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技術者と英語

「ハッカー」という単語の初出は1963年

Yale名言辞典の編者フレッド・シャピロさんの調査によると、”hacker”が(切り刻む人という意味ではなく、)すごい技術を持つ者という意味で最初に印刷物に登場したのは、1963年のマサチューセッツ工科大(MIT)の学生新聞The Techの11月1日、第20号だということです。

(image credit: duartes.org)
(image credit: duartes.org)

この記事中では、電話のシステムに細工をして長距離電話のタダ掛けをするような人たちのことを「ハッカー」と呼んでいます。

これが最も古い記録だとすれば、「ハッカーという言葉自体には善も悪もない」とか「ホワイトハッカーもブラックハッカーもいる」という主張は、歴史的観点からは後付けということになってしまいますね。

MITのスラングだった時代から、ハッカーには「悪いことをする」という意味がついてまわっていた。とFredさんは述べています。

とはいえ、最初の使い方に縛られる必要はないと思うので、技術的にすごい人を悪い意味を含ませることなくハッカーと呼べるようであってほしいと、個人的には思いますが。

via First Recorded Usage of "Hacker" – Gustavo Duarte

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英語学習

joblint – 英語の求人表現をチェックしてくれるツール

joblint は、求人募集の文面に問題がないかを確認するためのプログラムです。

英語の人材募集の文面を書いた後でこのツールにかけると、以下のような「間違い」を検出し、指摘してくれます。

joblint-sample

上のサンプルのように、検出された様々な問題点は、4つのカテゴリー「文化的な問題」「現実性の問題」「採用者の問題」「技術的な問題」に分類され、点数づけられます。

チェック項目

joblintのソースを読んで、どんな内容がチェックされているのかを見てみました。引用は、その項目が検出された際にツールが表示するメッセージを訳したものです。

見せ掛けの利益

“beer(ビール)”, “ピザ”, “foosball(サッカーゲーム台)”, “卓球台”, “プレイステーション”, “Xbox”など

「ビールの詰まった冷蔵庫やビリヤード台は、それ自体は問題ではありません。しかし、求人票にそれらが載っていることは、多くの場合その会社で働くことの真の利益が少ないことをゴマかす手段になっています」

「ブラザー」文化

“bro”, “dude”, “skillz” のような、ターゲットを狭める単語の利用

下品な言葉

“bloody”, “bugger”, “fuck”, “shit”など

「職場でこれらの言葉を使うのはありかもしれませんが、求人票に書くのはプロフェッショナルではないですね」

バブリーな職種

“guru(導師)”, “ninja(忍者)”, “superstar(スーパースター)” といった職種・肩書きの募集

「技術者を忍者その他になぞらえることは、尊敬やプロフェッショナリズムの欠如を示しています」

あっちの人たちは忍者好きですねえ。

ビジョナリー

“blue sky(青空)”, “enlightening(啓蒙的な)”, “greenfield(緑の野原=未開発の場所)”, “paradigm(パラダイム)”, “productize(プロダクト化)”, “synergy(シナジー)”, “visionary(ビジョナリー)”

「(社長や株主といった)非技術者がこの求人票を書いていることを示しています。地に着いた、普通の英語で説明しましょう。」

競争的な環境

“competitive(競争的な)”, “cutting edge(最先端)”, “fail(失敗)”, “the best(ベスト)”, “win(勝利)”

「競争は健康的ではありますが、過度に競争的な環境は、多くの人にとって重圧となります。仕事外のもっと大切な人たち-家族とか-を排除することにもなりかねません」

過度な期待

“hit the ground running(すぐに取り組む)”, “juggle(ジャグリングをする=訳注:いくつもの仕事を器用にこなす)”, “tight deadline(厳しい締め切り)”

「これらの単語が指すのは、この募集文を書いている人が、新しく参加した人は職場に慣れるまでに時間と努力が必要だということをわかっていないということです」

性別の記述

“boy(男の子)”, “chick(かわいこちゃん)”, “dude(野郎)”, “gentleman(紳士)”, “girl(女の子)”, “sister(姉妹)”, “woman(女性)”などいろいろ

「求人票に性別を指す単語を入れることは、応募者の数を減らしてしまうだけでなく、多くの場合差別にあたり、法的な問題を引き起こす可能性があります」

男性/女性代名詞

“she”, “her”か”he”, “his”, “him”の一方が偏って出ている

「男性代名詞ばかり、あるいは女性代名詞ばかり出てきているとしたら、書き手は特定の性を差別しています。”they”, “them”を使うなど見直しましょう」

ヒゲ

“beared(ヒゲ面の)”, “grizzled(白髪まじりの)”

男性エンジニアのみ募集しているということになります

白髪は必ずしも言えないんじゃ。

セクシャルな単語

“sexy(セクシーな)”, “hawt(魅力的な)”, “phat(いかした)”

募集要項を書いてる人が、良いコードとは何かを定義できなかったり、何を書いてるのかわからないときに、こういった単語は頻出します。馴れ馴れしさをも表すでしょう。

レガシーな技術

“cobol”, “cvs/rcs”, “frontpage”, “visual basic 6”, “vbscript”

