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ネットのマーケティング

ツイッター上の人種差別発言を実世界の大看板でリツイートするブラジルのキャンペーン

ブラジルで黒人女性の権利を守る団体 Criola が、ツイッター上での人種差別を「活用」したキャンペーンを行なっています。

ツイッターやフェイスブック上で見つけた人種差別的な発言を、その発言した人のがいる街近くに大きく掲示するというものです。

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ツイッター等での発言にはスマートフォンなどのGPSから位置情報がついていることがあるので、その位置に近い場所にある協力企業等の広告看板にそれを掲示しています。

ドメイン名・キャンペーンで出てくる”Racismo Virtual. As Consequencias Sao Reais.” は、「バーチャルでの人種差別でも、結果は現実です」という意味のようですね。

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たとえばこのツイート、「私は風呂に入ったので、汚いから近づくな」といったような意味っぽいです(機械翻訳で)。

このキャンペーンは、7月3日の人種差別撲滅デーに、女性ジャーナリスト、マリア・ジュリア・コーチンホ氏のフェイスブックに対して書かれた4人の人種差別コメントと、数千人のブラジル人がそれに反対して声を挙げた事件がきっかけで起こされたと説明されています。

アイコンや名前のところは伏せてあるし、個人を晒すことが目的ではない、ということなんですが、本文でウェブ検索すると元のツイートも見つかったりしますね。英語での紹介記事を読んで元発言者らしき人に突撃リプライしている方も。

「人種差別コメントを書き込む前に、それが引き起こす影響について一考してほしい」という動機のようですが、どうでしょう。ちょっとギリギリ過ぎな感じもあるのですが。

ソーシャルメディア上での発言は、炎上した時にはまったく知らない人たちにまでどんどん拡散していってしまいますが、屋外の大看板に掲示されるというのはそれと似たところがあるかもしれません。いつもやりとりしている仲間とだけ内輪で喋っているつもりかもしれなくても、実際には外で大声で叫んでいるのと変わらない場合があるよ、という学びにはなるかもしれませんが。

via ITV News

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ネットのマーケティング

ヨーロッパ自転車泥棒選手権 – ローマ・アムステルダム・プラハの「盗まれやすさ」競争

European Bike Stealing Championships(全欧自転車盗難チャンピオンシップ)は、自転車に関するオンラインメディア We Love Cycling が開催した、ヨーロッパのどの都市で自転車が一番盗まれやすいかを競う競技です。

2015年の第一回大会に出場した「最悪の都市」候補は次の3都市。

  • 「自転車泥棒」のロケ地、イタリアのローマ
  • ヨーロッパ中で人気の自転車生産地オランダ、その最大の都市アムステルダム
  • 中古自転車ショップ網の発達で、7台盗まれたうちの1台しか持ち主に戻ってこないというチェコのプラハ

高級自転車を各都市の賑やかな表通りに停め、カメラを使って遠くからそれを監視します。自転車には、遠隔操作で爆発して色のついた粉を巻き上げる仕掛けもしてあり、参加した自転車泥棒が一発でわかるようになっています。

自転車のすぐ横には「We Love Cycling」と書かれたトラックが停まっていますね。

競技開始は動画の1:00辺りから。人通りの多いところだけあって、派手な自転車が無造作に立て掛けてあることに気づく人はやはりいますね。タイヤにちゃんと空気が入ってるかチェックしたりして。

この罠の仕掛けられた自転車を盗もうとしたら何が起こるか、面白いのでぜひ動画を観てみてください。(急ぐ人は2:08 、3:10あたりからどうぞ)

優勝したのはアムステルダム。さすが自転車の国、というか、自転車の国でも自転車を大事にする人ばかりではないということですね。

We Love Cycling では、自転車を盗難されにくくする方法や、中古自転車を購入する際に気をつけること、など、自転車のオーナーに対する啓蒙を続けていきたい、ということです。

via YouTube

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ネットのサービス

プール監視員になって溺れる子供を見つけるブラウザゲーム

Spotthedrowingchild.com は、「溺れる子供を指せ」という名前が示すとおり、プール監視員になったつもりで溺れている子供をいち早く発見するという体験ができるwebサイトです。

[2023 追記] 今見ると、溺れる子供の YouTube 動画が再生だけになっていて、公開当時のクイズゲーム機能は動かなくなっていますね。

ページを開くとプールの動画が再生され、どこかで子供が溺れ始めるので、それを見つけたらマウスでクリックします。

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溺れている子供のクリックが当たりだったら、その発見が監視員に比べて何秒間早かったか、あるいは遅かったかが表示されます。

一通り動画が再生し終わったら、子供が溺れていた場面を拡大してリプレイしてくれるので、うまく見つけられなかった時もどんな風に子供が溺れていたのかを再確認できます。

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再生が終わったら出てくる解説の後ろの「Play Again」リンクをクリックすれば、また別の動画が始まります。

開発の経緯

作者のFrancisco Saldañaさんは、2010年のブログ記事溺れている人は溺れているようには見えない(Drowning Doesn’t Look Like Drowning)をピックアップしたHacker Newsのコメントにヒントを得てこのゲームを作成されたそうです。

ゲームに使われる動画は、YouTubeからプールで実際に子供が溺れている動画を探してきて使っています。こちらのツールを使うと、見つけてきた新たな動画から、子供の溺れている場所やタイミングを設定して追加データを作成することもできます。

サイトはHTML と JavaScript のみでコンパクトに作られていて、全ソースが公開されています。今のところ動画は6本あるようですね。

「溺れている人は溺れているようには見えない」

サイトでも後から表示されますし、サービスの発想の元となった記事でも紹介していますが、テレビやドラマなどで出てくる「溺れている人」の様子と、本当に溺れている人の様子は(例外はもちろんあるにしても)大きく異なるそうです。

  • ほとんどの場合、溺れている人は声をあげて助けを求めたりはできない。息をするので精一杯
  • 溺れている人には余裕はない。体を持ち上げて息をしようと手足は勝手に動くだけ。手を振ったり、救助者や救命用具の方へ近づいたりすることはできない。
  • 溺れている状態では人は棒立ちになりバタ足もうまく効かない。そこから沈みだすまでの時間は20秒から60秒しかない。

(ソース: Coast Guard’s On Scene Magazine の Pia博士の記事から”Instinctive Drowning Response”(溺れる人の本能的な反応)。抄訳)

これはこのゲームをプレイしてみてもよくわかります。子供が溺れているのか、もぐって遊んでいるだけなのかは非常に判別がしにくい。そしていつのまにか監視員が飛び込んで助けに行くのを見て、やっと溺れている子供に気づくという按配です。

このゲームではいつかかならず誰かが溺れることはわかっているので、まだなんとか集中も維持できますが、実際に長時間プールを監視している監視員はたいへんだなあ、とつくづく感じさせられます。

僕は知りませんでしたが、「溺れる人はドラマのようには溺れない」という知識はとても大事ではないかと思います。それを実体験できるこのwebゲームを遊ぶ人が増えれば、もしかしたら将来の水難事故を減らすことがあるかもしれないですね。

via Hacker News