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ネットの事件

1994年アマゾン創業期の人材募集メール

1994年、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が、Usenetのミシガン州の採用に関するニュースグループに投稿した人材募集のメールが残っています。

資金豊富なスタートアップが、インターネット販売の先駆者を助けてくれる非常に才能のある C/C++/Unix 開発者を探しています。巨大で複雑(だが持続可能)なシステムの設計と構築についての経験が必要で、世間で競争力のある人たちが見積もるのの3分の1程度の時間でそれをこなせなければいけません。計算機科学かそれと同等の専攻での学士・修士または博士を持つこと。一流のコミュニケーション能力は必須。webサーバーとHTMLに詳しければなお良いが必須ではありません。

才能があり、自発的で、集中力があり、興味深い同僚たちを期待できます。シアトル地域への引っ越しは覚悟してください(引っ越し代は支払います)。

報酬には会社の相当の持ち分が含まれます。

履歴書とカバーレターをジェフ・ベゾスまで送ってください。

メール: be…@netcom.com
fax: 206/828-0951
US mail: カダブラ社.
10704 N.E. 28th St.
ベルビュー, ワシントン州 98004

私たちは採用において差別を行いません。

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「予測するより作ってしまう方が簡単だ」 – アラン・ケイ
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Well-capitalized start-up seeks extremely talented C/C++/Unix
developers to help pioneer commerce on the Internet. You must have
experience designing and building large and complex (yet maintainable)
systems, and you should be able to do so in about one-third the time
that most competent people think possible. You should have a BS, MS,
or PhD in Computer Science or the equivalent. Top-notch communication
skills are essential. Familiarity with web servers and HTML would be
helpful but is not necessary.
Expect talented, motivated, intense, and interesting co-workers. Must
be willing to relocate to the Seattle area (we will help cover moving
costs).

Your compensation will include meaningful equity ownership.

Send resume and cover letter to Jeff Bezos:

mail: be…@netcom.com
fax: 206/828-0951
US mail: Cadabra, Inc.
10704 N.E. 28th St.
Bellevue, WA 98004

We are an equal opportunity employer.

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“It’s easier to invent the future than to predict it.” — Alan Kay
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“most competent people think possible”の3分の1でやれ、というのは強烈ですね。

Wikipediaによるとアマゾンの前身カダブラ社の創業は1994年7月5日。このメールは1994年の8月22日ですから、会社の形ができて翌月のことです。

ジェフ・ベゾス氏が連絡先として書いている netcom.com ドメインはウェブサイトは無く、Earthlinkという別のプロバイダに転送されます。

まだ今の Amazon の影も形もない時期に、これだけ高い要求を満たせる人でアマゾン社に身を投じた人はどんな人だったのか、今同社の中枢にいる人だったりもするかもしれません。興味ありますね。

via Geek.com

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ネットの事件 炎上

Amazonドラマ「高い城の男」の枢軸旗地下鉄ジャック広告が物議を醸す

架空歴史SFの傑作「高い城の男(The Man in the High Castle)」が、アマゾン社によりドラマ化され配信開始されています。アマゾンがニューヨークの地下鉄で実施しているそのドラマの公共交通広告が、リアルすぎて炎上しているそうです。

1962年に出版されたフィリップ・K・ディックの原作小説は、第二次世界大戦に枢軸陣営が勝利した(!)世界を描いています。そこでのアメリカは、大西洋側をナチスドイツに、太平洋側を大日本帝国に占領され、その秩序の下で我々の知る史実を裏返したような暮らしをしています。

日本や日本人に対する描写も興味深いSFで、小説もおすすめです。

ドラマのほうも原作に沿って制作されているようで、シーズン1の3話から10話までが、先日11月20日にAmazonビデオ上で公開されています。残念ながら日本からの視聴はブロックされていますが。

[更新 2022-08] 英語で最初に出た時は日本国内からは観られない状態でしたが、今は日本語版も作られて、Amazon で視聴できるようになっています。

本編はブロックされていますが、YouTubeでの予告編等は日本からでも見ることができます。「ドイツと日本が勝っていたらこうなっていたかも」というお話が映像化されて見られるインパクトはすごいです。