「レガシーな技術の表記は興味を持つ人を激減させます。たまに本当にそれらの技術が必要な時もあるでしょうが、非常に古い技術を求人票に載せることは、会社として先に進む気がないとか、社員のキャリア開発に投資する気が無いとも取られます」

開発環境

“eclipse”, “emacs”, “vim”, “dreamweaver”, “netbeans”, “sublime text”, “visual studio”など

「特定の開発環境でなければ作れないものを作っているのでない限り、開発者が何を使ってコードを書くかは問題ではありません。開発者は一番慣れているツールでこそ実力を発揮するのです。」

略語の展開

“カスケーディングスタイルシート”, “ハイパーテキストマークアップランゲージ”

「技術者はそれらの略語をよく知っています。展開して書くと、あなたが技術に明るくないことがばれてしまいます。」

JavaScript

「JavaScript は一つの単語です。javascriptsでもないしjava scriptでもありません」

Ruby On Rail

「Ruby On Railsは複数形です。レールは複数はあるんです」

オープンソースで提供

ちなみに、このツールは node.js で書かれてオープンソースとしてGitHubで提供されています

…という提供の方法が、もうかなり一般向けではないですね。求人側の人事部が自分たちの募集を確認するというよりも、その求人に応募する方のエンジニアに対するアドバイス的なツールだと考えているのかもしれません。

アメリカ的な採用のべき・べからずの参考に

日本とアメリカでは求人票に書いて良いこと・悪いことのルールがまったく異なります。年齢差別・人種差別・性差別などいろいろな差別に関して、日本の方が規制が少なかったり、たとえルールがあるものに関しても運用がザルだったりしする印象があります。

そんな日本の企業や人事担当者が日本と同じノリで募集文面を書き、単純に翻訳させてアメリカで募集を掛けたら、問題となったり、そこまでいかなくても見た人が不快に感じて募集が来なかったり、ということは実際に起こっていても不思議はありません。

ジョークツールとして作られている部分もあるとは思いますが、こういった単純なツールですら機械的に問題点がいろいろ指摘されるようであれば、単に英語ができる人、あるいは自称英語ができる人に任せるのはやめて、現地での求人のやり方を知っている人に依頼するようにすべきかもしれないですね。

via Hacker News

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飛行機発明前の紙飛行機の呼び方

こんなツイートがRTで流れてきました。「飛行機が発明される前、紙飛行機は何と呼ばれていたのでしょう?」

考えたこともなかったですが、これ面白い疑問ですね。飛行機がなければ紙飛行機と呼ぶはずもないので、何かしら名前があったはず。

英語でいろいろ検索したのですが、なんとか見つけたのは、比較的質が良いといわれている英語のQアンドAサービスQuora。

# Quoraについては個人ブログの方でこんなことを書いたことがあります。よい回答も多いけども結局「質問分野による」というのが僕の結論 → クオラ(quora.com)ってすごいの? 世界を席捲するの? なんで日本ではスイカは野菜なの? | 秋元

Paper Plane: When were paper planes invented? (紙飛行機はいつ発明されましたか?) – Quora

David Coleさんが回答に辿り着くまでの経緯を詳しく説明してくれています。

Coleさんはまず、ギネス認定紙飛行機飛ばし世界一のKen Blackbumさんのサイトにある、紙飛行機の歴史というページを発見。古代中国の紙凧や18世紀後半フランスの紙気球は(「紙」で「飛ぶ」けれど)違うとして、1930年代に航空機の設計者が紙飛行機をプロトタイピングに使っていたという記録が、この世界チャンピオンの見つけた最も古い「紙飛行機」の記録だということです。

ライト兄弟の1903年の初飛行よりも前の文献を探そうとすると、「飛行機」「航空機」といった単語自体が存在しないことから、そもそも何を探せばわからず困った、ということですが、それでも、19世紀の複数の文献から、それらしい単語”paper dart”を発見します。

たとえば、1803年に発行されたイギリスのエッセイ The Looker-on では、「かつらにたくさんpaper dartを入れて運び、ハリネズミの背中のようになっていた」という一文。

しかし、この”paper dart”が本当に紙飛行機のことを指しているのか、dart(ダーツ)のような形の別のものを指しているのか? さらに探した結果見つけたのは、こちらの図が入った、1896年に発行された、スポーツと時間つぶしの方法を集めた本の一ページ。

paper-dart-1896

確かに、紙飛行機の折り方に、”paper dart”という説明がついています。

ということで、紙を折って飛ばす紙飛行機は、飛行機の発明以前の19世紀から存在し、それは「紙ダーツ」と呼ばれていた、ということがわかりました。

ところで、このあたりの文献、すべてGoogle Booksで探されてますね。Google Booksはすごいですね。たくさんの古い資料を読み取ってデジタル化/テキスト化し、どこからでも検索できるようにしてくれたことで、こういった調べものは飛躍的に楽になったのではと思います。

電話以前の糸電話

もう一つの、

「電話が発明される前の糸電話の呼称も気になります。」

こっちの方も気になったので、多少英語で検索してみたのですが、僕のスキルでは見つかりませんでした。

それでは、と、上と同じQuoraでも質問してみたのですが、まったく答えが集まりません。ポイント使って識者を指名することはできるのですが、候補で出てくる「電話の専門家」とかに聞いても答えがくる気がしないですね。