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konduct – イベント用コード・オブ・コンダクト作成とハラスメント通報のためのwebサービス

konduct は、テック系カンファレンスなどで近年増えてきている、イベント運営や発表時のさまざまな差別やハラスメント問題に対処するための新ウェブサービスです。

サービスは大きく二つの機能にわかれているようです。

  • コード・オブ・コンダクト(Code of Conduct, 行動規範)の文章を作る支援機能
  • 参加者等からの通報を受け取る機能

コード・オブ・コンダクトの作成は、イベント名を与え、何を行動規範として取り入れるかを選択することでテンプレートから作成されます。サンプルの Code of Conduct を見てみると、

Regardless of gender, gender identity and expression, sexual orientation, disability, physical appearance, body size, race, age or religion. We do not tolerate harassment of conference participants in any form. Sexual language and imagery is not appropriate for any conference venue, including talks.

性別、性指向、障害、人種、年齢、宗教など多様な要素に関わらずハラスメントを許さないことや、

  • Harmful or prejudicial verbal or written comments related to gender, sexual orientation, race, religion, disability;
  • Inappropriate use of nudity and/or sexual images (including presentation slides);
  • Inappropriate depictions of violence (including presentation slides);

具体的に何をハラスメントとするかという定義の列挙などが生成されます。

もう一つのレポート機能は、イベントサイトなどに貼り付けた通報ボタンから、ウェブで情報を選択しながら運営に対してレポートが送れるようになっています。

運営側は、寄せられたレポートを一覧してみることができます。同じ事象に対して複数のレポートが集まってくれば、実際にそのハラスメントが発生したという確証も得やすいでしょうね。

料金は、単発のイベントでの利用が$100(1万1000円)、利用無制限のプランが月額$80(8800円) ということです。

流行に乗ってコード・オブ・コンダクトを取り入れてみたものの、それが実際に守られているかどうかは様々だという話も聞きます。コード・オブ・コンダクトが存在するというだけでなく、レポート用のボタンがサイトに大きく載せられていることも、イベントでの不快な体験を未然に抑止することにつながるかもしれませんね。

via Hacker News

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ネットの事件

心のささくれたプログラマにリリースノートを書かせる弊害

アメリカの有名出会いアプリ OKCupid のスマートフォンアプリのバージョン更新案内文が、特定のユーザー一人に対する、行儀が良いとは言えない返事になっている、と reddit で発見されています。

バージョン 9.1.0 の新機能

シカゴのビルなる人物が、リリースノートでフザケるのをやめて技術的な詳細を寄こせと言ってきた。やあ、聞いてるよビル!

Bill from Chicago remarked that he wanted us to quit clownin’ around in our release notes and just give him the technical details. Well, we’re listening Bill!

今回のリリースでは、誰かとちょうど30回メッセージをやりとりしてからその会話を閲覧してる時に、もう一通メッセージが届いたらクラッシュする、というバグを直しました。もう一つ、アプリを閉じてから再起動した時に、どの写真にコメントしたかをアプリが覚えているようにもしました。ヒュー! このバグが治って良かったよね、ビル?

In this release we fixed a bug where if you had exchanged exactly 30 messages with someone and received another message while viewing the conversation, it would crash. We also added the ability for the app to remember what photo you were commenting on even if you closed and reopened the app. Phew! Good thing we fixed those bugs, right Bill?

このリリース文は、まだアップストアに掲載されています。

Mashableによると、今年5月9日のリリースノートは、こんな文章だったそうです。

「アプリのアイコンを変更しました。たぶんこの先ももう一回、もう一回と変更することでしょう。これは、あなたの将来の人生で起こる小さな変更を我々が用意するためのちょっとした方法です。大事なことは慣れることです。そういえばフロリダがいつか海面に沈むって知ってた? クレイジーだね」

“We changed our app icon again, and we’ll probably do it again. And again. It’s just one small way we’re prepping you for future life changes. Adaption is important. Did you know Florida might be underwater one day? Crazy.”

OKCupidのエンジニアはバグ修正に疲れているんですかね。それとも、社内リポジトリへのコミットメッセージのノリでリリースノートも書いているのか。

昔からある有名サービスで、現在の社員数は50人ということなんですが、リリースノートを修正担当者に直接書かせることがうまく行く会社もあれば、無用のトラブルを生むケースもあるのかなと。

シカゴのビルさんに伝わったかどうかは、まだわかっていません。

OkCupid Dating: Date Singles

カテゴリ: ライフスタイル, ソーシャルネットワーキング
言語: オランダ語, 英語, フランス語, ドイツ語, インドネシア語, スペイン語, スウェーデン語, 中国語, トルコ語
価格: 無料
バージョン: 88.3.0

開発者: OkCupid
公開日: 2009-11-25
評価(全バージョン):
(2116人のレビュー)
評価(現バージョン):
(2116人のレビュー)

スクリーンショット

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via Reddit

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ネットのサービス

英語の求人文章から「男性的」「女性的」な表現の偏りをチェックしてくれるサイト

イギリス内閣府とNPO団体 の共同運営するAppliedは、ジェンダー差別や人種差別を廃し、公正で多様性のある採用ができるような支援機能を多数持つ求人サイトだそうです。

そのような機能のうちの一つ、あなたの書いた求人の文章のジェンダーバイアスをチェックしてくれるオンラインツールは、デモとして無料公開されています。

試しに、ネットに公開されているシニア・プロダクトマネージャー募集のサンプルを与えてみたところ、こんな判定が出てきました。

男性的(masculine)と判定された単語は、

  • leader (リーダー)
  • confident (自信いっぱいの)
  • analyze (分析する)
  • lead (リードする)
  • leadership (リーダーシップ)

女性的(feminine)と判定された単語は

  • responsibilities (責任)

求人広告に書かれた文章は、その職務のことだけでなく、企業組織やその文化についてのヒントを応募者に与え得るそうです。Applied は、男性的な言葉ばかり並べた募集の文面は女性の応募を遠ざけ、結果的に多様性の無い組織を作ってしまう、と主張しています。求人を書くときに、無意識にどちらかの性の人物を想定して、言葉を選んでしまっていないか、ということでしょうね。

他にも同様の注意を呼び掛けているサイトはあり、バイアスの少ない文章が求人で重要、という考え方はAppliedだけの発想ではなさそうです。

サービスは最低プランが無料から始まるフリーミアムで、ユーザー1人で使うだけなら無料である程度使えるようです。

海外に支店があったり、グローバライズした製品やサービスを売ったりしなければいけない日本企業では、英語で求人しなければいけない、という状況もあるでしょう。英語で正しく文章を書くだけでも大変ですが、文章に含まれる微妙な偏りや差別については、文法的な正しさとはまた違った知識や経験が必要そうですし、このようなツールに一回かけてみて、あまりに一方的な判定結果が出た場合はちょっと考えてみる、というのは安全のためにもいいかもしれないですね。

via New Scientist