カテゴリー
ネットの事件

地図表示ライブラリ Leaflet がウクライナ支援を呼びかけ

OpenStreetMap を使ってウェブサイトに地図を表示できる JavaScript ライブラリ Leaflet のトップページがいつもと違う掲示になっています。

通常のドキュメントやダウンロード、プラグイン情報などはこちらに退避され、トップページ全面にてウクライナ支援に関する作者/メンテナー一同の意見表示が行われています。

Leaflet の作者はウクライナ・キエフ市民のウラジミル・アガフォンキンさん(Vladimir Agafonkin) @mourner

ロシア軍の爆弾が降り注いでいるため、家族と共にキエフは脱出したところだそうです。

このページに署名している「Leaflet メインテナー一同」は、Leaflet ユーザーに対する、各国の政治家への働きかけや平和を求める活動への参加、Safelife.in.uaウクライナ赤十字への寄付の呼びかけなどを書いた上で、

「人道に関する訴えがあなたに効かないのであれば、あなたの利己主義に働きかけましょう。ウクライナ市民の将来は Leaflet の将来でもあります。」

If an appeal to humanity doesn’t work for you, I’ll appeal to your egoism: the future of Ukrainian citizens is the future of Leaflet.

言いたくてこんなことを書いてるわけではないでしょう。戦争で家を追われた作者の悲痛な気持ちが伝わってきます。

GitHub 上のソースコードのReadmeも同様に書き換わっていますGitHub はロシアからのアクセスを遮断しないことを表明しました。これも賛否あるかもしれませんが、ロシア国内のLeafletユーザーがこの主張を目にするだろうことを考えると、遮断で見えないよりも情報量はありますね。

カテゴリー
ネットの事件

プルリクエスト <「あ、すいません今ロシアに侵略されてて忙しいので…」

@insky さん作のVue のカラーピッカーライブラリ insky/vue-gpickr に対するプルリクエストのディスカッションの中で、「進捗どうですか? 🙂」という一ユーザーからの何気ないコメントに応じた @insky さんの返事がこれ

ああ、すいません。もう少し時間がかかりそうです。今私の国はロシアの侵略からの防衛中で、今ちょっと忙しいんです。数日のうちにはあなた方の問題に取り組めればと願ってます。

ウクライナに栄光あれ!

O, so sorry. I need more time. Right now my country defending russian invasion, so I’m a little busy now. Hope in few days I’ll return to your problem.

Glory to Ukraine!

これはプルリクエストどころではありませんね。GitHub ユーザーから多くのリアクションマークや応援のコメントがつけられています。

ウクライナ、2014年のマイダン革命の際にも同じような事件が発生していたようです。

I will take a look later. Much much later. Because I’m Ukrainian and we have revolution right now. Sorry

後で見ておきます。たぶんずっと後で。私はウクライナ人で今革命の真っただ中なので。すいません。

@insky さんの無事を願いたいです。

via Hacker News

カテゴリー
ネットの事件

JetBrains がウクライナでの攻撃を批難

Android アプリ制作の推奨プログラミング言語 Kotlin を開発し、開発環境ツール JetBrains IDEA で有名な JetBrains 社が twitter で今回のロシアによるウクライナ侵攻を批難する声明を発表しました。

「JetBrains は今起こっている攻撃を批難します。私たちの同僚やその家族を含むウクライナの人々によりそうものです。」

JetBrains の本社はチェコの首都プラハにありますが、CEO を始め主要な役員はロシア人、6つの開発拠点のうち3つはロシア国内(モスクワ、サンクト・ペテルブルグ、ノボシビルスク)に存在します。

特にサンクト・ペテルブルグの開発拠点は巨大なもので、販売・流通中心に50名強しか社員のいないプラハ本社と比べても、実質的にはロシア国内に大きくリソースを持った企業と言えるでしょう。Kotlin の言語名も、サンクト・ペテルブルグの沖合にあるロシアの島の名前からきています。

それだけにいち早くこの声明を出したことは驚かれてもいます。

JetBrains 社は昨年、米国SolarWinds社によるアメリカ政府の情報流出の原因となった疑いを掛けられた経緯があり、他のアプリを開発する際にスパイコード等を注入できるのではという懸念を持たれたこと自体で(実際のはっきりした証拠は出ていなくても)損害が発生しているとみられます。ロシアと結び付けられることで既存ユーザーが離れたり、新規ユーザーの獲得で競合他社に押されたりするのは避けたいところでしょう。

声明のツイートも、よく見れば慎重に言葉遣いが選ばれている感がありますね。「この攻撃」が誰の攻撃かは言っていませんし、「ウクライナの人々」もどの立場のウクライナ人かはわかりません。ロシア政府から追及された時は政府の主張に沿った形で言ったと言い逃れすることもできそうです。まあでもこれ以上は難しいのかもしれません。