだけ頻繁に人が出入りしているということでは、シリコンバレーのIT企業の人材のダイナミズムがわかる写真、とも言えそうです。救いは、どんどん人が消えていく(辞める人の方が多い)わけではないという点でしょうか。

しかし、画像の加工ツールがこれだけ普及して誰でも使えるようになると、写真に一緒に映っていても何の証明にもならないですねえ。

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技術

監視カメラの長時間画像を圧縮して短く見せるBriefCam

BriefCam は、ほとんど変化がない景色を撮影した監視カメラ等による長時間動画を、数十~数百分の1の短い動画に圧縮するという、動画の要約ソフトウェアです。

建物のホールに設置したカメラの110分の動画を、2分に圧縮したもの。違う時刻に現れたそれぞれ別の人物、あるいは同一人物が、カメラ内に登場し・去っていく様子を見せています。同じ画面上に同時に見えますが、それぞれの人には時刻が重ねて表示されています。

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工場で作業する人たちの動画。同様に15分が2分になっています。

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2時間のドア付近の人の出入りを90秒で再現。

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サイトには、道路を通る車や駐車場の出入り、部屋内の荷物の移動など、他のいろいろな利用例も掲載されています。

カメラの価格も、撮影した動画をコンピューターに保存することも、ネットで閲覧することも、一昔前からすれば格段に簡単になったため、世の中には監視カメラで取った動画情報はあふれるほどに存在するかと思います。

しかし、1時間撮影したものを見直して何かを発見するには、たとえ2倍速で観たとしても30分掛かってしまうわけです。重大な事件の証拠探しなら人海戦術も採れるでしょうが、それ以外の場合には、撮ったはいいが確認がたいへん、ということも多いのが実際なのではと想像します。

音声レコーダーでも、誰かが話している時だけ録音する、という機能がありますが、動画についても、変化のある箇所だけを手早く発見・確認したいという需要は多いのかもと思いました。

via The software that caught the Boston bombers