[更新 2022-08] YouTube での当初の予告編は非公開となっていました( URL https://www.youtube.com/watch?v=e9LKv_r5mxU )。今観られるものにリンクを差し替えます。

アマゾン社は、その異様な世界観をニューヨークの地下鉄に持ち込んで、車両ジャックのプロモーションを開始していました。地下鉄の車内を、ドイツ支配下のアメリカの旗や、日本支配下のアメリカの旗で占拠しています。

場所は、グランド・セントラル駅とタイムズスクエア駅を結ぶ、42番ストリート・シャトル。ニューヨーク地下鉄で最も短い900メートルの路線です。

ドラマの中では頻繁に出てきてギョッとする鉤十字マークはさすがに使われていませんが、ドイツの鉄十字の鷲や日本の旭日旗にアメリカ合衆国の旗をミックスしたような意匠が、座席を覆っています。

この広告キャンペーンを請け負ったニューヨーク市都市交通局(MTA)は、政府系機関なので「人々がどう感じるか、だけで広告を許可したり拒否したりはできない。受付のルールには違反していない」と回答しつつも、反応を受けてアマゾンが広告を取り下げるようだ、と語ったそうですが、続報では、アマゾン側から広告を止めるという動きは出ていない、とも伝えられています

ニューヨーク市長も「無責任で不快だ」とコメントし、広告の取り下げを求めたそうです。

広告自体はテレビニュースなど多数のメディアに取り上げられて拡散したそうで、既にアマゾンとしては大きなプロモーションになっているようですが。

原作小説も、見てませんが今回のドラマも、別にナチスドイツや大日本帝国を礼賛してるようなものではないはずで、むしろifの世界の圧政や息苦しさを広告で表現しようとしたものだとは思いますが、いろいろな人が見ることを思うと、公共交通機関でこういう世界観を再現することにはリスクがあるのですね。

via Variety

[追記 2016-12-13] 日本のAmazonでも吹き替え版が公開されました。

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ネットのサービス

OrigamiHub – 電子書籍移行で空になった本棚を埋めるための、本のペーパークラフト作成サービス

[更新 2018-10] リンク先のサービスがアクセスできなくなっているのを確認したため、リンクを外しました。同種の代替サービスも検索しましたが、見つけられていません。

origamihub-top

Kindle にたくさん電子書籍を詰め込んであっても、家に遊びに来たお客にはあなたがどんな本を読んでいるのかがわかりません。

そんな問題を解決するのが、Amazon のデータから書籍のペーパークラフトを作るジェネレーター OrigamiHub (折り紙ハブ)です。

Amazon(おそらく米国ストア)の書籍を検索すると、書籍の表紙イメージを使って、ペーパークラフト用の糊しろのついた画像を作ってくれます。

origamihub-generated

これを組み立てて本棚に飾れば、あなたがどんな本を読んで(より正確には「買って」?)いるかが一瞥できる、ということですね。

Amazon のデータには本の背表紙部分の画像がないため、並べるといっても表紙を手前に向けて並べないと、本物っぽくは見えないでしょう。

表紙画像を印刷して使うことはAmazon APIの利用規約には反しているのではと思います。出版社や著者が別途許可している可能性も、全く無いとはいえませんけど、すでにその本を電子書籍で所有しているならともかく、買っても読んでもいない適当な書籍をこれで作って飾るのはちょっとよろしくないかもしれません。

電子書籍の提供側が、裏表紙や背表紙のイメージまで公開配布するようになれば、こういうサービスももっと使い物になるのでしょうけれど、電子書籍が普及しきった近未来においては、背表紙という概念自体が消えてなくなる(音楽における「A面B面」のように)と思うので、過渡期のアイデアではありますね。

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オープン本棚プロジェクト – 大日本印刷とインプレスによる、所有する電子書籍の一覧を管理するシステム。本棚に書籍の背中を並べた画像を作れるという点で類似点があります。

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